マンション警備員の墜落事故、「疑問の死」業務上の災害認定 2022年2月8日 韓国の労災・安全衛生

マンション警備員の様子(写真は記事とは無関係です)/資料写真チョン・ギフン記者

マンションの警備員が、休憩中に窓から落ちて死亡したのを目撃した人がいなくても、業務と関連した死亡なら業務上の災害だという判決が出た。警備員の休憩室が管理事務所に隣接しており、事業主が支配・管理する場所で起きた事故だという趣旨だ。

ソウル行政裁判所は7日、マンションの警備員Aさん(死亡当時64歳)の妻が勤労福祉公団に提起した遺族給付・葬儀費用の不支給処分取り消し訴訟で、原告勝訴判決を行ったと発表した。

Aさんは、全羅北道・井邑のあるマンションで警備員として働いていたが、2019年9月、マンションの商店街の三階にある休憩室の外の窓から墜落し、脳出血で死亡した。普段は午前7時30分から一日間隔の隔日制で勤務していた。墜落したのは、午後8時30分から始まる夜間休憩中だった。

目撃者はなく、死亡の経緯ははっきりしなかった。遺族は、Aさんが駐車状況を確認するために窓の外に上半身を乗り出したり、暑さを避けるために窓を開けたりしていたと主張した。一方、公団は「Aさんの死亡を自殺とみる根拠は不充分だ」とし、休憩時間中に発生した災害で、事業主の支配・管理下で発生したものではないとして、労災を認めなかった。

裁判所は、「Aさんの死亡は業務と関連している」とし、「公団の処分は違法だ」とした。「Aさんの普段の言動や習慣などからみて、自殺でないことについては双方が一致している」とした上で、「経過が不明な事故で死亡したものだが、単に休憩時間中に起きたという理由で、これを業務と無関係な死亡だと見るのは妥当ではない」とした。

裁判所はその根拠として、事故の発生場所が管理事務所の内部であり、事業主の支配・管理下にある点を挙げた。休憩室は管理事務所と壁一つを隔てていた。判決は「Aは休憩中に事故に遭ったのではなく、休憩スペースの外に出て何かをしていて窓から転落した」と説明した。

続けて「目撃者のいない事件で、Aさんの具体的な行動を証明する方法がない。」「該当場所にCCTVなどが設置されていない点などを考慮すれば、証明できないものを遺族だけの責任にするのは不当だ」と指摘した。更に、駐車状況を確認しようとして墜落したとすれば、業務に伴う行為だと判断した。

判決理由として「夜間の休憩時間や就寝時間に事故が発生した」とした上で、「Aさんは翌日の午前2時に起床し、警備業務に入らなければならなかった。24時間勤務の間の休憩時間を業務と完全に断絶したものと見ることはできない」と付け加えた。

代理人のキム・ヨンジュン、キム・ウィジョン弁護士は「監視・取り締まりの勤労者が、事業主の支配・管理下にある空間で死亡したとすれば、たとえ災害発生時刻が休憩時間であっても、業務上の災害が認められたことに意義がある」と話した。

2022年2月8日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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