旧正月連休の初日、一人で作業中に死亡した20代の労働者・・「7年前と同じ」/韓国の労災・安全衛生2025年1月31日

25日にベルトコンベアに挟まれて労働者が死亡する事故が発生した原州市の「LKストーン」の採石場/LKストーンのウェブサイトより

旧正月連休初日の25日、江原道原州市の採石工場で、ウズベキスタン国籍のLさん(22)がベルトコンベアに挟まれて死亡する事故が発生した。この事故の原因に関心が集まっている。普段から『コンベアの異物除去』作業をしていたLさんは、一人で作業中に事故にあっている。事故が起きたコンベアには、挟まれ事故を防止する覆いや囲いなどの安全設備がなかったとみられることから、「第二のキム・ヨンギュン事件」だという批判を浴びている。

原州警察署は、Lさんが原州市のLKストーン(土木、造園用骨材、石材生産業者)で作業中に死亡した事故について、経緯や原因などを調べている。原州署のパク・クンホ刑事課長は30日、ハンギョレに「連休だったため、事故発生後の具体的な追加調査は未だできていない」とし、「31日から、業者に業務上の過失はなかったか、重大災害処罰法を適用すべき部分があるかなどを、本格的に調査する予定」だと話した。

パク・クンホ課長は「Lさんが普段からベルトコンベアに挟まった異物を除去する仕事をしていたことからみて、この作業が事故原因と関係があるかを調べている」と話した。Lさんは一人で作業中だったため、事故の場面を直接目撃した同僚がいない上に、工場には防犯カメラ(CCTV)が複数台設置されていたものの、事故現場の様子が映った映像がないため、事実関係の把握は容易ではない、というのが警察の説明だ。

先ず、警察は事故が起きたコンベアそのものの安全性を確認するものとみられる。江原道消防本部が公開した事故現場の写真を見ると、Lさんの体が挟まれたベルトコンベアの滑車(プーリー)などには、カバーや囲いなどが設置されていない。Lさんはベルトコンベアの下の滑車(直径30センチ)部分に体全体が完全に挟まれた状態で亡くなっているのが発見された。

雇用労働部の『採石場安全作業自主点検表』は、「コンベアの動力部などの非常停止装置が設置されているか、あるいは巻き込まれる危険のある部位に防護の覆いや防護柵が設置されているか」と、「コンベアなどの機械・器具の清掃、点検、維持、補修作業時に、設備の稼動を中止したか、(コンベア上の石材の)落下防止措置を執っているか」を、事業者自らが点検し、措置事項を記録することとしている。

現在、LKストーンが運用中の二つの骨材プラントには、ベルトコンベアが67台設置されているが、これらのベルトコンベアに非常停止装置や覆い、柵が設置されているかは、警察の捜査で明らかにすべきものだ。非常停止装置があったとしても、少なくとも二人一組の作業でなければ作動させられないが、なぜLさんが一人で作業していたのかも、究明しなければならない。

LKストーンが2023年に採石団地に指定された際、許可面積がそれまでの9万8707平方メートルから28万1150平方メートルに三倍近く増えているが、その過程で人員をどれだけ増やしたのかも確認が必要だ。広い採石場の中に、複数の作業空間が互いに離れて存在している上に、周囲に管理者や同僚のいない中でLさんが一人で作業中に事故が起きたためだ。

地域社会と労働界は「Lさんの死は、7年前のキム・ヨンギュンさんの事故と似過ぎている」として、徹底した真相究明を求めている。泰安火力発電所で働いていたキム・ヨンギュンさん(当時24歳)は、2018年12月11日未明に、一人で作業中にベルトコンベアに挟まれて死亡した。キム・ヨンギュンさんの死は、重大災害処罰法の制定のきっかけとなった。

社団法人金溶均財団のクォン・ミジョン運営委員長は、「キム・ヨンギュンさんの事故後、法が強化されたが、こういった事故は今も繰り返されている」とし、「Lさんの死は、職場で危険の最も先端にぶら下げられている対象が、韓国人から外国人労働者へと移っていっている現実を如実に現している」と話した。

2025年1月31日 ハンギョレ新聞 チェ・イェリン記者

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c0aa7c50ce8d0f7dba5100c89c9c78e4f6d78ee