労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会報告書/令和4年12月労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会【特集1】事業主不服申立制度
目次
厚生労働省発表
厚生労働省は本日、「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会」(座長:東京大学大学院法学政治学研究科教授)の報告書を公表します。
この検討会は、労災保険給付を生活の基盤とする被災労働者等の法的地位の安定性についての十分な配慮を前提として、メリット制の適用を受ける事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応を検討するためのものです。
今回の報告書では、以下のように取扱うことが適当であることが取りまとめられました。
(1) 労災保険給付支給決定に関して、事業主には不服申立適格等を認めるべきではない。
(2) 事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応として、当該決定の不服申立等に関して、以下の措置を講じることが適当。
ア) 労災保険給付の支給要件非該当性に関する主張を認める。
イ) 労災保険給付の支給要件非該当性が認められた場合には、その労災保険給付が労働保険料に影響しないよう、労働保険料を再決定するなど必要な対応を行う。
ウ) 労災保険給付の支給要件非該当性が認められたとしても、そのことを理由に労災保険給付を取り消すことはしない。
※https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29742.html
1 はじめに
労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会(以下「本検討会」という。)は、厚生労働省労働基準局の求めにより、行政法学者、労働法学者及び労災保険制度の実務家が参集して、労災保険給付を生活の基盤とする被災労働者及びその遺族(以下「被災労働者等」という。)の法的地位の安定性についての十分な配慮を前提として、メリット制の適用を受ける事業主(以下「特定事業主」という。)が自己になされた労働保険料認定決定(以下「保険料認定処分」という。)に不服を持つ場合の対応を検討することを趣旨・目的として開催されたものである。
【参集者】-荒木尚志(座長、東京大学大学院法学政治学研究科教授)、井上繁規(元労働保険審査会会長、元東京高裁部総括判事)、太田匡彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、中野妙子(名古屋大学大学院法学研究科教授)、山本隆司(東京大学大学院法学政治学研究科教授)(敬称略、50音順)
本検討会は、第1回が令和4年10月26日に、第2回が令和4年12月7日に開催された。
本検討会の趣旨・目的に関わる労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「労災保険法」という。)に基づく労災保険給付支給決定(以下「労災支給処分」という。)については、全体としては依然として60万人を越える状況であるが、このうち脳・心臓疾患や精神障害という認定に複雑さを伴う事例も多く確認されている1。
このように、労災保険給付の認定の複雑化が進んでいること、さらには後述2(3)の下級審裁判例が登場していることなどに鑑みて、被災労働者等の法的地位の安定性は堅持しつつ、メリット制を介して労災保険給付分に係る労働保険料の増大という不利益を受ける可能性がある事業主の手続的保障を図る観点から、こうした事業主が、保険料認定処分の不服申立て及び取消訴訟(以下「不服申立等」という。)において、労災支給処分が労災保険法に従った認定ではなかったこと(以下「労災支給処分の支給要件非該当性」という。)を主張することを認める余地がないかを検討し、報告書をまとめることとしたものである。
2 検討の背景・論点
(1) 労災保険制度の趣旨・概要
労災保険制度は、労災保険法に基づくものであり、労働者の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に対して迅速かつ公正な保護をするために保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図ることにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としている。
労働者の業務災害について、使用者は労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「労基法」という。)に基づく災害補償責任を負っているが、労災保険法に基づいて労基法の災害補償に相当する給付が行われた場合には、同法の災害補償責任は免除されるため、労災保険が実質的に事業主の災害補償責任を担保する役割を果たしている。こうしたこともあって、労災保険料は事業主が全額負担することとされている。
労災保険法に基づく主な給付としては、療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付、遺族(補償)給付などがある。
労災支給処分は、こうした保険事故の発生を要件として、被災労働者等に対して、労働基準監督署長が行っている処分であり、その処分を争うためには労働保険審査官への審査請求が前置され、かつ、審査請求期間が3か月とされており、当該処分の主たる目的は、早期に被災労働者等が労災保険給付を受ける地位を確定させることにある。
これらを踏まえると、労災支給処分は、被災労働者等の生活保障の柱となるものであり、労災保険法の目的に照らしても、その法的地位の安定性を図る必要性は高い。
(2) メリット制の趣旨・概要
労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号。以下「労働保険徴収法」という。)において労災保険率は定められている。この労災保険率は、労働者を使用して事業を行う事業主の労災保険料を算定する際に用いられており、業種ごとの災害率等に応じて定められている。しかし、業種が同一であっても、個々の事業場ごとの災害率には差が認められる。
そこで、事業主の負担の公平を図るとともに、事業主の災害防止努力を促進するため、一定規模以上の事業主のうち、
イ 継続事業2(一括有期事業を含む。)を行う事業主については、連続する3保険年度の間における個々の事業主の災害率に応じて、その事業についての事業の種類ごとに定められた労災保険率を一定の範囲内で引き上げ又は引き下げし、当該料率(以下「メリット労災保険率」という。)を当該3保険年度の最後の年度の次の次の保険年度の労災保険率とすること、
ロ 有期事業3を行う事業主については、当該事業期間中における個々の事業主の災害率に応じて、保険料の額を一定範囲内で引き上げ又は引き下げること
としている。このように労災保険率あるいは保険料の額を増減する制度をメリット制といい、このメリット制が適用される事業主を特定事業主という。また、保険料認定処分の根拠法である労働保険徴収法の趣旨は、労働保険の事業の効率的な運営を図ることにある。
これらを踏まえると、メリット制が制度として適正に運営されるためには、保険料認定処分によって経済的不利益を被る特定事業主にこれを争う手続的保障を図ることが要請される。
(3) 特定事業主の不服の取扱いに関する国の立場と裁判例の動向
特定事業主は、自らの事業場における労働者について発生した業務災害に対する労災支給処分が被災労働者等になされた場合、当該労災支給処分の額がメリット収支率(後述3(1)参照)に反映され、労働保険料額が増大する可能性がある。このため、保険料認定処分の不服申立等において、労災支給処分の支給要件非該当性を主張することが考えられる。しかし国は、労災支給処分の早期安定の必要性並びに労災支給処分及び保険料認定処分が異なる法律効果を有することなどを踏まえ、特定事業主が既に被災労働者等に対して行われた労災支給処分の支給要件非該当性の主張することを認めていない。
また、労災保険法は被災労働者等の法的利益を図ることを目的としており、事業主の利益を図ることは目的としておらず、特定事業主は労災支給処分の名宛人となっていないことなどを踏まえ、これまで特定事業主には労災支給処分の不服申立適格及び取消訴訟の原告適格(以下「不服申立適格等」という。)も認められないという解釈をしている。
しかし、下記のとおり、特定事業主が提起した複数の取消訴訟において、
① 特定事業主は労災支給処分の取消訴訟の原告適格を有するか否か、
② 保険料認定処分において特定事業主が労災支給処分の支給要件非該当性を主張できるか否か
について、①を否定して②を肯定する地裁判決がある一方で、むしろ①を肯定して②を否定する高裁判決が続いているところである。
【保険料認定処分に対する取消訴訟】
<医療法人社団X事件>
[地裁判決4]
(請求内容) 特定事業主に対する保険料認定処分の取消し
(判決主文) 請求棄却
(判決理由)
Ⅰ 先行処分と後行処分とが同一目的ために一連の手続を構成し、相結合して1つの効果を実現しているか、両処分が実体的に相互に不可分の関係として本来的な法律効果が後行処分に留保されているか、先行処分の段階においてそれを争う手続的保障が与えられているか等を総合的に考慮し、手続的保障を図るべき特段の事情があるといえる場合には、違法性の承継が肯定される。
労災支給処分と保険料認定処分との関係において、特定事業主の手続的保障を図るべき特段の事情がないことから、労災支給処分の違法を保険料認定処分の取消事由として主張できない。
Ⅱ 労災支給処分がされるとその支給額の増加に応じて当然にメリット収支率が上昇し、これによって特定事業主のメリット増減率(後述3(1)参照)も上昇する恐れがあり、これに応じて次々年度の労働保険料が増額するおそれが生ずる。
特定事業主は、自らの事業に係る労災支給処分がされた場合、同処分の法的効果により労働保険料の納付義務の範囲が増大して直接具体的な不利益を被るおそれがある者であるから、同処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)として、同処分の取消訴訟の原告適格を有するものと解するのが相当である。
[高裁判決5]
(請求内容) 特定事業主に対する保険料認定処分の取消し
(判決主文) 控訴棄却
(判決理由) 原判決と同様
【労災支給処分に対する取消訴訟】
<一般財団法人Y事件>
[地裁判決6]
(請求内容) 労災支給処分の取消し
(判決主文) 訴え却下(判決理由)
Ⅰ 労災保険法の趣旨に照らすと、同法が労災支給処分との関係で特定事業主の労働保険料に係る法律上の利益を保護していると解する法律上の根拠は見出せず、特定事業主は労災支給処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有しない。
Ⅱ 違法性の承継の問題については、特定事業主の保険料認定処分に係る法律上の利益の手続的保障の観点から、同処分の取消訴訟において、労災支給処分が取り消されていない場合であっても、その違法性(業務起因性を欠くこと等)を取消事由として主張することが許される余地がある。
※労災支給処分の違法性を理由に保険料認定処分を取り消す判決がされた場合に、同判決に生じる拘束力(行政事件訴訟法第33条第1項)により、行政庁が同判決と整合しない当該労災支給処分の取消義務を負うか否かについては、消極に解するのが相当。
[高裁判決7]
(請求内容) 労災支給処分の取消し
(判決主文) 原判決の取消し及び東京地方裁判所に差し戻し
(判決理由) ※医療法人社団X事件地裁判決及び高裁判決と同様
Ⅰ 労災支給処分がされるとその支給額の増加に応じて当然にメリット収支率が上昇し、これによって特定事業主のメリット増減率も上昇する恐れがあり、これに応じて次々年度の労働保険料が増額するおそれが生ずる。
Ⅱ 特定事業主は、自らの事業に係る労災支給処分がされた場合、同処分の法的効果により労働保険料の納付義務の範囲が増大して直接具体的な不利益を被るおそれがある者であるから、同処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)として、同処分の取消訴訟の原告適格を有するものと解するのが相当である。
<株式会社Z事件地裁判決8>
(請求内容) 労災支給処分の取消し
(判決主文) 訴え却下
(判決理由)
Ⅰ 労災保険制度の趣旨、内容等に照らせば、個々の労災支給処分がされる段階において、特定事業主が違法・過大な労災支給処分の是正を通じて労働保険料の是正を図ることは、迅速な労災支給処分や財政の均衡確保といった趣旨とは両立し難い。
Ⅱ このような労災保険制度の在り方を踏まえれば、特定事業主の利益(他の特定主との関係で、個々の保険給付等の差に見合った労災保険に係る費用の公平な分担がなされるべき利益)は、メリット制が適用されるに至り初めて考慮されるべきものであって、それ以前の個々の労災支給処分の段階において考慮されない。
(4) 労災保険制度に与える影響
こうした中で、仮に特定事業主に労災支給処分の不服申立適格等を認めた場合、以下のような被災労働者等にとって看過できない重大な不利益が生じる恐れがある。
- 災害補償責任の有無を労使間で解決することとすると必ずしも被災労働者等の迅速な救済を図ることができない可能性があるために、労災保険法が労基法の災害補償責任を担保する形で創設され、行政庁が迅速に業務災害の有無を認定し労災支給処分を行うことにしているが、そうした重要な立法趣旨が達成されない可能性が生じてしまうこと
- 労災支給処分が被災し療養を行っている労働者やその遺族等の生活保障の柱として重要な役割を担っているにも関わらず、労災保険給付の支給を受けるという被災労働者等の法的地位が不安定となる可能性があり、結果として労災保険法の目的である労働者の福祉も達成できない可能性があること
他方で、特定事業主としては、労災支給処分がなされた場合、当該処分による給付の額がメリット収支率に反映され、労働保険料が増大する可能性があるという経済的不利益が生じうるところであり、この不利益を争う何らかの途を確保するという手続的保障を図る必要性はある。そして仮にこの点を一切考慮しないとすると、特定事業主は自己の不利益を争うために直接労災支給処分の取消しができるとするより他ないとの結論を招きかねない。よって、そうした事態を回避するべく特定事業主の手続的保障を図ることは、被災労働者等の法的地位の安定性を確保することにも通ずるものと考えられる。
したがって、前述2(3)で示した下級審裁判例も踏まえつつ、本検討会では、労災保険給付を生活の基盤とする被災労働者等の法的地位の安定性についての十分な配慮を前提として、特定事業主の手続的保障のために現行法令上の運用の改善を行うことができないか検討を行うものである。
(5) 検討する主要な論点
以上を踏まえ、本検討会においては、論点①~③のそれぞれについて順に検討することとする。
論点① 保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することの可否
論点② 仮に論点①が認められた場合であって、保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が認められた場合の当該労災支給処分の取扱い
論点③ 労災支給処分に関する特定事業主の不服申立適格等
3 【論点①】保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することの可否
(1) 問題の所在
仮に保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することを認めた場合に、関係法規との関係でそのような解釈が許容されるのかどうかや、公定力ないし不可争力により有効に確定している労災支給処分に係る法律効果の早期安定の要請との関係をどのように考えるかという点が法的な論点となる。
メリット制は、労働保険徴収法第12条第3項9に規定されており、労災保険給付(特別支給金を含む。)の額を、保険料(通勤災害や事務経費に応じる額を除く。)の額で除して得た割合(以下「メリット収支率」という。)とし、メリット収支率により最大40%の範囲内で労災保険率を増減10するという制度となっている。
具体的に解釈上の問題となるのは、同項に規定する「~労災保険法の規定による業務災害に関する保険給付…の額」のうち「保険給付」の意義について、有効に確定している労災保険給付全てと解するのか、あるいは、有効に確定している労災保険給付のうち支給要件に該当するものを意味すると解するかという点である。
(2) 関係規定の解釈
労災支給処分と保険料認定処分の関係を定めた法令があればそれに従うべきであり、例えば、雇用保険法(昭和49年法律第116号)第9条には「厚生労働大臣は…労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする」との規定があり、同法第70条には「第9条の規定による確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を当該処分に基づく失業等給付等に関する処分についての不服の理由とすることができない」との規定がある。
他方で、現行の労働保険徴収法には、労災支給処分の支給要件非該当性が認められるが故に保険料認定処分が違法であるということが主張される場合における両者の関係を定めた法令の定めはない。また、労働保険徴収法の規定の中に、メリット収支率の算定基礎となる保険給付について、明文により、有効に確定した労災支給処分を指すことを前提としている表現も、支給要件に該当する労災支給処分を指すことを前提としている表現も見当たらない。
したがって、現行の労働保険徴収法における、労災支給処分の支給要件非該当性が認められるが故に保険料認定処分が違法であるということが主張される場合、両処分の関係は、法律の趣旨・目的に沿った解釈によって決すべきということになる。
その法解釈の前提として、「違法性の承継」や労災支給処分の「公定力の範囲」との関係をどのように考えるかという点を整理する必要がある。
(3) 「違法性の承継」についての学説及び判例
「違法性の承継」とは、講学上の概念であって、その定義や、それが指し示す法的現象が一律に定まっているものではないが、一般的な学説や判例の立場からは、「違法性の承継」は、2つの法律行為がいずれも行政行為である場合であって、後行処分の取消しの理由として先行処分の違法を主張することができるかという点に関わりがある論点である。
「違法性の承継」に関連する判例として、東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)第4条第3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否が争われた事件の判決11がある。判例では、①先行処分と後行処分とが同一の目的を達成するための一連の手続を構成し、相結合して1つの効果を実現しているといえること、②先行処分の段階でそれを争うための手続的保障が十分に与えられていないといえることを理由として、違法性の承継が肯定され、先行処分が取り消されていなくても、後行処分の取消訴訟において先行処分の違法を取消事由として主張することが許されるとしている。
そもそも「違法性の承継」が問題となるのは、先行処分の違法が後行処分の取消事由となるとした場合に、先行処分の公定力や不可争力の目的が実質的に損なわれるのではないかというところにある。
「違法性の承継」が論点となる典型的な行政過程は、土地収用の事業認定と収用裁決の関係のように、一連の行政過程が一定のまとまりを持つ場合において、行政過程全体の中で段階的に個別の行政過程を確定させておくべきかどうかということが問題になるものであり、後行処分における先行処分の違法主張を許容しても行政過程全体として合理性を損なわないことを、先行処分や後行処分の根拠法令の解釈上導くことができるかどうかという点に深い関わりを持つものと考えられる。
したがって、2つの行政行為について、行政過程全体の中で段階的にそれぞれの個別の行政過程を確定させるべきかどうかということが問題とならないのであれば、仮に2つの行政行為について、先行処分の違法を理由とする後行処分の違法を、後行処分の不服申立等において主張できるかどうかということが問題になるのだとしても、「違法性の承継」について論じられている判断基準をそのまま適用すべきことにはならない。
メリット制は、事業主の災害防止努力の促進と事業主間の負担の公平を図ることを目的として、保険料認定処分を行う際に、当該事業主に関わる2~4年度前の3年度分の過去の労災支給処分を参照するものであり、保険料認定処分の段階で、労災支給処分の支給要件非該当性を認定してメリット制を適用するために労災支給処分を取り消す必要はない。
また、メリット制の適用にあたり労災支給処分の支給要件非該当性を理由に保険料認定処分が取り消されたとしても、労災支給処分はその意義を失うものではない。労災支給処分は被災労働者等への迅速かつ公正な給付という独立した目的を有しており、労災支給処分と保険料認定処分の関係は、「違法性の承継」が議論されている典型的な行政過程とは異なるものである。加えて、一度有効に確定した労災支給処分は、その法的安定性が強く求められる。
上記のように、ある事業主に関わる労災支給処分と保険料認定処分は、メリット制のもとで関係づけられるとしても、「違法性の承継」が論点となる典型的な行政過程よりも相互の独立性が強い。そのため、「違法性の承継」について論じられている判断基準を適用して、労災支給処分の違法を理由とする保険料認定処分の違法を、保険料認定処分の不服申立等において一切主張できないとすることは、被災労働者等の法的地位の安定性と特定事業主の手続的保障の調和を図る観点から適当でない。他方、こうした主張を認めても、労災支給処分の効力を否定する必要はなく、また、労災支給処分の効力は損なわれない。
もっとも、保険料認定処分において労災支給処分の支給要件非該当性を主張できることに解釈変更すれば、保険料認定処分が争われる段階において、労災支給処分に瑕疵があり違法という評価を帯びることが生じうる。
このため、保険料認定処分の取消裁決又は取消判決の拘束力により原処分庁である労働基準監督署長が労災支給処分の取消義務を負うことにならないか、また、そうでないとしても、労災支給処分の職権取消しの義務を負うことにならないかという問題が生じ、これらの理由から、労災支給処分の存続が否定されないかが問題となるが、この点は後述4で述べる。
(4) 公定力の範囲についての学説及び判例
公定力とは、行政行為が仮に違法であっても、取消権限のある者によって取り消されるまでは、何人(私人、裁判所、行政庁)もその効果を否定することはできないという法現象を指し、公定力の実定法上の制度的根拠は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の取消訴訟の排他的管轄にあるというのが通説的な見解である。
公定力に関しては、その意義を様々にとらえる見解が存在しているところだが、行政行為の効果・認定判断と矛盾する主張・判断を制限することが認められるか否かは、行政上の必要と権利救済の要請との機能的な調和の観点から、関係法規の解釈によって判断するという見解12がある。
保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することを認める解釈変更は、労災支給処分の法的安定性と保険料認定処分に係る特定事業主の手続的保障の両立を図るものであり、労災保険法及び労働保険徴収法の関係法規に定められる制度趣旨に沿うものであって、行政行為の効果・認定判断と矛盾する主張・判断を制限することが認められるか否かという点との関係でも問題が生じるものではない。
(5) 論点①の小括
現在の行政解釈は、労働保険徴収法第12条第3項の「保険給付」の意義を、有効に確定している労災保険給付全てと解している。
しかし、この解釈について、有効に確定している労災保険給付全てではなく、そのうち支給要件に該当するものを意味するという解釈変更をする場合には、保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することが可能となる。
この変更後の解釈の適否を検討するにあたって、労災支給処分と保険料認定処分の関係をみると、両者はメリット制のもとで関係づけられるとしても、「違法性の承継」が論点となる典型的な行政過程よりも相互の独立性が強く、「違法性の承継」について論じられている判断基準をそのまま適用すべきことにはならない。
また、この変更後の解釈は、労災保険給付の法的安定性を維持しつつ、特定事業主が労働保険料の増大を保険料認定処分において争うことができることとなり、その意味で特定事業主の手続的保障の充実につながることから、労災保険法及び労働保険徴収法の趣旨目的に沿ったものと考えることができる。
こうしたことを踏まえれば、労災支給処分の公定力との関係でも、保険料認定処分の取消事由として、労災支給処分の支給要件非該当性の主張を認めるのが適当であると考えられる。
4 【論点②】保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が認められた場合の労災支給処分の取扱い
(1) 拘束力
労災支給処分の支給要件非該当性を理由として保険料認定処分が裁決又は判決により取り消された場合、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第52条13又は行政事件訴訟法第33条14に規定する裁決又は判決の拘束力により、原処分庁である労働基準監督署長が労災支給処分を取り消さなければならないかが問題となる。
拘束力は、理由中の判断のうち、主文を導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断について生じるとの判例15がある。
保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が裁決又は判決の理由中で示され、保険料認定処分が主文で取り消された際に、当該裁決又は判決の拘束力に従って行政庁が当該理由に係る労災支給処分を取り消す必要があるかどうかについては、理由中で示された労災支給処分を行政庁が取り消さなければ、主文で示された保険料認定処分を取り消す趣旨が達成されないという関係にあるかどうかによるものと考えられる。つまり、労災支給処分と保険料認定処分の両者の関係が、それぞれの根拠法の趣旨・目的に沿った解釈として、労災支給処分を取り消さなければ取消裁決又は判決の趣旨に沿った保険料認定処分を行政庁ができない関係にあると解釈するべきかどうかによって決するべきである。
特定事業主が保険料認定処分に対して不服申立等を行う目的は、メリット収支率を計算する際に基礎となる労災保険給付の額から特定事業主が争っている労災支給処分に係る給付の額を控除した上で、労働保険料の再計算を求めることにある。この点、保険料認定処分に係る審理を行った審理庁又は裁判所がこの処分庁と特定事業主との間の紛争を解決するために主文で保険料認定処分を取り消す旨を示した場合、従来の行政解釈のように、有効に確定した労災支給処分を所与のものとしてメリット労災保険率が定まるという関係にあるとすれば、処分庁は、理由中で示された労災支給処分を取り消した上で再度保険料認定処分を行う必要が生じる。しかし、前記3で検討したように、労働保険徴収法第12条第3項の「保険給付」と労災保険法に基づく保険給付の関係は、有効に確定した労災支給処分を所与のものとしてメリット労災保険率が定まるという関係にないと考えるのであれば、処分庁が理由中で示された労災支給処分につきその給付額を控除して再度保険料認定処分を行うだけで、主文で示された内容を実現することができる。
したがって、保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が理由中で示されたとしても、労働保険徴収法及び労災保険法の趣旨・目的に鑑みると、行政庁が労災支給処分を取り消さなければ取消裁決又は判決の趣旨に沿った保険料認定処分ができない関係にはないと考えるべきであり、保険料認定処分が主文で取り消された際に生じる裁決又は判決の拘束力によって、「労働基準監督署長が労災支給処分を取り消さなければならない」こととはならないといえる。
(2) 職権取消の制限
保険料認定処分の取消裁決又は判決の理由中で示された「労災支給処分の支給要件非該当性」の意味するところが、拘束力によって「労働基準監督署長が労災支給処分を取り消さなければならない」こととはならないとしても、労働基準監督署長が職権で労災支給処分を取り消すべきかどうかという点が問題となる。
このような検討が必要となるのは、前記3(3)で示したとおり、保険料認定処分において労災支給処分の支給要件非該当性を主張できることに解釈変更すれば、保険料認定処分が争われる段階において、労災支給処分に瑕疵があり違法という評価を帯びることが生じうるからである。
この点に関して、処分の効果を維持することによって生ずる不利益がこれを取り消すことによって生ずる不利益と比較して重大であり、その取消しを正当化するに足りる公益上の必要があると認められるかどうかを検討した判例16がある。
また、下級審裁判例17では、仮に違法な行政行為であっても、特に授益的な行政行為については、それを取り消すことが関係者の利益を著しく害するような場合には、行政庁は職権取消しをすることができないとしているものがある。
学説上、これは「職権取消の制限」とよばれている論点であり、授益的行政行為の取消しについては、問題の焦点が法律による行政の原理を否定するに足る相手方並びに利害関係者の保護の必要性が認められるかどうかにあることからすると、利益保護の対象は財産的価値に関係するもので、取消権の行使の結果被る相手方の不利益の具体的状況、当初の行政行為の瑕疵をもたらした原因等の利益の比較を当該授益的処分にかかる法律の仕組みに即して判断することになるとの見解18がある。
労災保険制度の趣旨に照らすと、一度確定した労災支給処分を事後に取り消すことに伴い被災労働者等に生じる不利益は極めて大きく、他方で、当該労災支給処分は、労災支給処分とは当事者や主張・立証も異なる保険料認定処分の不服申立等においてその支給要件非該当性が判断されたものに過ぎず、被災労働者等の法的地位の安定性の要請に重きをおくべきと考えられる。よって、労災支給処分の支給要件非該当性を理由として裁決又は判決による保険料認定処分の取消しが行われた場合であっても、そのことを理由に労災支給処分を取り消すことはしないという対応をとるのが適当と考えられる。そのように考えても、法律による行政の要請に抵触しないと言える。
(3) 論点②の小括
労働基準監督署長は、労災支給処分の支給要件非該当性を理由として保険料認定処分が裁決又は判決により取り消された場合であっても、当該裁決又は判決の拘束力により労災支給処分を取り消す法的義務はない。
また、職権取消との関係においても、前述の裁決又は判決が出されたことを理由に労災支給処分を取り消すことはしないという対応をとるのが、労災保険法及び労働保険徴収法の趣旨に照らして適当であると考えられる。
5 【論点③】労災支給処分に関する特定事業主の不服申立適格等
(1) 問題の所在
労災保険法の目的は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をすることなどにあり、労災支給処分は労働基準監督署長が被災労働者等を名宛人として行っている。
他方で特定事業主は、労災支給処分によりメリット労災保険率が増大する可能性があるが、労災支給処分に係る不服申立適格等は認められていない。
(2) 労災保険法の目的に関する検討
審査請求人の不服申立適格については、基本的には行政事件訴訟法第9条第1項に規定する「法律上の利益を有する者」と同一と解釈してよく、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たると解するのが判例の立場である19。
行政事件訴訟法第9条第2項では、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たっては処分の根拠法令の趣旨及び目的を考慮する際に、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的を考慮することを裁判所に求めている。
労災支給処分の根拠法規は、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡という保険事故の発生を要件として処分がなされるとしており、事業主の保険料に係る経済上の利益に係る要件は見当たらない。
労災保険法の目的は迅速かつ公正な保護により労働者の福祉を増進することにあり、仮に労働保険徴収法が行政事件訴訟法第9条第2項の関係法令に当たるとして、労働保険の事業の効率的な運営を図るという目的を勘案したとしても、特定事業主の保険料に係る経済的な利益を労災保険法に基づく労災支給処分の中で保護していると読み込むことはできないと解される。
また、労災支給処分が行われた段階では、未だ被災労働者が発生した事業場の特定事業主において具体的にどのような不利益が発生するのかが明確になっておらず、将来の労働保険料の支払いにおいて不利益が一定程度発生する可能性があるということにとどまるということ、前記2(4)のとおり仮に特定事業主に労災支給処分の不服申立適格等を認めると被災労働者等にとって看過できない重大な不利益が生じる恐れがあること及び前記3のとおり保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張することができ、特定事業主にも実効的な手続的保障を図る途があることも、この結論を支持する要素となる。
なお、特定事業主が労働基準監督署長の敗訴を防ぐことに法律上の利害関係を有することから被災労働者等の労災支給処分に係る訴訟に特定事業主が補助参加することが認められるという判例20があるが、補助参加の要件である法律上の利害関係と、不服申立適格等に関する要件である法律上保護された利益は異なるものであることから、不服申立適格等に関する上記検討に影響を与えるものではない。
(3) 論点③の小括
特定事業主には、労災支給処分についての不服申立適格等は認めるべきではない。
6 その他の論点
3から5で検討した主要な3つの論点のほか、関連するその他の論点について述べておく。
(1) 同業他事業主の労働保険料
労働保険徴収法第12条第3項の「保険給付」の意義を、被災労働者等と国との間で有効に確定している労災保険給付全てではなく、そのうち支給要件に該当するものを意味すると解して、保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性を主張できるとした場合、労災支給処分の支給要件非該当性を理由に保険料認定処分の取消裁決又は判決がなされる可能性がある。このとき、裁決又は判決の拘束力により労災支給処分を(職権)取消しをしないこととした場合、同じ料率区分に属する他の事業主が、「業種ごとの保険給付額の中に支給要件に該当しない保険給付が含まれているにもかかわらず、当該保険給付が取り消されず、結果として、業種ごとの労災保険率が上昇して不利益を受ける可能性がある」として、労災支給処分の不服申立適格等を主張することが考えられる。
しかし、労働保険徴収法第12条第2項において、業種ごとの労災保険率については、過去3年間の業務災害及び通勤災害の災害率等を考慮して業種ごとに定めることとしているところ、現実に支給された労災保険給付を踏まえた労災保険事業全体の長期的な収支においてその均衡を図るべく、厚生労働大臣が労災保険事業の運営の在り方を全般的に考慮した上で業種ごとの料率を定めているものであり、個別の事業主がこれを不服申立等で争うことは予定されていないものである。
(2) 他年度の保険料認定処分の取扱い
メリット制は、同一の労災支給処分が、3年度に渡って労働保険料に反映される仕組みであるため、保険料認定処分に対する争いにおいて労災支給処分の支給要件非該当性はなかったとの判断が裁決又は判決の理由中に示された場合において、同一の労災支給処分が反映される他年度の保険料について、改めて同一の労災支給処分の支給要件非該当性を理由とした争いが認められるかどうかが問題となる。
この点は、民事訴訟法上の争点効に関連した議論であり、これは、学説上、判決理由中の判断について、これに反する主張立証を許さず、これと矛盾する判断を禁止する効力のことをいうものである。
判例21は争点効自体は明示的に否定しているが、後訴で前訴とは異なる訴訟物が主張されていても実質的には前訴の蒸し返しであると認められる場合には、信義則を用いて後訴を却下することができるとした判例22がある。
労災保険のメリット保険料に関する争訟についても、前訴の主要な争点が労災支給処分の要件に該当するかどうか、という点にあるのであれば、後訴においてこれを主張することが信義則上認められない場合があり得ると考える。
このため、他年度の保険料認定処分の取扱いは、労働保険徴収法第12条第3項の「保険給付」の意義の解釈を変更する上で障害とならないと考える。
(3) 被災労働者等による労災支給処分の不服申立等があった場合の取扱い
労災支給処分について被災労働者等・国間で既に不服申立等で争われており、裁決又は判決が確定して、不可変更力等が働いている場合があり得る。この場合については、労災支給処分と保険料認定処分でそもそも不服申立等の対象も不服申立等を行う者も異なるため、特定事業主が保険料認定処分に対する争いにおいて既に争われた労災支給処分の支給要件非該当性を主張することは認められると考えられる。
7 まとめ
以上の検討を踏まえ、厚生労働省は、特定事業主には労災支給処分の不服申立適格等が認められないとの立場を堅持した上で、特定事業主が保険料認定処分に不服を持つ場合の対応として、以下3点を含めた必要な措置を講じることが適当であると考える。
① 保険料認定処分の不服申立等において、労災支給処分の支給要件非該当性に関する主張を認める。
② 保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が認められた場合には、その労災支給処分が労働保険料に影響しないよう、労働保険料を再決定するなど必要な対応を行う。
③ 保険料認定処分の不服申立等において労災支給処分の支給要件非該当性が認められたとしても、そのことを理由に労災支給処分を取り消すことはしない。
以上
1 脳・心臓疾患については、近年の労災認定件数は年間200件前後に上り、また、精神障害については、近年の労災認定件数は年間600件を超えるなど、長期的に増加傾向にある(第1回労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会(令和4年10月26日開催)資料2・5頁参照)。
2 労働保険徴収法第12条第3項、事務所や工場など期限のない事業等。
3 労働保険徴収法第20条第1項、建設工事現場など期限のある事業。なお、同条第1項に規定する「保険給付」の意義については、同法第12条第3項に規定する「保険給付」と同様に解するものであるため、以降同法第12条第3項に絞って検討を行う。
4 平成26年(行ウ)第262号 平成29年1月31日東京地方裁判所民事第51部判決 判例タイムズ1442号82頁
5 平成29年(行コ)第57号 同年9月21日東京高等裁判所第14民事部判決 労働判例1203号76頁
6 平成31年(行ウ)第95号/令和2年(行ウ)第137号令和4年4月15日東京地方裁判所民事第11部判決 労働経済判例速2485号3頁
7 令和4年(行コ)第130号 同年11月29日東京高等裁判所第4民事部判決
8 令和2年(行ウ)第7号 令和4年9月21日山口地方裁判所第1部判決
9 労働保険徴収法第12条第3項「厚生労働大臣は、…業務災害に関する保険給付…の額…と一般保険料の額…との割合が…である場合には、…厚生労働省令で定める率だけ引き上げ又は引き下げた率…を、当該事業についての基準日の属する保険年度の次の次の保険年度の労災保険率とすることができる。」
10 メリット収支率に応じて労災保険料率を増減させる割合のことを「メリット増減率」という。
11 平成21年(行ヒ)第145号 同年12月17日最高裁判所第一小法廷判決 民集63巻第10号2631頁
12 小早川光郎「先決問題と行政行為-いわゆる公定力の範囲をめぐる一考察-」(雄川一郎編『公法の理論(上)』(有斐閣・1976年)
13 行政不服審査法第52条第1項「裁決は、関係行政庁を拘束する。」
14 行政事件訴訟法第33条第1項「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。」
15 昭和63年(行ツ)10号 平成4年4月28日最高裁判所第三小法廷判決 最判民集46巻4号245頁
16 令和2年(行ヒ)第133号 令和3年6月4日最高裁判所第二小法廷判決 民集75巻第7号2963頁
17 平成16年(行コ)第180号 同年9月7日東京高等裁判所第8民事部判決 判例時報1905号68頁
18 塩野宏『行政法Ⅰ(第6版)』(有斐閣・2018年)189~190頁
19 昭和57年(行ツ)第46号 平成元年2月17日最高裁判所第二小法廷判決 民集43巻2号56頁等
20 平成12年(行フ)第3号 平成13年2月22日最高裁判所第一小法廷判決 集民201号201頁
21 昭和43年(オ)第1210号 昭和44年6月24日最高裁判所第三小法廷判決 集民95号613頁
22 昭和49年(オ)第331号 昭和51年9月30日最高裁判所第一小法廷判決 民集30巻8号799頁、平成9年(オ)第849号 平成10年6月12日最高裁判所第三小法廷判決 民集52巻4号1147頁
【文献等一覧】
(文献)
○ 小早川光郎「先決問題と行政行為-いわゆる公定力の範囲をめぐる一考察-」(雄川一郎編『公法の理論(上)』(有斐閣・1976年)
○ 塩野宏『行政法Ⅰ(第6版)』(有斐閣・2018年)
(判例)
○平成26年(行ウ)第262号 平成29年1月31日東京地方裁判所民事第51部判決 判例タイムズ1442号82頁
○平成29年(行コ)第57号 同年9月21日東京高等裁判所第14民事部判決労働判例1203号76頁
○平成31年(行ウ)第95号/令和2年(行ウ)第137号 令和4年4月15日東京地方裁判所民事第11部判決 労働経済判例速2485号3頁
○令和4年(行コ)第130号 同年11月29日東京高等裁判所第4民事部判決
○令和2年(行ウ)第7号 令和4年9月21日山口地方裁判所第1部判決
○平成21年(行ヒ)第145号 同年12月17日最高裁判所第一小法廷判決 民集63巻第10号2631頁
○昭和63年(行ツ)10号 平成4年4月28日最高裁判所第三小法廷判決 最判民集46巻4号245頁
○令和2年(行ヒ)第133号 令和3年6月4日最高裁判所第二小法廷判決 民集75巻第7号2963頁
○平成16年(行コ)第180号 同年9月7日東京高等裁判所第8民事部判決 判例時報1905号68頁
○昭和57年(行ツ)第46号 平成元年2月17日最高裁判所第二小法廷判決 民集43巻2号56頁
○平成12年(行フ)第3号 平成13年2月22日最高裁判所第二小法廷判決 集民201号201頁
○昭和43年(オ)第1210号 昭和44年6月24日最高裁判所第三小法廷判決 集民95号613頁
○昭和49年(オ)第331号 昭和51年9月30日最高裁判所第一小法廷判決 民集30巻8号799頁
○平成9年(オ)第849号 平成10年6月12日最高裁判所第二小法廷判決 民集52巻4号1147頁
安全センター情報2023年1・2月号