「転んで、噛まれて、つまずいて」特殊教育実務士の労災認定 2023年2月10日 韓国の労災・安全衛生

学校非正規職労組

天安市のある特殊学校で働く特殊教育実務士のパク・ミギョンさん(56)は昨年11月、男子トイレで発達障害のある生徒のおむつを交換していたところ、生徒の下敷きになる事故に遭った。しゃがんで座っていたパクさんの上に生徒が倒れ、床に腰と肘などをぶつけた。パクさんは退勤直後、病院に行って薬を処方されたが、痛みが続いた。

パクさんは9日、<毎日労働ニュース>との電話で、「ほとんどの同僚は働きながら些細な怪我をしたり、筋骨格系疾患に苦しめられているが、労災を申請することは考えることもできない」、「治療費よりも、このような慣行を破りたくて労災申請をした」と話した。パクさんは昨年11月28日に勤労福祉公団に療養給付を申請し、同年12月5日に3週間の通院治療に対する労災承認を受け取った。

特殊教育実務士は、特殊学校や一般学校で、特殊教育対象の生徒たちの各種の教育活動を支援する。「障害者などに対する特殊教育法」施行規則5条1項によれば、「学校に配置される支援人材は、教師の指示によって、学習活動、身辺処理、給食、校内外の活動、登下校など、特殊教育対象者の教育と学校活動で補助の役割を担当する」と明示されている。教育部の『2021年教育公務職実態調査結果』によれば、特殊教育実務士は全国に9940人いる。

特殊教育実務士は業務の特性上、パクさんのように大小の事故に遭いやすい。実際、学校非正規職労組が、昨年5月30日から6月6日まで、特殊教育実務士1164人の労働環境と安全保健実態を調査した結果、10人中6人(61%)は「業務中に負傷したことがある」と答えた。災害の類型は「挟まる・ぶつかる・刺さる」が63.4%で最も多く、「ぶつける」(32.1%)、「転倒」(25.2%)、「物に当たる」(16%)、「切られる」(11.9%)などが後に続いた。

事故に遭っても労災申請に繋がるケースは珍しい。学校非正規職労組の調査で、事故の後に「労災処理」をしたケースは3.3%に過ぎず、「自己負担で処理」したケースが57.3%で最も多かった。労災処理をしなかった理由については、回答者10人中6人が「よく分からなくて」と答えた。「労災に該当するのかが判断できなくて」が50.9%で、「労災申請手続きがよく分からなくて」が13.5%だった。

労災予防と処理手続きに対するマニュアルがないということも問題だ。特殊学校は安全保健管理規定の作成など、産業安全保健法を一部適用されない。パクさんは「事故が起きる前にも生徒がトイレで倒れたことがあって、担当教師に話したが、『元々よく倒れる』といった反応しか見せなかった」、「重症の障害生徒の場合、おむつを交換する時に二人が一緒にしなければならないが、人員が不足している」と話した。該当の学校の労働災害調査表にも、再発防止計画として「生徒の突発的な行動防止のための積極的な治療勧誘」だけが明示されていた。

2023年2月10日 毎日労働ニュース オ・ゴウン記者

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