『技術協約→基本協約』ILOが産業安全協約を格上げ 2022年3月24日 韓国の労災・安全衛生
国際労働機関(ILO)が産業安全保健関連の技術協約を基本協約に格上げする案を推進する。財界で「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の緩和を求める声が高まっていることから、大統領選挙後の状況に少なからぬ示唆を与えるものと見られる。
ILOによると、5月に開かれる第110回総会で「労働の基本原則と権利に関するILO宣言(ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work)」の修正と、それに伴う後続措置としての基本協約の追加を議論する。よく知られているILO基本(核心)協約は、1998年の第86回総会で採択された「労働の基本原則と権利に関するILO宣言」に基づいている。ILO加盟国が守らなければならない労働分野の必須規範を定義し、特に宣言2項で、結社の自由、強制労働の禁止、差別の禁止、児童労働の禁止は関連の協約を批准していないとしても、尊重・増進・実現しなければならないと宣言し、4つの分野の8件の協約を基本協約と定めた。韓国は昨年4月、結社の自由と強制労働禁止関連の3件の協約を批准し、計7件の基本協約を批准した国になった。
ILOは14日から行っている第344回理事会で、産業安全保健を労働の基本原則と権利に含ませることにし、宣言2項に関連した内容を盛り込むことにした。具体的な内容は5月30日から2週間行われる第110回ILO総会で議論し、決定する。
1998年のILO宣言を修正した後は、基本協約に盛り込む産業安全保健関連のILO技術協約を決める。190件のILO協約のうち、産業安全保健分野の関連協約は19件だ。理事会の議事録を見ると、このうち基本協約に格上げされると見られる協約は、包括規定を盛り込んでいる産業安全保健協約(155号)、産業保健サービス協約(161号)、産業安全保健増進体系協約(187号)の三つのうちの二つだ。産業安全保健協約(155号)は基本協約の指定がほぼ確実になりつつある。161号と187号のどちらにするかは、労働者グループの内部でも意見が分かれている。
産業安全保健関連の協約が基本協約に決められれば、ILO基本協約は全部で10件に増える。韓国は2008年に155号・187号協定を批准したが、161号は批准していない。
労・使・政の三者主義で運営するILOが産業安全保健分野を基本権利に決めれば、国内にも少なくない影響を与えるものと見られる。財界は重大災害処罰法を緩和する主旨で改正を要求しており、尹錫悦大統領当選者はこれに同調し、施行令改正の可能性が高まっている。
2022年3月24日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=208004