『肺癌で死亡』給食労働者に初の労災(産災)認定 12年間天ぷら・炒めもの 2021年4月7日 韓国の労災・安全衛生

民主労総サービス連盟全国学校非正規職労組提供

12年間学校の給食室で働いて肺癌で亡くなった調理実務士が、産業災害を認められた事実が確認された。労組は学校給食労働者の職業性癌が産業災害と認定された初めての事例として、教育当局に対策を求めた。

民主労総サービス連盟全国学校非正規職労組(学非労組)は6日、「2018年に肺癌で死亡した給食労働者のA(当時54才)さんに対して、勤労福祉公団職業環境研究院の業務上疾病審議委員会が、2月23日に業務上疾病と認定した」と明らかにした。

学非労組によれば、2005年から2017年2月まで、水原のある中学校で調理実務士として働いたAさんは、2017年4月に肺癌3期の判定を受けた。1年間の闘病生活の後に亡くなったAさんの他にも、この学校では2016年6月から2017年5月までに、調理実務士3人が嘔吐と目まいを訴えたというのが労組側の説明だ。この内、2017年5月に給食室で倒れたB(52)さんも、昨年3月に換気など作業環境と高い労働強度などによる脳出血で、産業災害を承認された。

学非労組は、天ぷら、炒めものなど、料理の過程で出る有害物質が、給食室の『集団産業災害』との関連が強いと主張した。労組が公開した資料によると、業務上疾病審議委員会は「12年間調理実務士として働いて、肺癌の危険度を高める高温の天ぷら、炒めもの、焼き物料理から発生する料理ヒュームに低くないレベルで曝露した」と、Aさんの業務上疾病認定の理由を説明した。

料理ヒュームは230度以上の高温状態で油を使った加熱作業をする時、脂肪などが分解されて排出される物質だ。職業環境専門医でヒャンナム健康医院のイ・ソンウン院長は「国際癌研究所(IARC)は2010年に、料理ヒュームを肺癌の危険要因として明示した」とし、「短時間の内に、大人数の天ぷらなどの料理が行われ、換気機能が充分でない給食室は、料理ヒュームへの曝露に脆弱な環境と推定される」と話した。Aさんの産業災害承認を主導したキム・スンソプ労務士は、「2016年9月から2017年1月まで、この学校のメニューを見ると、天ぷらと炒めものなどが含まれた日が勤務日数全体の81%(68日)に達する」と説明した。

これと関連して労組は、調理実務士が2016年夏頃から、まともに作動しない換気扇と空調機の交換を要求したが、学校側は一部の点検と修理しかしなかったせいで、Aさんたちの被害が大きくなったと指摘した。

労組は再発防止のために、全国の学校給食室の空気循環装置に対する全数調査を要求する一方、法的に義務化された産業安全保健委員会を設置しなかった教育部と、忠南・慶南・全北・蔚山・慶北教育庁など6ヶ所を、近く産業安全保健法違反の疑惑で告訴・告発することにした。現行法は、事業主は産業安全・保健に関する重要事項を審議・議決するために、労働者と使用者が同数で構成された産業安全保健委員会を構成・運営しなければならない。学非労組のパク・ジョンホ政策室長は「現在の産業安全保健法の規定は製造業中心に作られ、集団給食所に対する換気装置の設置義務などが含まれていない。このための改正作業にも取り組む」と話した。

2021年4月6日 ハンギョレ新聞 ソン・タムン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/989862.html