イギリス教育省-根拠に基づく情報提供の照会 方針レビュー:学校におけるアスベスト管理 -学校・教員アスベスト
2011年に教育省(DfE)は発がん性に関する委員会(CoC)に、アスベスト曝露に対する子供の相対的脆弱性を検討するよう求め、CoCは2013年6月7日にその声明を発表した[50頁参照]。われわれは、諸情報及びCoC声明の結論を考慮に入れて、学校におけるアスベスト管理に関する現在のDfEの方針をレビューすることを表明した。
方針をレビューするなかで、われわれはまた学校におけるアスベスト管理に関するあなたの意見及び考えを聞きたい。
この照会は、誰でも応答できるように開かれている。とりわけわれわれは、日々学校におけるアスベスト管理に携わっている方々から、その経験及びその責任を全うするにあたってDfEが支援することのできる方法について聞きたい。この根拠に基づく情報提供の照会[call for evidence]の結果は、2014年6月に発表される予定の学校におけるアスベスト管理に関する報告書の一部を形成することになるだろう。
2012年アスベスト管理規則は、アスベスト曝露に伴うリスクからの労働者その他の防護のための最低基準を設定している。この規則の基準及び義務は、このレビューの対象ではない。
目次
1. 方針の背景:学校におけるアスベスト管理
DfEは、イングランドにおける学校資産を管理してはいない。われわれは、新たな学校用地のため、また、学校及び地方当局がその既存建物を維持するための資金を提供している。
アスベスト管理の責任は、義務保持者-学校を含む非居住用施設の保守及び/または修理に責任をもつすべての者-にある。大部分の学校に関しては、義務保持者は使用者であり、一般的にはこれは地方当局、スクールガバナーまたはアカデミートラストであろう。
本省は学校におけるアスベスト管理の問題を非常に真剣にとらえており、われわれの方針は義務保持者がその責任を効果的に満たすのを支援することを目的にしている。
校長、スクールガバナーその他学校管理チームのメンバー向けの-新しい手引きが開発され、2012年10月に本省のウエブサイト上に発表された。われわれはまた、学校におけるアスベストの適切な管理を確保する必要性を促進及び注意喚起するために-広範囲に及ぶ関係者の代表とともに-学校アスベスト運営グループを設立した。
本省は、発がん性に関する委員会(CoC)にアスベスト繊維への低レベル曝露に対する子供の相対的脆弱性を検討するよう求めるという、運営グループの勧告にしたがった。また本省は、CoCの声明を踏まえて、アスベスト管理に関する方針を見直すことを表明し、それは2013年6月に発表される予定である。
2012年アスベスト管理規則違反を起訴することを含め、学校における安全衛生法令についての方針責任は、安全衛生庁(HSE)にある。われわれは、学校におけるアスベスト管理に関するわれわれの方針の策定及び適用にあたってHSEと緊密に連携している。
方針をレビューするにあたって、われわれは、学校アスベスト運営グループのメンバーを含め、幅広い関係者からの証拠とともに、現行の法令の枠組みを考慮に入れるだろう。
HSEはまた、2013年に地方当局の管理外にある150の学校の監督を実施しており、HSEの所見もレビューに対して知らされるだろう。これは、近年行われてきた地方当局の管理内及び管理外双方の学校におけるHSEの以前の監督からの情報を増強するものである。
この情報提供の呼びかけは、2014年1月31日から2014年3月31日の期間、実施される。
2. 法令及び現行のDfEの方針
法令及び責任-アスベスト管理をカバーする法令は、直近で2012年に改訂されたアスベスト管理規則(CAR)のなかに含まれている。この法令は、学校を含む非居住用施設の保守及び/または修理に責任をもつものは誰でも義務保持者であると規定している。大部分の学校については、義務保持者は使用者であり、これは一般的には地方当局、スクールガバナーまたはアカデミートラストであろう。
DfEは、学校についての義務保持者ではない。
義務保持者の義務に関する要求事項には、以下をしなければならないということが含まれる。
- 非居住用施設にアスベスト含有物質があるかどうか、また存在する場合にはその量、所在箇所及び状態を確認するために合理的な諸手順をとること。
- アスベスト含有物質-またはアスベストを含有するとみなされる物質-の所在箇所及び状態の記録を作成、及び継続更新すること。
- 確認された物質からの繊維に曝露する者のリスクを評価すること。
- それらの物質によるリスクの管理方法の詳細を設定した計画を策定すること。
- 計画を実行に移すために必要な諸手順をとること。
- 計画が適切さを保ち、最新のものにされるように、計画及びその実行の手はずを定期的にレビュー及び監視すること。
- 物質に関わる作業を行うか、またはかく乱する可能性のあるすべての者に、物質の所在箇所及び状態に関する情報を提供すること。
安全衛生庁(HSE)は、学校における同法令の執行に責任を負っている。その手引きは、アスベストが損傷を受けておらず、かつかく乱されそうにない場合には、通常はそのまま残してそれを管理する方がより安全であることを明らかにしている。アスベストが密封されておらず、損傷されまたは悪い状態にあることが判明したら、これは、訓練を受けた専門家を用いて、修理、密封、囲い込みまたは除去される必要がある。アスベストは適切に管理されなければならず、学校は記録を保存及び定期的に更新するとともに、保守作業を行う者が利用できるようにしなければならない。
現行のDfEの方針-学校におけるアスベスト管理に関する現行のDfEの方針は、彼らの責任を効果的に満たすために必要とされる手引きを学校に与えることを目的にしている。それは、法令の要求事項、義務保持者の役割と責任及びHSEの助言を反映したものである。
3. 学校におけるアスベスト管理の手引き
アスベスト管理の義務は義務保持者にかかっている。学校がその責任を満たすのを助けるために、本省のアスベスト管理手引きは、義務保持者の責任に関する助言を提供している。これには、アスベストが一般にみつかる場所を示した実例、その所在箇所と状態の記録方法に関する助言、リスク、法令の枠組み、訓練に関する助言及び事態が悪化した場合に行うべきことを含んでいる。この手引は、HSEによって提供されるものを含めその他の情報源とリンクしており、学校がアスベスト・リスクを積極的に管理するのを援助することを意図している。手引きの全体は以下のリンク経由で入手できる。
https://www.gov.uk/government/publications/asbestos-management-in-schools
多くの地方当局が、アスベスト管理コンサルタントをもって学校を支援している。いくつかの当局ではこの支援はアカデミー(フリースクールを含む)に提供され、建物に法的利害をもっている学校だけに提供しているところもある。当局がこのようなサービスを提供していない場合、学校は、適切な支援及び助言を与える資格を与えられた団体のサービスを活用するよう助言されている。
本省は、この方針レビューの一環としてその手引きをレビューするとともに、その有用性、妥当性及び改善に向けた提案に関するフィードバックを得たいと考えている。
4. 発がん物質に関する委員会(CoC)の結論
2011年に本省は発がん物質に関する委員会(CoC)に、アスベスト繊維への低レベル曝露に対する子供の相対的脆弱性を調査するよう求めた。本省は、CoCの声明を踏まえて、学校におけるアスベスト管理に関するその方針をレビューすることを表明した。これは2013年6月に発表され、以下で入手できる。
http://www.iacoc.org.uk/statements/documents/Asbestosinschoolsstatement_000.pdf
要約すれば、CoCは以下のように結論付けた。
- アスベストは中皮腫その他のがんを引き起こす。
- 大気中のアスベスト繊維の範囲は、環境、アスベストの存在及び状態によって大いに多岐にわたっている。
- 学校で確認されたアスベストのレベルに関する現代のデータはなく、新しい曝露データを収集及び分析することは有用であろう。
- 建設または補修でアスベストが使われた家庭において、子供がアスベストに曝露する可能性がある。補修作業は、家庭及び学校の双方において、アスベストをかく乱し、曝露を増大させる可能性がある。
- 小児期のアスベスト曝露がその後の生涯において中皮腫を発症させる可能性があるという証拠がある。平均余命が長いこと及び潜伏期間が長いことの影響は、推測される中皮腫発症の生涯リスクが、25歳初回曝露の大人と比較して5歳初回曝露の子供では3.5倍大きく、30歳初回曝露の大人と比較した場合には5倍大きくなることとして理解される。
5. 方針レビュー:学校におけるアスベスト管理
われわれは以下のことを知りたいと思っている。
・ 現行のDfEの方針の有効性
・ 学校においてアスベストがどのように管理されているか
・ DfEはどのように義務保持者がその責任を効果的に満たすのを助けることができるか
方針の目的及びDfEの役割
Q1: あなたは、以下の記述にどの程度強く同意する、またはしないか。
・ 学校におけるアスベスト管理はうまく働いている。
・(2項で上述した)現行のDfEの方針は学校に適切なレベルの支援を提供している。
Q2: DfEが義務保持者がその責任を満たすのを助けるためにできるその他の事柄があるか?あれば、具体的に示していただきたい。
Q3: どのような問題が、政府の介入を通じてだけ対処及び解決されうるか?DfEだけが提供できる、なされる必要のあることがあるか?具体的に示していただきたい。
Q4: 義務保持者の役割は法令のなかで明瞭に述べられている。学校がアスベストを有効に管理するのを助けるにあたって、他の者の役割はあるか?あるとすれば、どのような役割で、誰が実行すべきか?
変更のための根拠
われわれは、変更の提案を支持する根拠とともに、現行のアスベスト方針がどのように現実に働いているかに関する根拠-現実の生きた事例を含む-を集めたいと思っている。
Q5: どのようなよい実例があるか、何がうまく働いているか?
Q6: 学校における有効なアスベスト管理を妨げている何らかの特別の障害または阻害要因があるか?具体的に示していただきたい。
Q7: 現行の方針を変更する必要がある、または改善がなされる必要があるという、どのような根拠があるか?具体的に示していただきたい。
Q8: あなたは、義務保持者がその責任を満たしていないということを示す証拠をもっているか?もしあれば、潜んだ問題の証拠を提供していただきたい。
Q9: 何が改善され得るか、どのように、また誰によって?あなたの提案は、義務保持者、学校のスタッフ及び生徒に対して、どのような現実的違いを生じさせるのか?
Q10: あなたが提案する改善の予測されるコストはどれくらいか?改善のためにはどのように資金の手当てがされるべきか?
義務保持者/その他のための手引き及びツール
われわれは義務保持者に対して何が役立つか、支援を提供するために何をもっとできるのかについてより多く知りたいと思っている。
Q11: あなたは学校についての義務保持者か?ないとしたら、誰が義務保持者か知っているか?
Q12: あなたはDfEの学校におけるアスベスト管理手引きを知っているか?手引きを読んだ/利用したことがあるか?
Q13: 手引きはあなたのニーズにとって有用かつ妥当であったか?何がもっとも役立ったか?
Q14: DfE手引きを改善しなければならないと考えるどんな提案でも提供していただきたい。
Q15: あなたが使っている手引き、または理解に役立ち、責任を満たさせるツールの何らかの他の情報源を具体的に提供していただきたい。
Q16: アスベスト管理問題の注意喚起に役立つであろう、なすまたは提供することができる他の事柄はあるか?具体的に示していただきたい。
Q17: あなたが提案する改善のコストはどれくらいか?改善のためにはどのように資金の手当てがされるべきか?
学校におけるアスベスト管理に関して、シェアしたいと考えるその他の見解があれば、それらも回答に含めていただきたい。解答用紙の末尾に追加コメントのスペースを用意してある。
[以下事務的事項省略]
※https://www.gov.uk/government/consultations/asbestos-management-in-schools-dfe-policy-review
安全センター情報2014年6月号