移送の取扱いについて/1984年11月20日事務連絡32号
事務連絡第32号
昭和59年11月20日
都道府県労働基準局
厚生労働省労働基準局
労災補償部補償課長
目次
移送の取扱いについて(1984.11.20事務連絡32号)
標記については、昭和48年2月1日付け基発第48号通達(以下「通達」という。)により実施しているところであるが、一部斉一性を欠く取扱いがみられ種々問題が生じてきている実態にかんがみ、今後、下記により取扱いの統一を図ることとしたので、これらの趣旨等を十分に理解のうえ、通達の運用に遺憾のないよう配意されたい。
なお、非指定医療機関、柔道整復師等に係る通院費についてもこの取扱いに準ずるものであるので念のため申し添える。
記
1. 通達記1の(3)のイ「傷病労働者の住居地又は勤務地からおおよそ4キロメートルの範囲内にある当該傷病に適した指定医療機関であって交通機関の利用距離(住居地と勤務地との聞は除く。)が片道2キロメートルを超える通院」の考え方について
(1)「おおよそ4キロメートルの範囲内」を判断するに当たっては、近年の住宅地の開発及ぴ交通機関の発達等に伴い、特に都市地域への転医又は通院が見受けられること等もあり、単に4キロメートルという数字のみに主らわれることなく、傷病労働者の住居地又は勤務地(以下「起点」という。)における地域住民の通院の慣行、交通事情等をも考慮すること。
(2)「当該傷病に適した指定医療機関」(以下「診療指定医」という。)かどうかを判断するに当たっては、単に内科、外科等の標模している診療科目にとらわれることなく、診療機器・設備内容等傷病労働者の診療に支障を来たさない体制が確保されているか等を勘案すること。
(3)具体的な取扱例を示せば以下のとおりである。
① 起点からおおよそ4キロメートルの範囲内に診療指定医はあるが、4キロメートルを超える最寄りの診療指定医への通院の方がより交通の便がよく、通常そこへ通院することが妥当であると判断できる場合には、当該通院費を支給して差し支えないこと。
② 起点からおおよそ4キロメートルの範囲内に診療指定医がなかったため、4キロメートルを超える最寄りの診療指定医へ通院していたが、その後4キロメートル以内の地域に新たに診療指定医が設置された場合には、原則として新たに設置された診療指定医への通院が通院費の支給対象となるものであること。
しかしながら、新たに設置された診療指定医の実情、当該傷病労働者の症状、診療経過・今後の診療方針・診療見込み等を考慮し、従来から通院している診療指定医への通院が妥当であると認められる場合には、その通院に係る通院費を支給して差し支えないこと。
(例えば、新たに設置された指定医療機関が診療指定医であったとしても間もなく治ゆが見込まれる者の場合にあっては、従来から通院していた診療指定医までの通院費。)
③ 起点からおおよそ4キロメートルの範囲内の診療指定医へ通院していた者が、転居等の事情により、当該診療指定医への通院が4キロメートルを超えることとなった場合については、前記2の取扱いに準ずるものであること。
④ 起点から4キロメートルを超える地域の診療指定医に入院していた者が退院後、起点からおおよそ4キロメートルの範囲内に診療指定医があるにもかかわらず、入院していた診療指定医へ通院する場合は、当該傷病労働者の主治医等の意見をも勘案し、必要と認められる場合には、当分の間の診療のための通院、又は月1回程度の検査、経過観察等のための通院については、その通院費を支給して差し支えないこと。
なお、「当分の間」の判断に当たっては、主治医等の意見、症状、療養上の必要性、その他の状況等を考慮すること。また、「検査、経過観察等」については、必要最少限のものであること。
⑤ 山間僻地における通院費の取扱いについては、指定医療機関が少ないこと、交通の便が悪いこと等の事情があるため、特に当該地域の通院の実情、指定医療機関の受入れ体制等を考慮し、必要に応じその通院に係る通院費を支給して差し支えないこと。
⑥ なお、上記①から⑤までの4キロメートルを超える通院の範囲については、原則として、起点の所在する市町村若しくは特別区(東京23区のそれぞれの区をいう。以下同じ。)、又はこれに隣接する市町村若しくは特別区の範囲を限度とすること。
2. その他
(1) 4キロメートルを超える通院費の支給に当たっては従来どおりその理由等を明らかにしておくこと。
(2) 非指定医療機関への通院に係る取扱いについても上記に準ずるものであるが、療養(補償)給付は、労災病院、指定医療機関の行う療養の給付を原則とするものであることに留意すること。
3. 実施時期等
この取扱いは、昭和59年12月1日以降に支給事由の生じたものについて適用するものであること。
なお、昭和59年11月30日現在支給している者で、引き続き支給することとなる者のうち、当初支給する際に当たって特別の事情があった者については、本内かんの趣旨等を十分に説明し、今後適正な給付が図られるよう特段の配慮をすること。