「一週間で建設労働者6人が死亡、政府は何をしているのか」 2023年3月20日 韓国の労災・安全衛生
3月11日、利川のマンション工事現場で建設機械に挟まれて1人死亡。
3月15日、平澤のマンション工事現場で8トンの柱にぶつかって1人死亡。
3月16日、江原の配電の現場で車輌に轢かれて1人死亡。
3月16日、天安の製造業工場で、倒壊したコンクリート擁壁の下敷きで、3人死亡。
ここ一週間、建設現場で起きた死亡事故だ。民主労総・建設労組はこのような事故の背景のほとんどが、「無理な作業指示」のせいだとし、「尹錫悦政府は何をしているのか」と糾弾した。
建設労組によると、利川のマンション工事現場で発生した死亡事故は、杭打ち機の部品を装着している途中、回転する部位に挟まれて死亡した事故だ。杭打ち機を調整する場合には運転を停止しなければならないが、工期に追われた無理な作業指示で、このような安全準則などが守られていないというのが建設労組の指摘だ。
平澤のマンション工事現場で発生した事故の原因も、やはり無理な工期にあると建設労組は見ている。建設労組は「クレーンで大きな柱を移動する時は、作業半径を設定し、その半径内には建設労働者の立ち入りを禁止しなければならないが、建設業者は工事期間を短縮するために、この作業も、あの作業も同時に行うことが多い。」「建設業者は利潤のために工期を短縮しており、そのために無理な作業が続く」と批判した。
江原の配電の現場と天安の製造業の工場で発生した事故は、安全点検と措置が正しく行われなかったために発生した事故だった。建設労組は「江原の配電の現場は、信号手を配置し、その信号によって車輌を移動しなければならないのに、人件費を減らそうと信号手を配置しなかった。」「天安の製造業の工場の事故では、排水路を設置する時には、周辺の擁壁の状態を確認しなければならないが、これを無視して工事を進めたために事故が起きた」と分析した。
実際、毎年の労災死亡事故の半分は建設業で起こっている。昨年の政府の調査でも、644人の労災死亡者の内、建設業従事者が半分を超える341人(53%)を占めた。
これまで建設労組は、無理な工期の短縮、不法多段階下請けなどを建設現場の労災事故原因として名指しし、関連の対策を要求してきたが、政府は無視して答えなかった。建設会社も、利潤のために安全規則どおりに作業をしないことが多かった。これに対し、建設労働者たちは、法で保障された作業中止権を利用するなどして、建設現場の危険から自分の身を守る他なかった。しかし、尹錫悦政府はこれさえも『怠業』と決め付け、建設現場の重大災害をより一層煽っているという局面だ。
16日、仁川のマンション工事現場で発生したタワークレーンの事故が代表的だ。この事故は、タワークレーンで2トンのギャングフォーム(大型型枠)を引き揚げている時、瞬間的に突風が吹いて、ギャングフォームがタワークレーンの操縦室と衝突した事故だ。幸い人命被害はなかったが、ひょっとすると操縦室にいたタワークレーンの操縦士が負傷したり、タワークレーンが倒れて重大市民災害まで発生し得るような危険千万な事故だった。
建設労組のパク・セジュン労働安全保健部長は、<民衆の声>との電話で、「普段なら『風が吹いているから危険だ、次にしよう』と言えるはずだが、政府がそのように言えないような雰囲気を作っているのが今回の事故の発端」と批判した。
建設労組は尹錫悦政府が推進する重大災害処罰法と安全保健法改正も、やはり建設会社の責任を免除する方向で改正されると憂慮している。政府の改正方向の核心は、重大災害の予防体系を企業の自己規律に任せるということだが、結局は、建設会社への手加減に繋がるというのが建設労組の指摘だ。
建設労組は「政府は建設労働者の生命と安全には関心がなく、建設業者の安全規定違反と無視を一層煽っているだけだ」とし、「建設現場の重大災害を煽る尹錫悦政府を糾弾する」と声を強めた。
2023年3月20日 民衆の声 ナム・ソヨン記者