【質疑応答集】事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の改正に係る質疑応答集-令和3年12月 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課

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※本質疑応答集は一般的な状況についての回答を示しているものであり、個別具体的な事案については、お近くの労働基準監督署にお問い合わせいただきますようお願いいたします。

1 照度について

【質問1-1】
情報機器作業を行う際、作業面で300ルクスを維持しようとすると、照明の光が画面に反射して視界に入り、まぶしすぎるが、どのように対応すればよいか。

(答)
採光や照明の種類や角度により、まぶしさを感じることがあるので、事業者は、労働者が照度にかかわらず、まぶしさを感じないようにすることが必要です。
情報機器を利用する際に、まぶしさを生じさせない方法については、令和元年7月12日付け基発0712第3号「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」の「4 作業環境管理」に記載がありますので、事業場における対策の参考にしてください。

2 便所について

(1)便所の設置に係る原則について

【質問2-(1)-1】
今回の改正で、作業場の便所は作業場の規模にかかわらず男性用と女性用に区別するという原則に変更はあるか。

(答)
変更はありません。

【質問2-(1)-2】
今回の改正は女性用便所の男女共用便所への改修を推進するものなのか。

(答
作業場に設置する便所は、作業場の規模にかかわらず、男性用と女性用に区別して設けることが原則であることは従前から変わりません。
その上で、今回の改正では、小規模な作業場では、建物の構造や配管の敷設状況から、男女別の便所を設けることが困難な場合もあることから、同時に就業する労働者が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所を設置した場合に限り、例外的に男女別による設置は要しないものとしているものです。
ただし、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合においても、可能な限り便所は男性用と女性用に区別して設置することが望ましいことは言うまでもありません。
なお、同時に就業する労働者が常時10人を超える場合は、従前どおり男性用と女性用に区別した便所を設置することが義務付けられています。

(2)今回の改正における「独立個室型の便所」の定義について

【質問2-(2)-1】
今回の改正における「独立個室型の便所」には具体的にはどのようなものが該当するか。

(答)
今回の改正における「独立個室型の便所」とは、男性用と女性用に区別しない単独でプライバシーが確保されている便所のことをいいます。
全方向を視覚的、聴覚的観点から便所内部が便所外部から容易に知覚されない堅牢な壁や扉で囲まれ、扉を内側から施錠できる構造である必要及び手洗い設備を備えている必要があります。
独立個室型の便所に該当するか否かは個別の判断となりますが、例えば車椅子使用者用便房で、上記要件を満たすものは当然独立個室型の便所に該当します。

(3)独立個室型の便所の設置について

【質問2-(3)-1】
施行日以降は、全ての事業場において独立個室型の便所を設置しなければならないのか。

(答)
従来の設置基準を満たしている便所を設置している事業場については、変更の必要はありません。
今回の事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の便所に係る改正は、
① 同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所を設けることで足りることとした
② 男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所又は女性用便所の便房の数若しくは男性用小便所の箇所数を算定する際に基準とする当該事業場における同時に就業する労働者の数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減ずることができることとしたというものです。
今回の改正により、作業場における便所の設置に関する選択肢が増えるものであり、独立個室型の便所の設置を全ての事業場に対して求めるものではありません。独立個室型の便所を設置するか否かは、事業場の実情に応じて、衛生委員会等で調査審議、検討等を行い、その結果に基づいて対応することが望まれます。

【質問2-(3)-2】
これから起業することを考えている。マンションの一室を事務所として使用しようと考えているがトイレが1箇所しかない。問題はあるか。

(答)
作業場に設置する便所については、作業場の規模にかかわらず男性用と女性用に区別して設置することが原則ですが、住居として使用することを前提として建築された集合住宅の1室を作業場として使用している場合など、便所が1箇所しか設けられておらず、建物の構造や配管の敷設状況から、男性用便房、男性用小便器、女性用便房の全てを設けることが困難な場合もあります。このような場合についても例外なく、便所男女別の原則を適用した場合、作業場の移転や便所の増設に必要なスペースを確保することによる作業環境の悪化などが生ずるおそれがあることから、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所を設置した場合に限り、特例的に男女別による設置は要しないこととしています。
ただし、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合においても、可能な限り便所は男性用と女性用に区別して設置することが望ましいことは言うまでもありません。
なお、新たに作業場を設ける場合については、当該作業場で同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合には、独立個室型の便所を1箇所設ければ足りるものではありますが、業務拡大などにより新たに労働者を雇い入れ、同時に就業する労働者の数が常時10人を超えた場合には、直ちに法違反となる一方、便所の増設は容易ではないことを踏まえれば、予め男性用と女性用に区別した便所を設置しておくことが望まれます。

【質問2-(3)-3】
本事業場では、同時に就業する労働者の数が男女合わせて常時10人以内であり、現在、独立個室型の便所が1箇所しかないが、労働者の利便性向上や労働者の人数が増加した場合のため、もう1箇所独立個室型の便所を設けようと考えている。
独立個室型の便所が2箇所あるとき、便所男女別の原則に基づき、便所を男性用と女性用に区別するために、一方を男性用便所、もう一方を女性用便所として表示し、使用する場合について、男性用小便所を設けていなければ問題となるか。

(答)
今回の改正により新たに示された「独立個室型の便所」は、男女別に便所を設けた上で、付加的に設置する場合には、1箇所につき、男女それぞれ10人分を応需可能であると見なし、便房等の個数の算定を行うことができることを踏まえれば、「独立個室型の便所」と同等の構造を有する便所を男性専用として使用する場合には、当該便所1箇所で男性20人分に対する大便所、小便所の役割を果たしていると見なすことができます。
このため、「独立個室型の便所」と同等の構造を有する便所を男性専用便所とした場合は、男性労働者が20人以内であれば、ご質問のようなケースも含め、男性用小便所を設けなくとも事務所衛生基準規則第17条または労働安全衛生規則第628条に基づく男性用便所を設置したこととなります。

【質問2-(3)-4】
本事業場では、同時に就業する労働者の数が男女合わせて常時10人以内であり、現在、独立個室型の便所が1箇所しかないが、労働者の利便性向上のため、独立個室型の便所内に、大便器のほかに、男性用小便器を設置しようと考えているが、問題はないか。

(答)
同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合には、独立個室型の便所を1箇所設ければ、事務所衛生基準規則や労働安全衛生規則で定める基準は満たすものではありますが、上記基準はあくまで最低基準であり、利便性向上のために、独立個室型の便所内部に男性用小便器を設けることは当然問題にはなりません。
ただし、独立個室型の便所は、複数人が同時に使用することはできないことから、便所の箇所数を算定する際には、当該独立個室型の便所1箇所をもって便房及び男性用小便所を設置したとは見なせませんので注意が必要です。

【質問2-(3)-5】
本事業場では、基本的には同時に就業する労働者は6人だが、シフトの交代の際には、引き継ぎ等のために、一時的に短時間、同時に12人就業することがあるが、独立個室型の便所1箇所のみの設置で問題ないか。

(答)
個別の状況について一概に回答するのは困難ですが、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合は、独立個室型の便所を1箇所設けることで足ります。

(4)その他

【質問2-(4)-1】
便所に男性用、女性用の表示をする必要があるか。

(答)
事務所衛生基準規則や労働同安全衛生規則においては、便所への男女別の表示は規定しておりませんが、表示の在り方も含め、便所の使用や維持・管理に関するルール等について、衛生委員会等で調査審議、検討等を行った上で定めておくことが望まれます。
なお、表示については、日本産業規格JISZ8210が参考となります。

3 救急用具について

【質問3-1】
職場に備えるべき救急用具の品目はどのように決定すればよいか。

(答)
事業場の実情に応じて、負傷者の手当てに必要な救急用具及び材料を備える必要があることから、リスクアセスメントの結果や、安全管理者や衛生管理者、産業医等の意見を踏まえて決定することが重要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207439_00007.html