出張中にスピード違反運転で死亡、裁判所「業務上災害」 2022年01月04日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

出張のために移動する途中でのスピードの出し過ぎで交通事故で死亡したとしても、業務上災害に当たるという裁判所の判決が出た。裁判所は、運転手が法に違反したとしても、「労働災害補償保険法」(労災保険法)第37条2項の「犯罪行為」に該当するかどうかは、業務との関連性を考慮すべきだと判断した。労災保険法では、勤労者の故意・自害行為や犯罪行為が原因で発生した死亡は、業務上の災害と看做さないと規定されている。

ソウル高法は、死亡した労働者Aさんの父親が、勤労福祉公団に提起した遺族給与および葬儀費用不支給処分の取消訴訟の控訴審で、一審と同じく原告勝訴の判決を行ったと発表した。

工具メーカーの研究員のAさんは、2019年10月、乗用車に乗って出張に向かう途中、制限速度100km/hの高速道路を時速127km/hで運転し、工事案内車輌の後部に追突する事故で死亡した。Aさんの父親が、公団に遺族給与と葬儀費を支給して欲しいと要請したが、公団はスピード違反の運転で死亡したとして、不支給処分とした。

しかし一審は、「業務上災害が妥当」として、遺族の手を挙げた。地裁は判決理由について、「事故が故人の過失で発生したとしても、出張業務を遂行するために移動する過程で発生したことを考慮すれば、故人の死亡は業務上の災害と看做すのが妥当だ」と述べた。

裁判所は「出張中」という状況に注目した。裁判所は「本事件の事故は、故人が出張業務のために移動中に発生し、自動車を運転することに伴う危険が現実化したもの」とし、「業務外の関係に起因する事由があると見る資料がなく、スピードの出し過ぎが事故の偶然性を欠いたとは考えられない」と説明した。

公団は、事故はスピード違反運転で発生し、『犯罪行為』に当たるとして、一審の判決を不服として控訴した。しかし二審は「(Aさんのスピードの出し過ぎが)交通事故処理特例法に定められた『制限速度を20km/h超過して運転した場合』に該当する」としながら、「業務と死亡の間の因果関係を断絶させる労災保険法の犯罪行為に該当するとは認められない」として、公団の控訴を棄却した。

スピード違反の運転で死亡した時も労災と見るべきだという判決の流れが続いている。ソウル行政裁判所は昨年6月、会食の翌日にスピード違反の運転で死亡した調理師に対しても、業務上の災害を認めている。

2022年1月4日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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