大統領の『猛暑時間帯作業中止』要求に労働部「現場点検強化」 2021年7月30日 韓国の労災・安全衛生

28日午後、ソウルのマンション建設現場。昼食を終えた一人の労働者が飲料水を持って現場に移動している。/イ・ジョングン専任記者

文在寅大統領が猛暑で労働者が倒れないように、作業中止を行政命令で強制する方案を考えて欲しいと要求したことに関して、雇用労働部が「作業現場を積極的に点検する」と明らかにした。

アン・ギョンドク雇用労働部長官は、猛暑で熱中症患者が発生する心配が大きくなると直ぐに、ソウル市中区のある建設現場を訪問して「猛暑対備三大基本規則を守って欲しい」と頼んだ。また8月末まで、安全保健公団と民間の建設災害予防専門指導機関などと一緒に、6万余りの建設現場に熱中症予防規則の遵守と、蒸し暑い時間帯(午後2~5時)の作業中止措置が正しく実施されるように、集中的に指導・点検すると明らかにした。

アン長官は「猛暑による災害を防ぐために最も効果的な方法は、暑い時間帯に仕事をしばらく休むこと」とし、「蒸し暑い時間帯に屋外作業が行われないように、現場を持続的に指導・点検する」と強調した。また労働部は現場点検を強化する一方で、猛暑対策が現場でキチンと履行されるための追加対策を、関係部署と協議して作っていると明らかにした。

労働部が20日に配布した『熱射病予防履行ガイド』は、△規則的に水を飲む時間の提供、△太陽の光を完全に遮る十分な広さの陰の提供、△猛暑特報発令時に1時間に10~15分の休み時間の配置、△労働者が健康上の理由で作業中止を要請する場合、事業主が応じること、等を内容としている。産業安全保健法の下位法令である産業安全保健基準に関する規則を政府が解釈して毎年配布するガイドラインだが、強制事項でなく勧告なので、これを守らなくても不利益は生じない。そのため、大統領は前日、「産業安全保健法の一般規定でも作業中止と勤労者を待避させる行政命令を出すことができるかを確認しなさい」と指示した。

労働部は時間の掛かる法改正によって当面の猛暑に備えることは難しいとみて、現場の啓蒙に力を注ぐものの、事業主の協力を引き出す方案に苦慮していると明らかにした。労働部の関係者はハンギョレとの電話で「産業安全保健法上の作業中止要件は『緊迫した危険』だが、これを猛暑と解釈するように個別の事業主に強制することは難しい。」「事業主が各種ガイドラインにどうすれば積極的に従うのか、関係部署と協議して対策を検討している」と明らかにした。

2021年7月30日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1005915.html