【ハラスメント防止に職場でどう取り組むか?】職場レベルでの取り組み:暴力・ハラスメント防止のための労働安全衛生OSHマネジメントの強化-国際労働機関(ILO)「暴力・ハラスメントのない安全で健康的な労働環境」(2020.7.24)から

[ILO]第190号条約によれば、加盟国は、労働の世界における暴力・ハラスメントを防止するための適当な手段を講ずることを使用者に要求する法令を制定しなければならない。第9条によれば、使用者は、以下のことを行わなければならない。

(a)労働者・労働者代表と協議したうえで、暴力・ハラスメントに関する職場方針を策定・実施すること。

(b)労働安全衛生マネジメントにおいて暴力・ハラスメント及び関連する心理社会的リスクを考慮に入れること。

(c)労働者・労働者代表の参加を得て、暴力・ハラスメントのハザーズを特定し、リスクを評価すること、及びそれらを防止・管理すること。

(d)労働者その他の者に対し、適当な場合には利用しやすい様式により、暴力・ハラスメントの特定されたハザーズ・リスク及び関連する防止・保護措置((a)に規定する職場方針との関連における労働者その他の関係する者の権利・責任に関するものを含む)に関し、情報・訓練を提供すること。

労働における暴力・ハラスメントを効果的に防止・管理するためには、健全な労働安全衛生マネジメントシステム(OSH-MS)に(暴力・ハラスメントを含め)心理社会的リスクが統合されなければならない。実際、OSH-MSには、労働者の安全・健康を維持するための事業所の努力を確立・監視・評価するとともに、国の法律を遵守するための一連の活動・プロセスが含まれている。

ILOの労働安全衛生マネジメントシステムに関するガイドライン(ILO-OSH 2001)は、職場方針-計画、実行、評価及び改善のための行動-の諸要素を含んだ、OSH-MSの確立のために適切な手配をすることを提唱している。つまり、このプロセスは、1950年代に事業のパフォーマンスを継続的に監視するために確立された、「Plan-Do-Check-Act(PDCA)」の基本原則に従っている。

過去数十年間、OSH-MSアプローチは、一般的になってきており-先進国と開発途上国の双方で導入されてきている。その適用を促進する方法は、法的要求事項から自主的な活用まで様々であり、経験は、OSH-MSが事業所レベルにおける労働安全衛生パフォーマンスの継続的改善のための論理的かつ有用なツールであることを示している。

(暴力・ハラスメントに関連したものを含め)心理社会的ハザーズ・リスクをOSH-MS及びリスクアセスメント・プロセスに統合するために、いくつかのガイダンスや基準が開発されている。例えば、世界保健機関(WHO)は、「PRIMA-EF:心理社会的リスクマネジメント・エクセレンス・フレームワーク」を開発している。このツールは、労働関連ストレス、労働関連暴力・ハラスメントを防止するための心理社会的リスクマネジメントのプロセスにおいて、使用者と労働者代表を支援することを目的にしている。

カナダでは、「職場における心理社会的安全衛生基準[規格]」(CAN/CSA-Z1003-13/BNQ 9700-803/2013)が、心理社会的に健康的で安全な職場を開発・維持するための文書化された体系的アプローチについての要求事項を規定している。これは、伝統的な労働安全衛生マネジメントシステムでは考慮されていないかもしれない労働環境の様々な側面を考慮しつつ、他の関連するOSH及び認識されたマネジメントシステム基準と協調することを意図したものである。これには、心理的支援、組織文化、明確なリーダーシップと期待、認知と報酬、作業負荷管理、ワークライフバランスや暴力・いじめ・ハラスメントからの心理的保護が含まれる。

4.1 暴力・ハラスメントに関する職場方針

ポジティブな組織文化を醸造することは、労働における暴力・ハラスメントを根絶するために非常に重要である。これは、暴力・ハラスメントを許さない、または見返りを与えない労働環境を創ることが、(敵対的ではなく)社会的にふさわしく、(差別的ではなく)包摂的であり、(競争ではなく)労働者間の協力を促進し、組織全体を通じて強力(かつ建設的)な意思疎通プロセスを備え、尊敬の念をもった仕事ぶりを促進する優れた方針が実施(及び使用)されていることを意味している。

この文脈において、使用者の最初の防止手段は、労働者代表と協議のうえで、明確かつ簡潔な職場暴力・ハラスメント方針を策定すること-及び、この方針を周知することである。それはその後、労働者の身体的・精神的健康及び福祉の促進を目的とした、より広い職場労働安全衛生方針に統合することができる。

第206号勧告(段落7(a)~(g))によれば、職場暴力・ハラスメント方針は以下でなければならない。

▶(a)暴力・ハラスメントが許容されないことを明記すること。

▶(b)暴力・ハラスメントの防止のための計画であって、適当な場合には測定可能な目標を伴うものを作成すること。

▶(c)労働者及び使用者の権利と責任を明記すること。

▶(d)申し立て及び調査の手続に関する情報を含めること。

▶(e)暴力・ハラスメントの事象に関連する内部及び外部からのすべての通報は、適切な考慮が払われ、適当な場合には処理されることを定めること。

▶(f)すべてのハザーズについての労働者の知る権利との均衡を保ちつつ、(…)個人のプライバシー及び秘密性に係る権利を明記すること。

▶(g)申し立てを行った者、被害者、証人及び内部告発者を迫害または報復から保護するための措置を含めること。
また、暴力・ハラスメントに関する職場方針には、以下を含めることもできる。

▶あらゆる形態の職場暴力・ハラスメントを管理・防止するとともに、そのために必要なリソースを提供するという使用者及び/または上級管理者の公約

▶身体的、精神的及び性的暴力-内部及び第三者暴力も含め、様々な種類の職場暴力の定義と事例

▶管理者、労働者、顧客、独立した請負業者及び事業所と関連のあるすべての者に対する方針の適用に関する声明

▶労働者、管理者、顧客、請負業者-または職場における他のすべての者-に対するいかなる形態の差別的またはハラスメント行為も容認されず、差別またはハラスメント行為に携わるすべての者は懲戒の対象になるという声明

▶防止措置を策定するプロセスの説明

▶職場で行われる暴力・ハラスメントに関する訓練の説明

▶暴力・ハラスメントの潜在的リスクが労働者に知らされることの説明

▶管理者と労働者の間の効果的なコミュニケーション手段の構築

▶(目撃者が報告する可能性を含め)職場暴力・ハラスメントの事例を報告する手続に関する情報の提供

▶申し立てた者の秘密性を確保し、報復及び/または迫害から保護するための手続に関する情報の提供

▶暴力行為の結果に関する明確な情報を含め、申し立てが調査及び解決される手続に関する情報の提供

▶暴力・ハラスメントの被害者に対して支援サービス(例えばカウンセリング)を提供するという公約

▶管理者、監督者、労働者と労働者代表、OSHスタッフ等の各々の役割と責任の説明

▶適用される法令上の要求事項に関する声明

▶方針を監視・レビューするための仕組み
また、方針は、心理的暴力、言葉による及び言葉によらない脅迫や関連する行為-(セクシャルハラスメントを含め)ハラスメント、いじめや差別-も含まれることを明確にしなければならない。
最後に、効果的であるためには、方針は容易にアクセスが可能で、一貫して適用されなければならない。掲示板、イントラネットやチームミーティングなどの手段によって周知・促進されなければならない。管理者はまた、労働者と方針について話し合わなければならない。

4.2 リスクマネジメント

多くの国で国の労働安全衛生法令が、使用者は、職場と関係した様々な安全衛生リスクを特定し、低減し、可能な限り防止するために、それらを評価しなければならないと規定している。

暴力・ハラスメント予防に関連したものを含め、職場労働安全衛生計画の成功は、存在するハザーズの特定及び関連するリスクの評価における労働者と使用者の協力にかかっている。経営陣がリスクの管理に責任を負っているものの、労働者は、施設の運営、プロセス活動や潜在的脅威を認識し、精通していることから、職場ハザーズの特定・評価を助けるうえで果たす重要な役割をもっている。

ハザードの特定とリスクアセスメント

ハザードの特定とリスクアセスメントは、心理社会的リスク要因と暴力・ハラスメントに関連したハザーズ・リスクを含め、存在するすべての職業ハザーズ・リスクに対処しなければならない。使用者は、暴力・ハラスメントの可能性を増幅しそうな特性を特定するために、物理的なレイアウトと組織の特徴を監査し、また、既存の管理措置の評価を実施することができる。

この文脈において、第206号勧告(段落8)によれば、以下のハザーズ・リスクに特別の注意が払われなければならない。

(a)労働条件と就業形態、業務編成及び人的資源管理から生ずるもの

(b)依頼者、顧客、サービス提供者、利用者、患者、講習等の第三者が関与するもの

(c)差別、力関係の濫用、及びジェンダー、文化的・社会的規範であって暴力・ハラスメントを助長するものから生ずるもの
労働者調査は、職場暴力・ハラスメントに関連する具体的ハザーズを特定するうえで成功してきた。また、労働者が日常的に直面している諸問題を特定し、今後の評価のためのベースラインを確立するのにも役立つ。

組織によっては、依頼者/顧客調査も実施する必要があるかもしれない。依頼者・顧客は、職場暴力・ハラスメントのリスクとその蔓延の特定にさらに役立つ可能性がある。

潜在的なハザーズを特定するために、使用者は、過去の職場調査報告、事象・事件報告、労災補償請求、病気休暇や離職の登録、苦情の記録、パフォーマンスの測定・スキームなど、既存の記録を調べることによって、関連する情報を収集することができる。

使用者はまた、業種の暴力の影響の受けやすさについて知り、傾向を確認するために、地域の類似の事業所、業界団体、地域社会グループや政府機関に連絡することもできる。

囲み⑨ 労働におけるいじめを測定するための質問票
・Negative Acts Questionnaire(NAQ-R)には、労働-人に関連した行為に関する23項目からなり、過去6か月間におけるいじめ行為を検出する道具として用いられる。
・Impact of Event Scale(IES)は、22の質問からなり、過去7日間における心理的ストレス反応の測定として用いられる。
・Leymann Inventory of Psychological Terror(LIPT)は、以下の5つのカテゴリー-「自己表現・コミュニケーション、社会的接触、個人的評価、職業的状況・生活の質・身体的健康への影響」-に含まれる45の質問からなる。この質問票はいじめ・嫌がらせを検討するものである。
・Danish Copenhagen Psychosocial Questionnaire(COPSOQ)は、自己評価アプローチを活用した調査として知られている。(ゴシップや中傷、喧嘩や衝突、不快なからかい、望まない性的注目、暴力の脅し、暴力やいじめを含め)調査した言動、攻撃の強度及び加害者に関する詳細な情報を提供する。COPSOQ法は、心理社会的ハザーズのリスクアセスメント及び研究でもっとも使用されている測定法として、国際的に重要な位置を得ている。(ベルギー、ブラジル、チリ、ノルウェー、スペインやスウェーデンを含め)多くの国で適用・翻訳されている。
・Inventory of Violence and Psychological Harassment(IVAPT)は多くのラテンアメリカ諸国や日本で国の状況に適用され、有効性を確認され、広く使用されている。22の質問は、労働における心理的暴力の存在、頻度及び強度を特定することを目的としている。

リスクの防止・管理

ハザーズを特定し、関連するリスクを評価した後の次のステップは、そのようなリスクを防止・管理するための措置を採用することである。

身体的職場暴力を防止するための措置は、鍵や警報器、訪問者の記名入場手続や労働者の補助である。

心理的暴力・ハラスメントを防止するためには、様々な環境的・組織的措置が検討されなければならない。例えば、個々人の職務要求が明確に定義され-役割、責任と仕事量について、労働者からの定期的なフィードバックを求めなければならない。労働者は、その責任を効果的かつ安全に遂行するために必要な資源、情報及び訓練を提供されなければならない。チームワークと協力が奨励されるべきである。制度的な上下関係や力関係が心理的暴力の一因となることは否定できない。したがって、管理者・監督者に、ポジティブなリーダーであるために必要な訓練、支援及び指導が提供されていなければならない。同様に、組織は、リーダーが職場暴力を見たり、気づいたときに、タイムリーなやり方で行動することを確保する必要がある。前述したように、心理的暴力、とりわけいじめやハラスメントは、よい経営慣行と効果的なコミュニケーションによって抑制することができる。

最後に、組織変更時には、職場全体を通じた、それらの変化についての効果的なコミュニケーションがもっとも重要である。

囲み⑩ トランスフォーメーショナルリーダーシップ
監督者や管理者のリーダーシップのスタイルは、健康的な労働環境の重要な決定要因である。実際、調査研究によって、いじめの発生率が低いリーダーシップのタイプとして、「トランスフォーメーショナル[変革的]リーダーシップ」が指摘されている。それは、リーダーがカリスマ性、精神的モチベーション、知的刺激や個々人に対する配慮を備えたリーダーシップのアプローチである。このようなリーダーは、部下や社会システムにポジティブな変化を引き起こす。トルコの25の小中学校の500人の教師に関する調査で、「トランスフォーメーショナルリーダーシップ」の特性を備えた校長は、学校の組織的衛生を改善し-結果的に、教師が職場いじめを経験するいじめが相対的に少ないことがわかった。
同様に、職場暴力・ハラスメントを容認できないことに関する明確な方針・手続は、明らかに暴力の心理社会的リスクを低減させる。実際、トランスフォーメーショナルリーダーに投資することは、暴力・ハラスメントの傾向を減らし、労働条件の全般的改善により労働者の生産性を向上させる。

防止措置は、第三者暴力・ハラスメントにも対処しなければならない。例えば、強盗や保安措置違反が発生した場合に用いられる、適切な緊急時手順が採用されていなければならない。暴力・ハラスメント防止措置は、照明、鍵や防犯カメラのチェックなど、日常手順に組み入れられるべきである。使用者はまた、コミュニケーションの問題にも注意を払い、労働者に対して、彼らの依頼者、患者、顧客、乗客やサービスを提供する対象の一般の人々が関わった敵対的状況を効果的に緩和する方法に関する指示を与えなければならない。警報システムの設置や「バディ」システムの構築は、緊急事態に対応するために採用することのできる措置の例である。

囲み⑪ 組織変更をうまく管理する
組織変更は、職場暴力・ハラスメントやいじめと強い関連性をもっている。多くの研究者が、組織変動時における独裁的・権威的リーダーシップ慣行、競争、対人葛藤、仕事量や仕事の不安定さの増大が、暴力・ハラスメントの増加と関連しているというセオリーを提起している。したがって、そのような緊迫した時期に暴力・ハラスメントが増加する可能性を認めた、適切かつ戦略的な変更管理プロセスが不可欠である。

職場暴力・ハラスメントが発生した場合に対応及び影響を最小化し、また、将来における同様の事態の発生を防止するために、適切な措置が計画されなければならない。これには、報告・申立手続や紛争解決システムが含まれる。これらの措置がつくられたら、実行するとともに、すべての関係者に適切に周知する必要がある。

労働者は、事件や事象、とりわけ職場暴力・ハラスメントの事例を報告することを躊躇することも多い。これは、報告が受理・対処され、秘密性に対する権利が尊重される確信がもてない場合-または、事象を報告したことが自らの仕事に否定的影響を与えるかもしれないと感じる場合に当てはまる。例えば、国民保健サービス(イギリス)の労働者を対象としたある調査は、いじめの事象を報告することによるおそれを含め、職場に「おそれの文化の蔓延」があることを示している。2019年に行われた342人のオーストラリアの航空・救助消防隊員の調査でも、同様の文化が指摘されている。

暴力・ハラスメントの報告を促進するためには、報告・申立手続を労働者と協力して策定し、新たな労働者を含めすべてのスタッフに明確に周知しなければならない。労働者を管理する者は中立的で、訓練を受けており、その職務を行う能力を有する者でなければならない。彼らは、当事者の尊厳とプライバシーを守るとともに、不適切な申し立てを回避するための運用メカニズムを挿入するために、必要な分別をもって手続を進めなければならない。

また、報復を避けるために申立人と証人を保護することも重要であり-これは、有給休暇または別の職場・場所への異動というかたちをとることも可能である。中断や遅延を防ぐことが、これらの問題を解決するための核心である。

暴力・ハラスメントの事例の報告及び/または申し立てがあった場合には、加害者(たち)に関連した適切な措置も講じられなければならない。被害者(たち)は支援を受け、また必要な場合には復帰について援助を受けるべきである。

職場暴力・ハラスメントの報告・発生に対する効果的な対応が、暴力を止めるための鍵である。それは、労働者に対して、職場暴力・ハラスメントは真剣に受け止められ、一貫した対応がとられるというメッセージを与えることにもなる。このことは、平和的な職場文化の制度化に役立つだろう。国の法的要求事項その他の要求事項がしばしば、労働における暴力・ハラスメントの防止・管理に関する職場レベルの規制を決定し得ることは言うまでもない。しかし、表3[「職場暴力・ハラスメントに対応するためのグッドプラクティス」]は、この状況に対する職場の対応において存在するかもしれない原則と対応の種類についてのよい枠組みを提供している。

4.3 労働安全衛生訓練・情報への暴力・ハラスメントの統合

労働者、管理者・監督者は、職場暴力・ハラスメントの概念の意味する内容を知っていなければならず-また、その防止・対応における彼らの責任の所在を正確に知っていなければならない。訓練計画は、対象となる聴衆(労働者、労働者の労働安全衛生代表、合同労働安全衛生委員会の委員、監督者、管理者等)の具体的必要性にあったものでなければならず、また、彼らの職場に関したものでなければならない。

訓練は、(労働者、管理者・監督者を含め)すべてのスタッフが同じルール・方針を理解・順守し、平等に褒賞され、まずい行為については処罰されることを確保しなければならない。

新規及び見込みの労働者は、組織に入る前、例えばリクルート、オリエンテーションや研修中に、容認できない暴力・ハラスメントと尊敬の念をもった職場方針に関する適切な情報を受けるべきである。
労働者が監督的/管理的地位に昇進する場合、彼らは、そのポストに就く前に、よい管理者/監督者である方法について具体的訓練を受けるべきである。彼らは、職場暴力・ハラスメントを特定・対応するための適切なスキルを身につけていなければならない。
労働者の労働安全衛生代表は、職業上の暴力・ハラスメントの原因と結果を理解するための訓練を受け、(差別に関連した暴力・ハラスメントを含め)それを防止する方法を教えられているべきである。彼らはまた、暴力・ハラスメント方針とその実施に関する詳細を与えられ、(組織内外で)支援を受ける方法・場所について知らされていなければならない。

また、フェアや展示会の開催、パンフレットの配布などを通じて、訓練プログラムと情報普及を家族や地域社会に広げることを検討することも重要である。

4.4 監視と評価

監視と評価は、あらゆるOSH-MSの重要な要素である。暴力・ハラスメントに関連したものを含め、実施されているすべての労働安全衛生計画・措置は、組織が職場暴力・ハラスメントとその結果を防止するその能力を強化し続けることを確保するために、定期的に監視・評価されなければならない。

報告された暴力・ハラスメント事例及びその他の記録(例えば退社時インタビューや欠勤の記録など)の記録の保存を維持することが重要である。
定期的に実施される、暴力・ハラスメントと心理社会的リスクを評価する職場調査は、実施されている措置の有効性に関する有用な指標を提供するかもしれない。

定期的な評価は、組織が、新たなまたはこれまで気づかなかったリスク要因や、リスク防止管理計画の不備や失敗を特定するのに役立つ。評価はまた、職場暴力・ハラスメント規制の遵守を改善するのにも役立つ。これらの評価の結果は、取締役会のメンバーや安全衛生代表に提供されるべきである。

※報告書「暴力・ハラスメントのない安全で健康的な労働環境」の構成は、1. 労働の世界における暴力・ハラスメント:安全と健康に対する脅威/2. 労働の世界における暴力・ハラスメントに対処するOSH法的枠組み/3. 国のOSHイニシアティブ・慣行/4. 職場レベルでの取り組み:暴力・ハラスメント防止のためのOSHマネジメントの強化(今回紹介)/5. 今後の方向、となっている。
「1.3 労働における暴力・ハラスメントに関連するOSHリスク要因」では、職務要求、職務コントロール、職務設計、役割の明確さ、職場の人間関係、リーダーシップ・スタイル、組織的正義、組織変更の管理、物理的労働環境、(一人作業、一般の人々との対応等の)一定の労働状況等が取り上げられている。

https://www.ilo.org/global/topics/safety-and-health-at-work/resources-library/publications/WCMS_751832/lang–en/