スターバックス労働者、5年間で精神疾患『172人→613人』 2021年9月28日 韓国の労災・安全衛生

チョン・キフン記者

顧客の迷惑行為など強い感情労働に曝されたスターバックスの労働者に、精神疾患の心配が大きいことが分かった。昨年だけで613人がうつ病などの精神疾患で診療を受けた。

正義党のリュ・ホジョン議員が国民健康保険公団と勤労福祉公団の資料を分析した結果、昨年スターバックスコリアの事業場全体で、労働者613人が精神疾患で診療を受けた。憂うつエピソード(うつ病)診療の340人をはじめとして、△再発性憂うつ障害が26人、△恐怖性不安障害が18人、△その他不安障害が163人、△激しいストレスに対する反応と適応障害が66人で、診療件数は3879件にもなる。労働者一人が平均6.3回の診療を受けた。

精神疾患を訴えるスターバックスの労働者は着実に増えた。最近5年間の統計を見ると、2016年に172人だった精神疾患で診療を受けた労働者は、翌年の205人から2018年の411人に急に増えた。2019年に575人を記録した後、昨年初めて600人台を超えた。

スターバックスコリアの強い感情労働の問題は以前から提起されていた。2017年に既に感情労働関連の産業安全監督で、4件の是正措置を勧告されることもあった。それでも昨年蔚山地域のスターバックスの売り場で顧客と売り場の管理者の迷惑行為が明らかになって、会社代表が国政監査に証人として出席することもあった。当時、ソンデービッド・ホソプ代表は「足りない部分が多い」とし、「スターバックスが持っているブランドパワーで顧客文化自体を変えられるように、最善を尽くす」と答えた。

専門家たちは感情労働が精神疾患の背景になると警告した。サービス業の特性上、顧客の応対に伴う苦情が溜まって、精神疾患を誘発しかねないということだ。このような状況はスターバックスコリアも認めている。スターバックスコリアが内部的に実施する心理相談プログラムの参加者は、2019年の130人余りから昨年の260人余りに、2倍以上増えた。

この間に産災も急増した。勤労福祉公団の資料によれば、2016~2020年の5年間に、スターバックスコリアの労働者の産災補償申請は80件で、この内75件が承認された。申請は2016年に4件、2017年に2件で、2018年に10件、2019年に16件に増え、昨年は48件で2019年から3倍に急増した。産災の承認もやはり2016年に3件、2017年に1件、2018年に9件、2019年に5件、昨年は47件を記録した。

相談件数は急増したが、精神疾患による産災の申請は依然として大変少ない。昨年、47件中、事故による申請は45件(承認44件)だったが、疾病による申請は3件(承認3件)に過ぎない。

仕事と健康のハン・イニム事務局長は「スターバックスの売り場と役職員の数が、最近の数年間で大幅に増えたとは思えないが、精神疾患の診療と産災は3倍近く増加した。」「急増と解釈できる」と話した。彼は「労働者本人が、自ら精神疾患のような精神・身体状態の異常を感じて診療を受けたという事実だけでも、十分に注目すべき状況」で、「急増の背景には、顧客の迷惑行為だけでなく、コロナ19で困難が大きくなった中で、売り場の売り上げ成果の圧力といった要因も重なったのだろう」とした。

産災申請が急に増えて国政監査でも議論になったが、雇用労働部は2017年の勤労監督以後、今までに一度も勤労監督をしなていいことが分かった。リュ・ホジョン議員は「スターバックスコリアに対する監督が2017年以後はなかった」とし、「労働部が産業安全保健勤労監督にさらに積極的に取り組むべきだ」と強調した。

一方、スターバックスコリア側は「精神疾患の憂慮が大きい職種で、コロナ19による憂うつ感の全般的な増加が深刻な状況で、会社も持続的に精神疾患の相談を行っている。」「成果給は売り上げを超過達成する売り場が多く、受けら取れないケースはないので、ストレスの要因ではない」と反論した。

2021年9月28日 毎日労働ニュース イジェ記者

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