感情労働者保護法施行6年目「実効性がない」/韓国の労災・安全衛生2024年10月18日
ソウル住宅都市公社コールセンターの労働者のチェ・ユンヒ(46)さんは、午前11時48分になると胸がどきどきすることが多い。職場で「涙、鼻水を流した日」が思い出されるからだ。ある日の午前11時48分、チェ・ユンヒさんは、ソウル住宅都市公社の賃貸アパートに住む請願者からの電話を受けた。他の住民がアパートの前にゴミを捨てるという内容だった。
チェ・ユンヒさんにできることは何もなかった。「管理事務所に言ってみるのはどうですか」と提案すると、請願者は怒りを吐き出しながら、請願内容を続けて復唱しろと言った。電話は約1時間40分続いた。チェ・ユンヒさんは本当に死にそうだったが、こちらから切ることができないので、弾除けになったようだったと訴えた。
産業安全保健法41条(顧客の暴言などによる健康障害予防措置など)に、感情労働に関する法律が作られて、18日で6年を迎えるが、依然として現場ではチェ・ユンヒさんのような状況を体験しなければならない労働者が多いことが明らかになった。
産業安全保健法は、第三者の暴言などで労働者に健康障害が発生したり発生するおそれがある場合、事業主が大統領令で定める、△業務の一時的な中止または転換、△休憩時間の延長、△健康障害関連の治療と相談支援、などをしなければならない、という内容になっている。
労働者が体感する変化は遅かった。最近、感情労働全国ネットワークが出した、公共と民間部門の事業場の、感情労働法の施行以後の変化の状況調査によれば、事業主が感情労働者保護のために、積極的な意志を示さないと考える労働者が71.2%と調査された。先月20日から30日までの10日間で行われた調査では、公共部門(128ヵ所)と民間部門(49ヵ所)の事業場の労組幹部が応えた。
また、産業安全保健法41条の施行後にも「顧客の非正常的な要求・暴力から、自由に避けられない」と答えた回答者は54.5%だった。加害顧客から避けて休める休憩空間が適当ではないという回答者も、57.6%で半分を越えた。
施行令を履行しない事業場と悪性顧客に対する罰則条項など、法的拘束力を強化しようという声が出ている。ネットワークのキム・ジョンジン共同運営委員長は、「処罰、教育の義務化、定期モニタリングができるように、国会が拘束の制度を変えることが急がれる」として「法を変えたり、政策を転換しなければ、毎回調査する度に『私たちの事業場では役に立たない』という答が出てくるだろう」と批判した。
2024年10月18日 毎日労働ニュース カン・ハンニム記者
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