労災(産災)治療ための薬品で亡くなっても労災(産災) 2021年9月24日 韓国の労災・安全衛生

ソウル、瑞草区のソウル行政法院庁舎全景/資料写真ホン・ジュンピョ記者

急性脳梗塞で業務上疾病を認められた労働者が、薬品治療を受けている間に死亡したとすれば、医学的な因果関係が明らかでなくても、既存の業務上疾病と死亡との間に因果関係が認められるという判決が出た。裁判所は治療のために投与した薬品の副作用で、労働者の健康が悪化したと見た。

ソウル行政法院は,労働者Aさんの夫が勤労福祉公団に提起した遺族補償一時金と葬祭料不支給処分の取り消し訴訟で,原告勝訴の判決をしたと明らかにした。

食堂の職員として働いていたAさん(死亡当時36才)は、2017年8月頃、急性脳梗塞を起こした。公団はこれを業務上疾病と認定し、2018年10月17日までの療養を承認した。Aさんは療養期間中に抗凝固剤を持続して投薬した。ところがAさんは2018年10月1日、睡眠中に嘔吐して呼吸困難症状を示し、病院に護送されたが小腸出血で亡くなった。

Aさんの夫は、急性脳梗塞に対する不適切な治療が妻の死亡の原因として、公団に遺族給付と葬祭料の支給を請求したが、公団は『疾病と死亡の間に因果関係が認められない』という諮問所見などを根拠に支給を拒否した。

Aさんの夫は産業災害補償再審査委員会の再審査まで棄却され、昨年2月に訴訟を起こした。

裁判所は「急性脳梗塞とAさんの死亡原因になった小腸出血の間に相当因果関係が認められる」として、Aさんの夫の請求を認容した。裁判所は、療養期間中に投薬した抗凝固剤などによって小腸出血の危険が増加したと判断した。

裁判所は「Aさんが抗凝固剤などを投薬された期間に比べて、実際の投薬量は少なかったなどの特別な事情を示す反証がない以上、Aさんが疾病を治療する過程で長期間処方された抗凝固剤などによって出血の危険が増加し、多量の小腸出血に繋がる原因になったと推定される」と判示した。

続けて、「抗凝固剤などの副作用によってAさんの消化器官状態が悪化して、小腸出血がより一層容易に発生したり、出血量が死亡に達する程に増加した可能性を排除することはできず、そういう可能性が無視できるほど希薄だと見る根拠もない」と判示した。

2021年9月24日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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