アスベスト(石綿)労災で亡くなった元労働者の遺族等から情報公開を求められた場合の厚生労働省の対応で新通達(令和2(2020)年3月26日付け)基補発0326第1号等)

【注意】本通達は令和3(2021)年12月1日付け基補発1201号等によって改正されています。

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※ <最新>アスベスト(石綿)労災認定等事業場の検索サイト-2019年度認定分加え更新2020.12.16~過去に労災認定あった会社を探すために~

アスベスト(石綿)労災で亡くなった元労働者の遺族から情報公開を求められた場合の厚生労働省の対応で新通達(令和2(2020)年3月26日付け)基補発0326第1号等)が発出されていることが判明した。取り急ぎ、情報開示請求によって入手した新通達の内容のみをお伝えする。

令和2年3月26日付け都道府県労働局労働基準部長宛て厚生労働省労働基準局基総発0326第2号(総務課長)/基監発0326第1号(監督課長)/基補発0326第1号(補償課長)/基安安発0326第2号(安全衛生部安全課長)/基安労発0326第4号(労働衛生課長)通達

「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく遺族等からの開示請求に係る対応について(周知)」の一部改正について

標記については、平成30年6月13日付け基総発0613第1号、基補発0613第1号、基安労発0613第1号により指示しているところであるが、令和2年2月5日付 けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(令和元年度(行個)答申第124号)を踏まえ、別添のとおり改めることとしたので、その取扱いに遺漏なきを期されたい。

別添「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく遺族等からの開示請求に係る対応について(周知)」新旧対照表

改正後

(略)
なお、石綿工場で石綿粉じんにばく露した元労働者の遺族等から和解要件を満たすことを確認するために必要と認められる行政文書の提供を求められた場合、行個法に基づく開示請求については、上記で述べた特別な場合を除き不開示として対応する必要があるが、和解手続きを円滑に進める観点から、当該遺族等が和解手続のために国に対して損害賠償請求訴訟を提起している、または提訴を予定している場合には、平成29年3月31日付け基総発0331第1号、基補発0331第5号、基安労発0331第3号(令和元年10月7日一部改正)「アスべスト訴訟の和解手続に係る情報の提供について」により、行政サービスとしてじん肺管理区分決定通知書及び労災保険給付支給決定通知書のみを提供することとしているところである。

また、大阪地裁令和元年6月5日判決(平成30年(行ウ)第75号保有個人情報不開示決定処分取消請求事件。以下「大阪地裁令和元年6月5日判決」という。別紙2参照)において、死亡労働者に係るそれぞれの遺族(原告の母)の遺族給付等に関する各調査結果復命書等の情報は、原告が死亡労働者から相続した財産であり、死亡労働者の国に対する石綿による健康被害に係る各損害賠償請求権の発生要件が充足されているか否かを直接的に示す個人情報という性質を有するものであり、原告(原則として法定相続人たる遺族)らの「自己を本人とする個人情報」にあたるとの判断がなされたことを踏まえ、当該労災保険給付に関わる死者の情報に関して開示しているところである

今般、令和2年2月5日付けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(令和元年度(行個)答申第124号。別紙3参照)において、遺族は、「被災労働者の遺族として労働者災害補償保険法に基づく遺族補償一時金を請求し」、「その支給決定を受けた」場合であって、当該労働災害に関し、特定事業場に対する損害賠償権を取得し得る場合は、災害調査復命書は、遺族の「損害賠償請求権の存否に密 接に関連する」ため、「その遺族である審査請求人を本人とする保有個人情報にも該当すると認められる」とされたことを踏まえ、改めて死者の情報について遺族等から行個法に基づく開示請求がなされた場合の取扱いについて、下記のとおり周知する。各局においては、関係職員に対して改めて周知する等、下記に基づく対応を徹底されたい。

1 行個法に基づく遺族の開示請求権について

(1)開示に関する原則

行個法に基づく開示請求権については、行個法第12条第1項において、「行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる」と規定されており、下記(2)で述べる場合を除き、死者の情報は、遺族を本人とする保有個人情報とは解されないことから、遺族は死者の情報について行個法に基づく開示請求権を有していない。従って、行個法に基づく遺族等による死者の情報の開示請求については、原則として不開示で対応すること。

(2)例外的に開示する場合

①遺族が労災保険給付を受給していた場合

平成21年3月12日付けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(平成20年度(行個)答申第221号)の判断を踏まえ、死者が労災保険給付を受けていた疾病等に関して遺族として労災保険給付を請求し、支給を受けている又は過去に受けたことがある場合は、当該労災保険給付に関わる死者の情報に関しては、遺族も開示請求権を有していると解し、開示すること。

また、令和2年2月5日付けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(令和元年度(行個)答申第124号)の判断を踏まえ、労働災害の被災労働者の死亡後、被災労働者の遺族として労働者災害補償保険法に基づく遺族補償を請求し、支給決定を受けている又は過去に受けたことがある場合であって、当該請求人が損害賠償請求権を取得し得る場合は、当該労働災害に関する監督復命書、災害調査復命書、安全衛生指導復命書及び労働者死傷病報告(以下「監督復命書等」という。)に関しては、遺族も死者の情報について開示請求権を有していると解し、開示すること。また、当該労働災害に関するじん肺管理区分の決定、健康管理手帳の交付決定等に係る決裁文書一式及び当該決定等を通知した文書についても、監督復命書等と同様に、遺族の損害賠償請求権の存否に密接に関連するものとして、開示とすること。

なお、例外的に遺族が死者の情報について開示請求権を有すると認められる場合であっても、死者の情報全てについて開示請求権があると解されるものではなく、その範囲は、上記の死者の情報に限られることに留意すること。

(※)開示対象文書について判断に迷う場合には、本省担当課に相談すること。

②遺族が和解手続のためにアスベスト訴訟を提起(予定を含む)している場合(①の場合を除く)

大阪地裁令和元年6月5日判決を踏まえ、石綿工場で石綿粉じんにばく露した元労働者の遺族(原則として法定相続人(※))が和解手続のために国に対して損害賠償請求訴訟を提起している又は予定している場合には、死亡労働者の国に対する石綿による健康被害に係る各損害賠償請求権の発生要件が充足されているか否かを直接的に示す個人情報であり、遺族も開示請求権を有していると解し、開示すること。(以下略)

2 アスべスト訴訟の和解手続に係る情報提供について(略)

(別紙1)(略)

(別紙2)(略)

(別紙3)
<令和2年2月5日付けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(令和元年度(行個)答申第124号)の概要>

・遺族補償一時金の支給決定を受けた審査請求人は、本件労働災害に関し、被災労働者が勤務していた特定事業場に対する損害賠償請求権を取得し得る立場にあると考えられるところ、本件対象保有個人情報(災害調査復命書及び添付資料)は、本件労働災害の発生状況及び原因並びに本件労働災害が発生したときの状況に関する図等、損害賠償請求権の存否に密接に関連する情報であると認められる。

・本件対象保有個人情報は、死亡した被災労働者についての個人に関する情報であると同時に、その遺族である審査請求人を本人とする保有個人情報にも該当すると認められるので、審査請求人は、本件対象保有個人情報に対する開示請求権を有すると認められる。

(参考様式)(略)

(参考)

改正前

(略)
また、石綿工場で石綿粉じんにばく露した元労働者の遺族等から和解要件を満たすことを確認するために必要と認められる行政文書の提供を求められた場合、行個法に基づく開示請求については、上記で述べた特別な場合を除き不開示として対応する必要があるが、和解手続きを円滑に進める観点から、当該遺族等が和解手続のために国に対して損害賠償請求訴訟を提起している場合には、平成29年3月31日付け基総発0331第1号、基補発0331第5号、基安労発0331第3号(平成30年4月4日一部改正)「アスべスト訴訟の和解手続に係る情報の提供について」により、行政サービスとしてじん肺管理区分決定通知書及び労災保険給付支給決定通知書のみを提供することとしているところである。

今般、大阪地裁令和元年6月5日判決(平成30年(行ウ)第75号保有個人情報不開示決定処分取消請求事件。以下「大阪地裁令和元年6月5日判決」という。別紙2参照)において、死亡労働者に係るそれぞれの遺族(原告の母)の遺族給付等に関する各調査結果復命書等の情報は、原告が死亡労働者から相続した財産であり、死亡労働者の国に対する石綿による健康被害に係る各損害賠償請求権の発生要件が充足されているか否かを直接的に示す個人情報という性質を有するものであり、原告(原則として法定相続人たる遺族)らの「自己を本人とする個人情報」にあたるとの判断がなされたことを踏まえ、改めて死者の情報について遺族等から行個法に基づく開示請求がなされた場合の取扱いについて、下記のとおり周知する。各局においては、関係職員に対して改めて周知する等、下記に基づく対応を徹底されたい。

1 行個法に基づく遺族の開示請求権について

(1)開示に関する原則

行個法に基づく開示請求権については、行個法第12条第1項において、「行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求する記(2)で述べる場合を除き、死者の情報は、遺族を本人とする保有個人情報とはみなされないことから、遺族は死者の情報について行個法に基づく開示請求権を有していない。従って、行個法に基づく遺族等による死者の情報の開示請求については、原則として不開示で対応すること。

(2)例外的に開示する場合

①遺族が労災保険給付を受給していた場合

平成21年3月12日付けの情報公開・個人情報保護審査会の答申書(平成20年度(行個)答申第221号)の判断を踏まえ、死者が労災保険給付を受けていた疾病等に関して遺族として労災保険給付を請求し、支給を受けている又は過去に受けたことがある場合は、当該労災保険給付に関わる死者の情報に関しては、遺族も開示請求権を有しているとみなし、開示すること。

例外的に遺族が死者の情報について開示請求権を有すると認められる場合であっても、死者の情報全てについて開示請求権があると解されるものではなく、その範囲は、労災保険給付に関わる死者の情報に限られることに留意すること。

②遺族が和解手続のためにアスベスト訴訟を提起(予定を含む)している場合(①の場合を除く)

大阪地裁令和元年6月5日判決を踏まえ、石綿工場で石綿粉じんにばく露した元労働者の遺族(原則として法定相続人(※))が和解手続のために国に対して損害賠償請求訴訟を提起している又は予定している場合には、死亡労働者の国に対する石綿による健康被害に係る各損害賠償請求権の発生要件が充足されているか否かを直接的に示す個人情報であり、遺族も開示請求権を有しているとみなし、開示すること。(以下略)

2 アスべスト訴訟の和解手続に係る情報提供について(略)

(別紙1)(略)

(別紙2)(略)

(別紙3)

(新規)

(

参考様式)(略)

(参考)