死亡診断書5年廃棄問題:保存期間が経過した本籍人に関する届書類の取扱いについて(依頼)事務連絡【令和2(2020)年6月16日】
死亡診断書5年廃棄問題について、11月5日、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会が法務省等と面談した際、法務省がすでにこの問題に関連して「 6月、全国50カ所の法務局に対し、戸籍法施行規則の原則に基づいて27年間保存するよう要請した」 と説明した件について、その「要請」の内容が明らかになた。
以下の2020年6月16日付事務連絡がそれである。事務連絡では、「特別遺族給付金の請求期限である令和4年3月27日までの間,5年の保存期間の経過後においても可能な限り保存するよう,御配意願います。」と「依頼」していることが判明した。放置しているわけではないということである。(ただし、すでに廃棄された分のリカバーは依然として実現できてはいない。)
- 「指示」ではなく、厚労省からの「依頼に」による、あくまで「依頼」としていること
- 「令和4年3月27日」までという、現行の石綿救済法における時効救済のための特別遺族給付金の請求期限に限った措置であるとしていること
の2点で、大いに問題である。
時効救済目的の特別遺族給付金についての請求期限のさらなる延長は、石綿被害者救済制度の本旨からして必須の課題であり、法改正をとの強い要求が被害者団体等からすでになされているところであるし、そもそも、5年経過後の死亡診断書の廃棄を可能にしている戸籍法施行規則の改正こそが必要であり、いずれも、今後の重要課題であることに変わりはない。
保存期間が経過した本籍人に関する届書類の取扱いについて(依頼)
事務連絡
令和2年6月16日
法務局民事行政部戸籍課長殿
地方法務局戸籍課長殿
法務省民事局民事第一課田中補佐官
石綿健康被害救済制度における特別遺族給付金の支給の審査に当たっては,戸籍法第48条第2項に基づく証明書により死亡労働者等の死亡原因を確認することが必要となるところ,これに関し,厚生労働省労働基準局補償課長から別添のとおり当課課長宛て協力依頼がありました。
つきましては,貴局,貴管下支局及び管内市区町村において保存されている本籍人に関する届書類については,特別遺族給付金の請求期限である令和4年3月27日までの間,5年の保存期間の経過後においても可能な限り保存するよう,御配意願います。
また,貴管下支局長及び管内市区町村長に周知方お取り計らい願います。
(別添)
法務局における死亡診断書の保存に関する協力依頼について
基補発0604第3号
令和2年6月4日
法務省民事局民事第一課長 殿
厚生労働省労働基準局補償課長
平成18 年3月27 日に施行された石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18 年法律第4号。以下「法」という。)に基づく石綿健康被害救済制度では、石綿による健康被害を受けた方やその遺族に対し、各種給付を行い、石綿による健康被害の迅速な救済を図っています。
その際、同制度における特別遺族給付金(以下「給付金」という。)では、死亡労働者又は労災保険の特別加入者(以下「死亡労働者等」という。)が法第2条第1項に定める指定疾病及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則(平成18 年厚生労働省令第39 号)第2条に定める対象疾病(以下「指定疾病等」という。)により死亡したことが支給要件の一つとされていることから、審査に当たっては、戸籍法(昭和22 年法律第224 号)第48 条第2項に基づく証明書(以下「証明書」という。)により死亡労働者等の死亡原因を確認することが必要となります。
一方で、戸籍法施行規則(昭和22 年司法省令第94 号)において、死亡届等の書類の保存期間が定められているものと承知しておりますが、廃棄された場合には給付金の請求人が証明書を入手することができず、給付金の請求に多大な支障を来すことが予想されます。
つきましては、各法務局等において保存されている死亡届等の書類のうち死亡原因が指定疾病等であるものについては、法に基づく給付金の請求期限である令和4年3月27 日までの間、請求人が死亡労働者等の証明書を入手できるよう、保存期間の経過後においても可能な限り保存されるよう特段のご配意を賜りますこととして、関係機関に対する周知方よろしくお願い申し上げます。
本件関連報道記事
アスベスト労災の死亡診断書、法務省が27年間保存要請 患者団体「大きな進展」
2020年11月5日 毎日新聞