新型コロナ労災『感染での労災申請「少なすぎ」』東京新聞・こちら特報部で指摘(2020年11月12日)

東京新聞の顔ともいえる「こちら特報部」が、2020年11月20日の記事で、新型コロナウィルス感染症による感染数に比較して、労災申請が少なすぎるのではないかと、鋭く問題提起した。

記事では、労災申請件数は1900件にも迫ろうとしているものの、東京都の新規感染経路の分析を踏まえると、あまりにも労災申請数が少ないとする、全国安全センター古谷杉郎事務局長のコメントも掲載している。

新型コロナ感染状況は第3波となっている本日11月12日時点の最新労災補償状況は、稿末に引用したように、労災請求件数は1907件と1900件を超え、支給決定(認定)件数955件、不支給決定(不認定)件数24件である。

労災申請するべき事案はすべて適正に申請されることは、新型コロナ感染を乗り切っていく上で、重要な労働条件であることは論をまたない。一義的にはこれは使用者、政府の責任であり、さらなる努力を強く求めたい。

こちら特報部
感染での労災申請「少なすぎ」

厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染による労災申請は9日時点で1880件に上る。そのうち、労働基準監督署の調査を終えて労災と認定されたのは943件。新型コロナ感染でなかったとして認められなかったのは24件にとどまり、調査が終わったケースでは大半が認定されている。

認定の内訳は、医師や看護師を含む「医療従事者等」が773件で8割超。それ以外の業種でも病院の事務職員など「医療業」が40件と多いが、「社会保険・社会福祉・介護事業」(29件)、「運輸業、郵便業」(24件)などもいる。勤務先で感染者集団(クラスター)が出た飲食店員や保育士、大勢を接客していた小売店販売員やタクシー運転手も認められている。

認定には業務中に感染したことが必要だが、新型コロナは無症状感染者や感染経路不明のケースが多い。そのため厚労省は四月、感染者の労災を積極的に認める通達を出した。医師や看護師は原則労災と認めるほか、その他の仕事の人も、職場にクラスターが出たり不特定多数を接客したりするなど仕事が原因の可能性が高ければ認めることとした。

ただ、東京都で新規感染者の感染経路の1~2割は「職場」とされ、11月初めまでの約1カ月分だけで少なくとも750人に上る。全国労働安全衛生センター連絡会議の古谷杉郎(すぎお)事務局長は「東京の感染者数や、各地の介護施設、工場などでクラスターが出ている状況から見ても、労災申請は少なすぎる。本人が申請方法を知らなかったり、したくても会社の協力を得られなかったりし、一部にとどまっている可能性がある」と指摘する。

労災に詳しい川人(かわひと)博弁護士は「労災が認められて後遺症が出た場合、医療機関に通うなどしていれば休業補償などが認められる。認められないと誤解している人が少なくなく、国が周知徹底すべきだ」と話す。

川人さんによると、労災が認められた医師や看護師の家族が感染しても、労災制度で補償されない課題もあるという。「開業医が感染した時も労災の補償がない。医療従事者の家族とともに、感染した場合は何らかの補償を受けられる制度を設けたほうがいい」

東京新聞 2020年11月12日 より
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