腹膜中皮腫などに対するニボルマブ(オプジーボ)の医師主導治験が開始~兵庫医科大学リリース~2020.9.30 新たな治療の開発をめざして~
中皮腫に新たな治験~腹膜中皮腫など患者治療にとって大きな前進
2020年9月30日、兵庫医科大学は、 胸膜以外の悪性中皮腫患者を対象に、化学療法歴の有無にかかわらず、ニボルマブ(遺伝子組換え)<商品名:オプジーボ>(治験識別記号:ONO-4538、小野薬品工業)による治療法を開発するための治験を開始致する」と発表した。
治験実施機関は、5病院
腹膜・心膜・精巣鞘膜の中皮腫に対するオプジーボ(ニボルマブ)の医師主導治験実施医療機関
~新たな治療の開発をめざして~ 悪性中皮腫(胸膜以外)に対する医師主導治験を開始<2020.9.30>兵庫医科大学リリース
兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市、病院長:阪上 雅史)は、2020年10月1日(木)、「ONO-4538(ニボルマブ)の悪性中皮腫(胸膜を除く)を対象とした第2相医師主導治験」の治験対象者の募集を開始いたします。
https://www.corp.hyo-med.ac.jp/public/news_releases/topics/20200930-01.html
悪性中皮腫は中皮細胞から発生する悪性の腫瘍(がん)で、予後の悪い疾患です。その大半はアスベスト(石綿)の曝露によって生じるとされています。
悪性中皮腫のうち、80%以上は胸膜に腫瘍ができますが、約20%は腹膜や心膜、精巣鞘膜などに発生します。今回の医師主導治験は、悪性腹膜中皮腫、悪性心膜中皮腫、悪性精巣鞘膜中皮腫など、胸膜以外の中皮腫を対象とした、新たな治療開発が目的です。
悪性胸膜中皮腫に対しては、一次治療をPC療法(※)、二次治療をニボルマブ(遺伝子組換え)で行う治療法が承認されていますが、胸膜以外の悪性中皮腫に対しては承認された治療法がなく、現在は保険適応外で悪性胸膜中皮腫に準じてPC療法を行っています。
本治験では、胸膜以外の悪性中皮腫患者を対象に、化学療法歴の有無にかかわらず、ニボルマブ(遺伝子組換え)(治験識別記号:ONO-4538、小野薬品工業)による治療法を開発するための治験を開始致します。この治験は、胸膜以外の悪性中皮腫に対しても、ニボルマブの有効性を検討しえる非常に有意義な試験です。
※ がんに対する化学療法の1種。ペメトレキセドとシスプラチンの2種類を組み合わせた併用治療。
本治験に関する患者さんのお問い合わせ先
平日(月~金) 9:30~16:00に病院代表電話までお問い合わせください。
兵庫医科大学病院 代表 0798-45-6111
アスベスト(石綿)を原因とするがんである中皮腫は、およそ80%は胸膜中皮腫とされており、胸膜中皮腫に対する化学療法は一次治療(シスプラチン+アリムタ併用化学療法)と二次治療(オプジーボ)が、標準治療として保険適用を受けることができるようになっている。
ところが、胸膜以外の部位に発症した中皮腫(腹膜、心膜、精巣鞘膜)に対しては、胸膜中皮腫に準じる治療が行われているのが実情で、オプジーボの保険適用治療が行えない。
こうした状況に対して、中皮腫患者団体の中皮腫サポートキャラバン隊が「腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫におけるニボルマブ(オプジーボ)使用についての署名」運動を展開するなど、胸膜中皮腫以外の中皮腫患者が、胸膜中皮腫患者と同様の最新の治療を受けられるべきだと訴えてきた。
今回の治験開始は、こうした患者の要望実現に向けて大きな一歩となる。
リリースでは、「 胸膜以外の悪性中皮腫患者を対象に、化学療法歴の有無にかかわらず」とされており、「すでに化学療法を受けている」といった条件がつけられていないこと、腹膜中皮腫だけではなく胸膜中皮腫以外の中皮腫すべてが対象になる、という点が注目される。
今後、兵庫医科大学だけではなく、国内の数カ所の医療機関が今回の治験に参加すると伝えられており、順次、各医療機関からの治験の開始が発表されるとみられる。
アスベスト被害の中でも特に悪性度が高い中皮腫の治療開発進展は、アスベスト被害者救済の大きな柱であるので、同治験において良好な成績が見いだされることを強く期待したい。
オプジーボ、腹膜などの悪性中皮腫で治験…兵庫医科大2020/09/30 11:50 読売新聞