新型コロナ公務災害(地方公務員)認定事例を4事例に更新(警察官事例追加)地方公務員災害補償基金 2020.11.19/認定請求137件のうち公務上認定80件(2020.11.18現在)
地方公務員の公務災害(労災)補償を審査し決定する地方公務員災害補償基金が、2020年8月4日付で、新型コロナウィルス感染症の公務災害認定事案全22件のうち、3事例の概要を、初めて公表していたが、11月19日付で警察官1事例を追加して、計4事例に更新した。
全国労働安全衛生センター連絡会議は、地方公務員災害補償基金本部(7月13日)、総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室(7月17日)との交渉をもち認定事例の公表についても要請していた。認定事例数も少ないことから、全事案について情報をさらに公表してもらいたい。
以下が、現時点での公務災害認定4事例である。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に係る公務災害認定事例
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る補償の請求の参考となるよう、地方 公務員災害補償基金(以下「基金」といいます。)において公務上の災害(以下 「公務災害」といいます。)と認定された事例の概要についてご紹介します。 なお、公務災害の認定は、令和2年5月1日付け地基補第145号「新型コロナウイ ルス感染症の公務災害認定における取扱いについて」(以下「通知」といいま す。)で示した取扱いにより行っています。
(事例1) 医師
A医師は、病院で外来診療や日直業務に当たっており、診療等の際にはマスクを装着し、処置の度にアルコールによる手指消毒を行っていたが、日直業務終了後に帰宅した際に体調不良を感じたため検温したところ発熱していた。数日間自宅待機したが解熱しなかったため新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を受けたところ、陽性であり、「新型コロナウイルス感染症」と診断された。
基金における調査の結果、A医師は、通知記の2の(1)アにいう医療従事者等であり、公務外で感染したことが明らかではなかったことから、公務災害として認定された。
(事例2) 看護師
B看護師は、新型コロナウイルスの感染者が療養している病棟において看護を行っていたが、のどに痛みを感じたため自宅療養していた。その後、発熱したため、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を受けたところ陰性であった。以降も発熱が続き、呼吸状態も悪化したため、再度PCR検査を受けたところ、陽性となり、「新型コロナ肺炎」と診断された。
基金における調査の結果、B看護師は、通知記の2の(1)アにいう医療従事者等であり、公務外で感染したことが明らかではなかったことから、公務災害として認定された。
(事例3) 消防吏員
C救急隊員は、救急出動で、傷病者の観察と処置を行い、病院に搬送した。この時の傷病者の主訴は頭痛のみであったことから、サージカルマスク、手袋等の着衣による通常の感染予防策で対応した。その後、当該傷病者が新型コロナウイルス感染症の陽性者と判明したことから、自宅待機となり、発熱、頭痛及びのどの痛みが出現したためPCR検査を受けたところ、陽性であり、「新型コロナウイルス感染症」と診断された。
基金における調査の結果、C救急隊員は、通知記の2の(1)アにいう医療従事者等であり、公務外で感染したことが明らかではなかったことから、公務災害として認定された。
(事例4)警察官
D警察官は、犯罪の予防と検挙のため、普段から担当地域で警戒・警ら活動を行 っていた。
勤務中はもちろん、私生活においても感染防止には十分に気をつけていたが、発熱があり、頭痛や倦怠感、味覚・嗅覚の異常があったためPCR検査を受けたところ陽性であり、「新型コロナウイルス感染症」と診断された。
保健所の調査では感染経路は特定されなかったが、D警察官の発症前の業務内容は、新型コロナウイルスの感染者が出ている区域で不特定多数の者に対する職務質問や各種取り扱いを行うものである一方、私生活における感染のリスクは低いものであった。これらの調査結果を踏まえた医学専門家の意見は、D警察官の感染は、公務により新型コロナウイルスに感染した蓋然性が高いものと認められるとのことであった。
以上のことから、D警察官の感染経路は特定されないが、通知記の2の(1)ウ(イ)にいう住民等との近接や接触の機会が多い環境下での公務に従事したものと認められ、公務により感染した蓋然性が高く、公務に起因したものと判断されることから、公務災害として認定された。
請求137件中80件認定、今のところ公務外認定はゼロ
なお、11月18日付認定状況について、認定請求件数137件、うち80件を公務災害として認定していると明らかにした。
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