「人権と有毒物質からの 労働者の保護に関する原則」2019年9月23日 国連人権理事会決議42/21

人権理事会は、

国連憲章、世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、ウィーン宣言及び行動計画、発展の権利に関する宣言並びに国際労働機関の諸条約によって導かれ、

2020年までに、合意された国際基準に従い、またすべての持続可能な開発目標の相関及び統合的性格を認めつつ、そのライフサイクルを通じて化学物質及び有害廃棄物の環境上適正な管理を実現するという持続可能な開発目標12のターゲット4を含む、環境的に持続可能な開発のための2030アジェンダを採択した、2015年9月25日の総会決議70/01を想起し、

予防戦略を強調しつつ、有害物質への環境及び職業曝露の否定的健康影響を低減させる必要性を認め、
安全で健康的な労働条件を確保する、公正かつ好ましい労働の条件の享受に対するすべての者の権利を認めた、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約を想起し、

身体的及び精神的健康の達成可能な最高水準に対する各労働者の権利の享受が、労働における有害物質への不安全な曝露によって損なわれ得ることを認め、

また、生殖機能を保護することを含め、職場における健康と安全の保護に対する女性の権利を認め、
さらに、とりわけビジネスと人権に関する指導原則のなかで認められているように、身体的及び精神的健康の達成可能な最高水準の教授に対する有害物質への不安全な職業曝露を予防する国の義務及び付随するビジネスの義務を認め、

国際労働機関憲章、及び、すべての職業における労働者の生活と健康の保護の必要性を確認した、国際労働機関の1944年5月の第26回総会によって採択された同機関の目標と目的に関する宣言(フィラデルフィア宣言)を想起し、

世界の国々の間で、とりわけすべての職業における労働者の生活と健康の適切な保護を達成するプログラムを前進させる国際労働機関の厳粛な義務を認め、

2019年1月の労働の未来に関する世界委員会の結果報告及び第108回国際労働総会によって採択された労働の未来のためのILO100周年宣言を想起し、

また、労働生活における変化が世界のすべての国で労働者の健康と環境の健康双方に影響を及ぼしているときに労働衛生を発展させる緊急の必要性を認めつつ、世界保健機関憲章のなかの健康の達成可能な最高水準の教授に対する権利の宣言、及び、1994年10月の労働衛生におけるWHO協力センターの第2回会合で採択されたすべての者のための労働衛生に関する宣言を想起し、

労働者の健康を雇用、社会的及び経済的発展、貿易並びに環境保護に統合することによって多くの問題を予防及び解決する可能性を認めつつ、1996年の世界保健総会の決議49.12、及び、2006年6月の労働衛生のためのWHO協力センターの第7回会合で採択された労働者の健康に関する宣言に留意し、

人権が普遍的、不可分、相互依存的かつ相関的であることを再確認し、

  1. 毎年報告され、また、国、地域及び世界レベルで報告書や議論のなかで扱われているように、有毒及び有害物質への不安全な曝露を通じた、世界のすべての部分における労働者の権利の侵害を非難し、
  2. 各国、国連機関及び他の関係者に、ディーセントワーク並びに持続可能な消費及び生産の各々に関する持続可能な開発目標8及び12の実施を含め、有毒物質への曝露の人権影響を知らせる努力の一環として、労働、人権及び環境衛生諸フォーラムの内部で労働者の権利に関連する諸議論に橋を架ける必要性を認め、
  3. 彼らの健康の保護に関連した明らかな人権義務にもかかわらず、労働における不安全かつ不健康な状況によって毎年数百万もの労働者が世界で死んでいることに懸念をもって注目し、
  4. また、それが50年以上も前から世界的に認められ、一定の諸国や文脈における特別な努力にもかかわらず、公正で好ましい労働の条件の享受に対するすべての者の権利や他の相関及び相互依存する労働者の諸人権が、とりわけ有害物質への不安全な職業曝露に関して、不十分にしか実施及び現実化されないままであることに懸念をもって注目し、
  5. 特別報告者が主要な課題を概述するとともに、国、ビジネス及び他の関係者が不安全な有毒曝露から労働者を保護するとともに、労働者の権利の侵害に対して救済を提供するのを助ける15の原則を提案した最新の報告書を含め、数人の歴代の委任者の作業に基づいた、有害な物質及び廃棄物の環境上適切な管理及び廃棄の人権に対する影響に関する特別報告者の諸報告に感謝をもって注目し、
  6. 国、ビジネス企業及び他の関係者が、彼ら各々の法的及び政策的枠組み、並びに、有毒物質への労働者の曝露に関する人権と労働安全衛生基準の間の一貫性を強化するためのイニシアティブやプログラムを通じて、上述の諸原則を実施するよう促進し、
  7. 国が、雇用における女性に対する差別の根絶における国の義務のひとつとして、労働における有害物質への不安全な曝露からリプロダクティブヘルスを保護するよう促し、
  8. 国際労働機関と世界保健機関が労働安全衛生基準を強化することに向けた彼らの努力を継続するよう奨励し、
  9. 有害物質への不安全な曝露を予防及び最小化するとともに、身体的及び精神的健康の達成可能な最高基準の享受並びに構成で好ましい労働の条件に対する、労働者を含め、すべての者の権利を促進するために、化学物質管理の世界的体制を強化するよう促し、
  10. この問題の検討を継続することを決定する。

第39回会合
2019年9月26日

(翻訳:古谷杉郎)

https://undocs.org/A/HRC/RES/42/21