EUは暴力・ハラスメント問題に対処する必要がある-2021.11.25 欧州労働組合連合(ETUC)

襲撃事件が増加しているにもかかわらず、EU機関は、ジェンダーに基づく暴力に対処する重要な対策が著しく遅れている、と労働組合は女性に対する暴力撤廃の国際デーに警告を発する。

女性に対する暴力の報告件数が大幅に増加したCOVID危機を受け、女性に対するより強力な保護が緊急に必要とされている。それには、第一線で働く女性労働者への暴力の急上昇や、家庭内暴力や一部の企業によって使用されている侵入型監視ソフトウエアによって助長されたオンラインハラスメントが含まれる。

しかし、3つの重要なイニシアティブが現在、欧州レベルで阻まれている。
・欧州委員会は12月18日に「特定の形態のジェンダーに基づく暴力の予防と対処」に関する提言を示す予定だったが、先週の委員会の議題から姿を消している。この問題に関する欧州委員会の協議が終了してから、現在6か月が経過している。

・女性に対する暴力に関するイスタンブール条約へのEU加盟が2015年にはじまったが、10月に欧州司法裁判所がEUは全加盟国の批准完了を待つ必要はないという判決を下したにもかかわらず、欧州理事会で阻止されたままである。

・EU理事会は、法律的な意見を言うのに長い時間をかける一方で、批准に関する法的助言-ETUCは不要と考えている-を出すと言いながら、労働における暴力・ハラスメントの根絶に関するILO条約の加盟国による批准を遅らせている。

ETUCは加盟国に対して、ギリシャとイタリアのリーダーシップに続いて、緊急の課題としてILO条約を批准するよう求める。

欧州委員会は今日、ジェンダーに基づく暴力に対処するための提案の新しい日付けを指定し、女性に対する暴力を根絶するうえでの労働組合と団体交渉の重要な役割を反映させるべきである。ETUCは、この問題に関する欧州委員会の協議のなかでこのことが言及されていないことを懸念している。

ETUC副事務局長エスター・リンチは言う。

「女性がますます頻繁に暴力・ハラスメントに直面しているのに、欧州は、職場を暴力・ハラスメントのない場所にするのに必要な行動よりも、不必要な政治的・法的論争を優先させている。今日、EUの指導者たちから多くの善意のメッセージが発せられるだろうが、彼らは言葉ではなく行動で判断されるだろう。」

「加盟国は、ギリシャとイタリアに続いてILO第190号条約を批准すべきであり、われわれは今日、EUの指導者たちに、女性に対する暴力をやめさせることを優先課題とするよう要請する。これには、労働組合と団体交渉を通じて、物理的・デジタル的な職場を暴力・ハラスメントのない場所にするために、女性労働者をエンパワーすることが含まれる。」

「COVID最前線で働く女性たち、とりわけ介護者、運輸労働者、店員や清掃員などは、パンデミック中に嫌がらせの増加に直面し、在宅で働く者は新しっ形態のサイバーハラスメントに直面した。彼女たちはいま、より強く、より実効性のある保護を必要としている。」

https://www.etuc.org/en/pressrelease/eu-needs-fix-its-violence-and-harassment-problem