百万人の労働者のためのがんからの新たな保護-2021.12.16 欧州労働組合連合(ETUC)
欧州理事会と欧州議会は、以下の物質からの労働者のための新たな保護を提供する、発がん物質及び変異原性物質指令の更新に関する暫定的な取り決めに至った[訳注:2022年1月25日に欧州議会雇用社会問題委員会で全会一致で採択された]。
・アクリロニトリル:新たな曝露限界値-EUで3万3千人の曝露労働者[訳注:1mg/m3または8時間加重平均0.45mg/m3及び短時間限界値4mg/m3(1.8ppm)の予定、日本の作業環境評価基準2ppm]
・ニッケル化合物:新たな曝露限界値-EUで7万9千人の曝露労働者[訳注:吸入性画分について0.01mg/m3、吸引性画分について0.05mg/m3の予定、日本の作業環境評価基準0.1mg/m3]
・ベンゼン:現行曝露限界値引き下げ-EUで100万人の曝露労働者[訳注:1ppmから0.2ppm(0.66mg/m3)の予定、日本の作業環境評価基準1ppm]
その他の改善は、以下のとおりである。
・生殖毒性物質を指令の対象に含める。指令に基づく拘束力のある曝露限界値のある物質の合計数は現在39物質(25+2つの新たな発がん物質+12の新たな生殖毒性物質)である。
・2022年末までにEUガイドラインを採用する約束とともに、危険な医薬品を取り扱う労働者のための特別な訓練が法文に追加される。
・曝露限界値に関するリスクに基づいた方法論の問題をさらに検討する義務が、欧州委員会と三者構成労働安全衛生諮問委員会(ACSH)に課される。
・2022年末までにさらに25の発がん物質について職業曝露限界値を設定する。
取り決めに対するコメント-ETUC副事務局長のクラス-ミカエル・スタール:
「欧州で毎年10万人がいまも労働関連がんにより命を落とし、さらに多くの人々が発がん物質や生殖毒性物質への曝露の結果として不妊症に苦しめられているいま、これは働く人々の安全のための重要な勝利である。」
「指令改訂の次のラウンドに期待している。労働者がいまなお、EUの曝露限界値がない、他の25のハイリスクの発がん物質への曝露に直面していることから、さらなる改訂が急がれる。2022年末までに25物質すべてに曝露限界値設定という行動計画に関する合意は、職場がんを根絶する努力にとってきわめて重要である。」「仕事に出かけてがんのリスクにさらされる人がいてはならず、ETUCは、働く人々が必要なすべての保護を受けられるようにするために取り組みを続ける。」
https://www.etuc.org/en/pressrelease/new-protections-cancer-1-million-workers