【EPAのクリソタイルアスベスト禁止提案に対するアメリカの被害者団体ADAOによるプレスリリース】
EPAのクリソタイルアスベストについてのリスクマネジメント提案は歴史的な一歩だが、連邦議会は公衆衛生を完全に保護するために依然としてアスベスト繊維を禁止する必要がある
Asbestos Disease Awareness Organization (ADAO), 2022.4.5

教育、アドボカシー、コミュニティ活動を通じてアスベスト曝露の防止に取り組む独立的非営利団体であるアスベスト疾患啓発機関[ADAO-アメリカのアスベスト被害者団体]は本日、有害物質規制法(TSCA)に基づきクリソタイルアスベストの輸入及び使用を禁止するという環境保護庁(EPA)の待望されてきた提案を称賛しつつ、連邦議会に対して、すべての商用アスベストの包括的禁止を確実にするためにさらに前進するよう要請した。

本日発表された新しい規則案において、EPAは、クリソタイルアスベスト・リスク評価第1部で扱われた6つの用途について、原料クリソタイルアスベスト及びクリソタイルアスベスト含有製品の輸入を禁止するとしている。この禁止は、塩素と苛性ソーダを製造している-現在合衆国における唯一の原料アスベスト輸入者である-クロルアルカリ産業に適用されるだろう。また、アスベスト含有シートガスケット、ブレーキブロック、中古自動車ブレーキ/ライニング、その他の自動車摩擦材、及び合衆国に輸入されているその他のガスケットも禁止するだろう。

EPAの提案したクリソタイルアスベストに対する規則は、同庁と、6種類すべてのアスベスト繊維を禁止するために休むことなく活動してきたアドボケート、科学者、労働組合やアスベスト被害者にとって、最初の重要なマイルストーンである。

新しい提案に対して、ADAOのリンダ・レインステインは次のように述べた。

「EPAが提案したクリソタイルアスベストに関する制限は、毎年4万人のアメリカ人の命を奪っている物質への曝露を根絶するための強力な一歩である。私たちは、実証済みのノンアスベスト技術が利用可能になってから数十年間、無責任にもそれを採用することを怠ってきたクロルアルカリ産業によるクリソタイルアスベストの危険な使用に終止符を打つことを強く支持する。」

「クロルアルカリ製造業者らは、当局との会合のなかで、アスベスト輸入・使用のいかなる制限にも反対してきた。アスベストへの曝露に安全なレベルはなく、公衆衛生よりも自らの利益を優先する業界に抜け道を認めることは、弁解の余地もないだろう。業界の反対は、規制案を弱体化させ、それを何年も遅らせる訴訟にしばりつけて、アスベスト輸入を継続させるおそれがある。」

「これらの障害は、6種類すべてのアスベストを禁止する包括的なアスベスト禁止を連邦議会が成立させた場合にのみ、アスベストの輸入及び使用を確実に止めることができることを強調するものである。連邦議会はアラン・レインステイン・今こそアスベスト禁止法(ARBAN)制定に向けて作業を続けており、連邦議会によるARBANの可決がこれまで以上に緊急に必要である。」

EPAの規則案は、クリソタイルアスベストに限定されており、他の5種類のアスベスト-クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライト-を対象にしていない。EPAが有する他の規制メカニズムは、明確かつ包括的な禁止に代わるものではなく、また、こうした有害製品がアメリカ人に害を与えないことを確実にすることはできないだろう。

ADAOの顧問であるボブ・サスマン氏は、「立法は知られている6種類すべてのアスベストを禁止するだろう」と語った。「立法なしには、クリソタイルと同じような致死的性質をもつアスベスト繊維への現在及び将来の曝露が継続するだろう。連邦議会はいますぐ、6種類すべてのアスベスト繊維を禁止することによって、この曝露を止めることができる」。

吸入すると、微細なアスベスト繊維が肺に溜まり、肺の組織を刺激する可能性がある。曝露は、石綿肺、胸膜疾患、肺がん、中皮腫、口頭・卵巣・その他のがんなど、(がんを引き起こす)悪性及び(がんを引き起こさない)非悪性の疾病を引き起こす可能性がある。すべての種類のアスベストと咽頭・胃・結腸直腸のがんとの関連性も観察されている。1991年から2021年に、100万人以上のアメリカ人が、予防することが可能なアスベストによる疾病によって亡くなっている。

USGS[連邦地質調査所]は、2020年に、クロルアルカリ製造業者によって305トンのアスベストが合衆国に輸入され、前年から30%増加したと報告している。2020年版塩素化学部門文書によると、オリン[Olin]・コーポレーションとオクシデンタル・ケミカル・コーポレーション(OxyChem)は、アラバマ、アーカンソー、カンザス、ルイジアナ、ニューヨーク、テキサスに、塩素と苛性ソーダの生産で使用される隔膜の製造にクリソタイルアスベストを使用している10の工場をもっている。

本ウエブサイト上の「アスベスト禁止をめぐる世界の動き」関連情報