世界におけるCOVID-19安全衛生・労災補償に関する取り組み
ILOがCOVID-19が職業病として認定され得ることを認めているだけでなく、現実に欧米や日本等では、すでに職業病リストにウイルスによる感染症等を掲げていて、COVID-19もリストを改訂する必要なしに職業病として認定・補償され得る。
それでも、グローバル・ユニオン評議会が「反証可能な推定」を求めているように、現実の認定・補償を促進するためにやれること、やるべきことはある。私たちが日本の厚生労働省に対して改善を求めているのもそういうことである。
韓国では、すでに紹介したように、集団感染が発生したソウル市内のコールセンターの労働者の事例で労災認定第一号が公表されており、韓国勤労福祉公団の2020年4月10日付け発表「コロナ19確定診断者」、国内初の労災認定-ソウル九老コールセンター感染労働者 手続簡素化で迅速に決定」の内容も紹介した。
マレーシアでは、労働組合を中心とした51団体が、COVID-19を職業病と宣言するよう要求。これを受けて、社会保障機関(SOCSO)が新型コロナウイルス感染症が職業病として認められることを確認した。
香港では、労働福祉長官はCOVID-19を職業病リストに搭載する証拠は不十分と言っているものの、労災被害者団体-工業傷亡権益会(ARIAV)や労働組合等は強く要求し続けている。
バングラデシュでは、労働安全衛生環境財団(OSHE)がCOVID-19を職業病として認めるよう要求、ネパールでも、ネパールの公衆衛生・環境開発センター(CEPHED)がCOVID-19を職業病として認めるよう要求するなどの動きがはじまっている。
アメリカ版全国安全センターの-全米労働安全衛生評議会(US-COSHネットワーク)もCOVID-19関連情報を積極的に提供。
イギリス版全国安全センターの-ハザーズ・キャンペーンもCOVID-19関連情報を提供している。
COVID-19労働安全衛生対策を中心とした、世界の産業別・国別の労働組合等による取り組みに関する情報は、国際労働組合総連合(ITUC)/ハザーズ・マガジンのコロナウイルス職場衛生リソース・ハブが詳しい。
古谷杉郎(全国労働安全衛生センター連絡会議 事務局長)