令和3~5年度に労働安全衛生法に基づきラベル表示・SDS交付が義務化される予定物質リストの公表と関係事業者団体への要請(2022年1月11日)
2011年7月19日に公表された「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」に基づいて、「化学物質への理解を高め自律的な管理を基本とする仕組みへ」労働安全衛生法による化学物質規制が大きく変わろうとしている(安全センター情報2021年11月号参照)。
厚生労働省は、「職場における化学物質対策について」ページで「関連情報はこちら」として、安全衛生総合研究所の「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書の概要紹介」ページに誘導している。
後者のページに、ラベル表示・SDS交付の義務化予定物質リスト-令和3年度中に政令改正予定の234物質が12月16日に、令和4年度(675物質)・5年度(827物質)に政令改正を検討しているものが12月28日に公開された(合計1,736物質、Excelファイルダウンロード可能)。
さらに2022年1月11日に厚生労働省は、「これらについては、令和3年度から5年度にかけて、パブリックコメント等必要な手続きを行った上で、順次規制対象物質に追加する予定であるが、義務化の施行日までにその情報が当該化学物質等の譲渡、提供を受ける全ての者に伝達される必要があるため、労働安全衛生規則第24条の15に基づく努力義務に基づき、優先的に安全データシート(SDS)の作成に努めるよう、別添により関係事業者団体に対して要請した」(都道府県労働局労働基準部長宛て基安化発0111第2号-後掲の基安化発0111第1号と同標題で、別添は基安化発0111第1号)。
これまでに約3,100物質がGHS分類され公表されているが、表の上段にあるように、国によるGHS分類は毎年50~100物質のペースで今後も続き、これらは順次ラベル表示・SDS交付が義務化される。既に分類され、まだラベル表示・SDS交付の義務化がされていない物質は、表の中段のスケジュールで順次義務化される予定。さらに下段には、ばく露濃度の管理基準が設定されるスケジュールが示されている。
別紙関係事業者団体の長宛て厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長
令和4年1月11日付け基安化発0111第1号
労働安全衛生法に基づく安全データシート(SDS)の記載に係る留意事項について
労働安全衛生行政の推進につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
令和3年7月にとりまとめられた「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」に基づき、本年度以降新たに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第57条、第57条の2及び第57条の3による規制対象の候補となる化学物質(国によるGHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)分類の結果、危険性または健康有害性の区分がある物質)について、義務化予定年度とともに独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所のHP(https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/arikataken_report.html)に公開いたしました。
これらについては、令和3年度から5年度にかけて、パブリックコメント等必要な手続きを行った上で、順次規制対象物質に追加する予定です。また、今後、新たに危険有害性が確認された化学物質についても、あらかじめ、義務化予定年度とともに公表する予定です。
これらの規制対象候補物質については、義務化の施行日までにその情報が当該化学物質等の譲渡、提供を受ける全ての者に伝達される必要があるため、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の15に基づく努力義務に基づき、優先的に安全データシート(以下「SDS」という。)の作成に努めていただくようお願い申し上げます。
また、SDSの適用法令欄については、下記のような方法により記載いただき、その周知に御協力いただくようお願いします。なお、下記の記載に関しては、行政の要請に基づくものであり、適用法令欄を作成した後に、パブリックコメント等を踏まえ、規制対象候補物質から除外された場合又は施行日が変更された場合であっても、今回の要請に基づき作成されたものである限りは、虚偽又は違法記載であるとは取り扱わないこととします。
ただし、今後改正が予定されている労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)において、SDSの交付が努力義務となっている物質について定期的にSDSの情報の更新を行うことを努力義務化する予定であり、適用法令欄作成後もその記載内容について変更がないか、適宜確認を行ってください。
なお、SDSの適用法令欄の記載方法については、本政令改正に限らず、労働安全衛生関係法令の改正によって、改正法令の公布又は施行に先立って適用法令欄に記載を行う必要が生じた場合について、同様の取り扱いとします。
つきましては、貴団体におかれましては、この趣旨を御理解いただき、傘下会員、事業場等に対する周知に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
記
厚生労働省が公表した労働安全衛生法令の改正による規制対象予定の化学物質等については、規制の義務化に先立ってSDSの適用法令欄に記載をする場合は、以下の記載例のような方法により記載を行ってください。なお、この記載例の趣旨を踏まえた内容であれば、記載例と異なる表現であっても構いません。
(記載例)
労働安全衛生法
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)(○年○月○日以降)名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)(○年○月○日以降)危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(○年○月○日以降)
(別紙)
一般社団法人日本化学工業協会
一般社団法人日本化学品輸出入協会
化成品工業協会
農薬工業会
日本製薬団体連合会
日本製薬工業協会