<最新 2020.12.16>石綿健康被害補償・救済状況の検証(2019年度確定値) 補償・救済累計3万件突破、しかし「隙間ない救済」いまだ-建設業従事者が全体の約半数
※【石綿健康被害補償・救済状況の検証(2020年度確定値)】中皮腫死亡者数増加に転じるも、コロナ影響で環境省救済減少-請求期限切れへの対処は待ったなし(2021年12月15日)
(姉妹記事)死亡の7割が300万円弱、300万円超は少数のまま-想定を下回る石綿健康被害救済給付の実績
目次
「隙間ない救済」検証の変遷
2005年夏のクボタ・ショックに対応するためのアスベスト問題に関する関係閣僚会合は、同年12月27日の第5回会合でまとめた「総合対策」で、「石綿による健康被害者の間に隙間を生じないよう迅速かつ安定した救済制度を実現」するとした。このために翌2006年2月3日に成立、同年3月27日に施行されたのが、石綿健康被害救済法である。
「隙間ない救済」の実現状況の検証は、救済法が施行された当初からその必要性が指摘されてきたにもかかわらず、政府・関係機関による努力はなかなかなされてこなかった。
検証作業に使うことのできる死亡年別の補償・救済データについて、環境再生保全機構は当初から公表したものの、厚生労働省がデータを公表するようになったのは、労災認定等事業場名一覧表の公表を再開した2008年度以降のことである。
政府・関係機関に代わって全国労働安全衛生センター連絡会議が独自に検証を行ってきた(安全センター情報2008年12月号、2010年1・2月号、2010年11月号、2012年1・2月号、2013年1・2月号、2014年1・2月号、2015年1・2月号、2016年1・2月号、2017年1・2月号、2018年1・2月号、2019年1・2月号、2020年1・2月号参照-今回が13回目となる)。
2011年6月2日に環境大臣に答申された中央環境審議会の建議「今後の石綿健康被害救済の在り方について」は、「労災保険制度との連携強化」として「労災保険制度との連携強化に関しては、石綿健康被害救済制度、労災保険制度等における認定者と中皮腫死亡者との関係等の情報についても、認定状況とともに、定期的に公表していくことが重要である」と指摘した。
2012年12月5日に開催された同審議会の第11回石綿健康被害救済小委員会に参考資料として提出された「二次答申の対応状況」では、上記指摘に対して、「環境再生保全機構が毎年度公表している『石綿健康被害救済制度運用に係る統計資料』の平成24年度版から、労災保険制度等における認定者数の情報も含めて掲載することを検討中」と報告された。
実際には1年遅れて平成25年度版統計資料から「各制度における中皮腫の認定等の状況(死亡年別)」という表が一枚追加された。これは、本誌が表7として示しているものと同様の作業を行ったデータであり、それが本誌による検証から半年以上遅れて公表されるかたちになったわけである。
また、2016年4月20日に開催された石綿健康被害救済小委員会で配布された「石綿健康被害救済制度の施行状況について」の資料中に初めて、「救済制度の認定を受けた後、元国鉄・アスベスト補償制度、国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度など他法令から給付の決定を受けた者」のデータが追加された(1995~2014年に死亡した者計42名)。
これに対して、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会を代表する委員が、それらの制度から給付を受けた者すべてのデータを入手して示すよう求めた結果、2016年6月22日の小委員会には、「国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度、元国鉄職員に対する業務災害補償制度等の対象となった者の合計」のデータが示された(1995~2014年に死亡した者計221名だった)。
この作業を継続することが求められたのだが、2016年9月16日に環境再生保全機構が公表した平成27年度統計資料に含められた「各制度における中皮腫の認定等の状況(死亡年別)」は、「労災又は特別遺族給付金、船員保険制度以外にも、旧国鉄・アスベスト補償制度や国家公務員災害補償制度等において認定実績があるが、データの制約上、これらの件数は合計には含まれていない」とされ、平成28年度以降の統計資料もこれを踏襲してきている。やればやれる作業をあえてやらないと宣言しているように感じられる。
政府一丸となった「隙間ない救済」の検証は、いまだなされていないということである。
隙間なく救済されるべき対象
まず本誌が検証に用いたデータを確認しておく。
① 死亡者数-検証作業における分母にあたる補償・救済されるべき被害者数については、中皮腫はすべてが「隙間なく」補償・救済されるものであるが、罹患者数のデータは得られないため、死亡者数を用いる。具体的には、2020年9月17日に厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室が公表した、「都道府県(特別区-指定都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~令和元年) 人口動態統計(確定数)より」、及び、平成6(1994)年以前については、環境省が救済制度発足時に行った推計方法(表1参照-これは、2010年5月21日の第7回石綿健康被害救済小委員会ではじめて公表されたものである)にしたがった。
石綿による肺がん死亡者数については、表1では、中皮腫の「1.0倍」とされているが、これは少なすぎる。2020年10月17日に更新された世界疾病負荷推計(GBD2019)による日本の石綿関連疾患死亡数の推計を表2に示した。2019年のアスベストへの職業曝露による肺がん死亡数は18,342人で中皮腫死亡数1,599人の11.47倍である。加えて、アスベストへの職業曝露による卵巣がん・咽頭がん死亡数も推計されている。今回初めて、日本の死亡数が2014年以降について年2万人を超えているという推計結果になった。
しかし、GBD推計は職業曝露以外を含めた推計が得られないことや発展途上であること、また、この数字を使うと結果的に計算される「救済率」が著しく低くなってしまうこと等から、過少推計であることを承知しつつ、本誌では、一昔前に国際的な科学的コンセンサスとされていた中皮腫の「2.0倍」との仮定を使用し続けている。
表1に記載されているように、環境省は「患者数将来推計は改めて行う」としながら、現状行われてきていない。「隙間ない救済」実現状況の検証とアスベスト被害の将来推計は、車の両輪としてともに努力を継続する必要があることを強く指摘しておきたい。
検証に使った補償・救済データ
② 労災保険・労災時効救済・船員保険-厚生労働省はクボタ・ショックの後2006年から、毎年6・7月頃に「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表するようになっている(2020年は6月24日)。これは、請求・支給決定年度別データであり、「など」とされているのは、労災保険給付のほか、厚生労働省所管救済法に基づく特別遺族給付金(労災時効救済)、船員保険給付に関するデータも含んでいるからである。
一方、年末に上記の「確定値」及び「石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表」を公表することも、被害者・家族らの強い働きかけの結果、継続されている(2020年は12月16日)。「確定値」には、死亡年別データが含まれる。船員保険の支給決定年度別データは、労災認定等事業場とともに参考として公表されている船員保険の業務上認定等事業場(船舶所有者)一覧表記載の当年度支給決定件数の値を使った。
必要に応じて、労災保険+労災時効救済+船員保険を「労災補償等」とよぶ。
③ 環境省所管救済法による救済-石綿健康被害救済法による療養者に対する救済(医療費・療養費手当等=生存中救済)、同法による法施行前死亡者及び未申請死亡者に対する救済(特別遺族弔慰金等)。環境再生保全機構が毎年公表している「石綿健康被害救済制度運用に係る統計資料」の令和元年度版によった(2020年9月16日公表)。
必要に応じて、環境省所管救済法による救済=生存中救済+施行前死亡救済+未申請死亡救済を「環境省救済」とよぶことにする。
「統計資料」には、平成21年度版から、「労災等」認定との重複分を含めたものと除いたものの二つのデータが示されるようになった。「労災等」とは、労働者災害補償保険制度、国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度、旧3公社(日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社)の災害補償制度、船員保険制度等の「業務に関連して石綿により健康被害を受けた方に対する補償制度」及び救済法に基づく労災時効救済制度(特別遺族給付金)のことである。本来は、これらの制度も検証作業に含めたいのだが、前述のとおり、「救済制度の認定を受けた後、他法令から給付決定を受けた者」の情報しか示さず、各制度を担当する機関も必要なデータを系統的に提供していないために、断念せざるを得ない状況が続いている。
決定年度別の補償・救済状況
わが国の中皮腫による死亡者数は、人口動態統計で把握できるようになった1995年の500人から増加している。2014年にわずかに減少したが、本誌は「増加が止まったとみることはできない」と指摘した。そのとおりに、2015年1,504人、2016年1,550人、2017年1,555人と増加した。2018年は1,512人、2019年は1,466人と減少しているが、まだ、「増加が止まった」とみることはできない。1995~2019年の25年間の累計は26,608人になっている。
表3及び表4として、中皮腫及び石綿肺がんの決定年度別の補償・救済状況を示した。
表3によれば、中皮腫について、生存中・施行前死亡・未申請死亡救済合計の「労災等重複」が2,135件、「労災等重複」を含めた認定件数の合計は生存中救済8,055件、施行前死亡救済3,428件、未申請死亡救済1,129件-合計12,612件になる。認定されたうちの16.9%が「後に他制度の認定を受けた」ことになる。このこと自体は、結果的に内容も水準も相対的に上回る給付を受けられるようになることであるから、歓迎・促進すべきことではある。
図1及び9頁の図2は、各々表3及び表4のデータをグラフ化したもので、「労災等重複」分を差し引かない数字のまま示している。
細かい留意点としては、環境再生保全機構の各年度版統計資料は、「当年度」と「累計」について、重複分を「含む」数字と「含まない」数字を示しているが、当年度以外の各年度別の数字は示されていない。表3~6の生存中・施行前死亡・未申請死亡救済件数では、各年度版統計資料からとった「当年度」の「含む」数字を各年度の欄に、また、最新年度版統計資料の「累計」の「含まない」数字を「合計」欄に示し、各年度欄の合計から「合計」欄の数字を差し引いて得られた数字を「重複分」として記載している。これが、最新年度版統計資料に示された「累計」の「含まない」から「含む」を差し引いた数字と異なる場合があることを指摘しておきたい。また、重複=他制度による認定が、労災保険、労災時効救済、船員保険以外の「元国鉄・アスベスト補償制度、国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度など」の事例は、この検証データには含まれないことにも留意されたい。
中皮腫労災増えたが、全体で微減
中皮腫について言えば、労災認定第1号は1978年で、以降クボタ・ショック前-2004年度までの27年間の累計労災認定件数が502件であったものが、2005年度は(事実上クボタ・ショック後の半年間で)502件、2006年度は1年間で1,001件と、1年半で4倍に激増した。以降、2007年度500件、2008年度559件、2009年度536件、2010年度499件、2011年度543件、2012年度522件、2013年度529件、2014年度529件、2015年度539件、2016年度540件、2017年度564件、2018年度534件、2019年度641件で、労災認定件数の2019年度末までの累計は9,040件となった。
労災保険以外では、2019年度末までの累計で、労災時効救済927件、船員保険90件、両者と労災保険を合わせて合計10,057件。生存中救済は正味(労災等重複分を除いたもの、以下同じ)6,239件、施行前死亡救済正味3,207件、未申請死亡救済正味1,031件、救済合計では正味10,477件である。
2019年度末時点までの補償・救済の総累計は、重複分を除いて20,534件と、2万件を超えた。
図1をみると、救済法が施行された2006年度の大きな峯以外に、2009年度と2012年度に二つの小さな峰ができているのがわかる。
これは、2008年度に環境省主導、2011年度に厚生労働省主導によって、「個別周知事業」(地方自治体の保管する死亡小票で中皮腫で死亡された方を抽出し、労災または救済給付を受けていない方に対し、労災・救済制度を周知する事業)が実施されたことによるものである。「闘病中本人に対して」ではなく「死亡後遺族に対して」になってしまうわけではあるが、すべての救済対象事案に対して直接制度を周知することは、「隙間ない救済」実現をめざした具体的努力のひとつとして評価できる。効果が確認できているにもかかわらず、2回行われただけで、継続して実施していく方針はいまだどちらの省からも示されていないことが問題である。
上記二つの峰にまでは届いていないものの、2015、16、17、18年度と4年連続して補償・救済合計が増加を示したが、2019年度は微減となった。
2019年度でみると、労災保険641件(前年度比107件増加)、労災時効救済12件(3件増加)、船員保険4件(2件増加)-以上合計657件(112件増加)。生存中救済765件(120件減少)、施行前死亡救済9件(3件減少)、未申請死亡救済127件(25件減少)-以上合計913件(148件減少)。総合計1,422件で前年度比36件の減少となった。前年度は生存中救済の増加が目立ったが、今年度は労災保険の増加が顕著だった。
表3及び表4では、「分担率」として、2019年度末時点までに補償・救済を受けた総件数に対する、各制度による補償・救済件数が占める割合を示している。中皮腫では、労災補償等と環境省救済がおよそ半々という結果(2011年度末時点での49.4%と50.6%から、2012年度末時点では48.8%と51.2%、2013年度末時点では49.1%と50.9%、2014年度末時点では49.5%と50.5%、2015年度末時点では49.7%と50.3%、2016年度末時点では49.4%と50.6%、2017年度末時点では49.2%と50.8%、2018年度末時点では48.8%と51.2%、2019年度末時点では49.0%と51.0%へという経過)である。
表3のデータで決定年度別に「分担率」を計算してみると、「労災等重複分」が差し引かれていないので労災補償等の占める割合が相対的に低くなるのだが、高いほうで2014年48.8%、2011年度46.8%、2019年度46.2%…、低いほうで2009年33.2%、2010年37.3%、2018年度37.4%…と、年度によりけっこうばらつきがある。
中皮腫の80%が職業曝露によるものというのが国際的な科学的コンセンサスであり、職業曝露によるもの以外の中皮腫の救済・補償を実施している他の諸国の状況からも妥当と考えられている。したがって、以上のような「分担率」の状況は大いに問題がある。
肺がん補償・救済は変わらず
石綿肺がんの労災認定第1号は1973年とされ、以降クボタショック前-2004年度までの32年間の累計労災認定件数が354件であったものが、2005年度は213件、2006年度は783件と、中皮腫同様に激増した。以降、2007年度502件、2008年度503件、2009年度480件、2010年度423件、2011年度401件、2012年度402件、2013年度382件、2014年度391件、2015年度363件、2016年度387件、2017年度335件、2018年度376件、2019年度375件で、労災認定件数の2019年度末までの累計は6,670件となった。
労災保険以外では、2019年度末までの累計で、労災時効救済600件、船員保険83件、両者と労災保険を合わせて合計7,353件。生存中救済は正味1,231件、施行前死亡救済は正味120件、未申請死亡救済は正味255件、環境省救済合計では正味1,606件である。
2019年度末時点までの補償・救済の総累計は、重複分を除いて8,959件。中皮腫の総累計20,534件と比較すると、その43.6%のレベルにとどまっている。2倍(200%)どころか、環境省が制度発足時に想定した1倍(100%、表1参照)にも遠く及ばない状況が続いている。
2019年度は、労災保険375件(1件増減少)、労災時効救済11件(7件減少)、船員保険5件(4件増加)-以上合計388件(4件減少)。生存中救済133件(5件減少)、施行前死亡救済2件(2件増加)、未申請死亡救済41件(7件増加)-以上合計176件(4件増加)。総合計は567件で前年度と変わらないという結果であった。
中皮腫の場合のような「個別周知事業」も行われないなか、ここ10年ほどでみて横ばい傾向と言わざるを得ないように思われる。
「分担率」は、労災補償等が82.1%で、中皮腫の場合の49.0%よりはるかに高い。これは、後述の「認定率」でもみられるように、労災補償等と比較しても環境省救済における石綿肺がんの認定が難しいことによるものと考えられるのだが、表4のデータで決定年度別に「分担率」を計算してみると、この数字は2006年度81.6%から2019年度69.0%へと傾向的に減少していることが気にかかる。
まず何よりも「中皮腫と比較しても石綿肺がんの補償・救済が不十分」という認識を持ったうえで、石綿肺がんの認定・判定基準の内容と運用の大幅な改善、肺がん症例についてアスベスト曝露との関係についての医療現場に対する認識及び対応を抜本的・包括的に改善するようなアプローチ、中皮腫の場合の全死亡事例に対する周知事業に匹敵するような周知事業の立案・実行等々、多様な対策をいまのうちに講じていくことが求められている。
とりわけ、石綿肺がんの認定・判定基準が、「隙間ない救済」を実現できるものになっていないことは、本誌が繰り返し指摘していることである。
対象疾病全体で3万件突破
表5は、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水の決定年度別の補償・救済状況である。
環境省救済では、2010年7月1日から、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺・びまん性胸膜肥厚が新たに指定疾病に追加されたが、良性石綿はいまなお対象とされていない。
労災時効救済では、良性石綿は対象とされてはいるものの、これまで請求・認定件数とも0件である。
また、労災時効救済については、制度発足以来、中皮腫・石綿肺がんだけでなく、石綿肺・びまん性胸膜肥厚についてもデータが公表されてきたが、労災保険について、びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水のデータが公表されるようになったのは、2009年12月3日の公表からのことである。
表5の右下には「2009年度以前分で入手可能なデータ」も示し、これを含めて表3~5に示した、これまでに判明している石綿関連疾患の補償・救済件数のすべてをまとめたのが、表6の内容である。脚注に示したように、入手できていない=公表されていないデータがあることに留意されたい。
2019年度までの総累計は31,475件で、初めて3万件を突破した。内訳は、労災補償等が60.9%、環境省救済が39.1%。また、中皮腫20,534件、石綿肺がん8,959件、石綿肺754件、びまん性胸膜肥厚776件、良性石綿胸水452件という状況である。
請求期限切れ再発の可能性
石綿健康被害救済法は、患者・家族らの提起を受けた議員立法というかたちで、法制定時には3年間の時限措置とされていた、法施行前に死亡または労災時効成立していた事例に対する救済(労災時効救済及び施行前死亡救済)の請求期限を延長するとともに、法施行後に未申請のまま死亡した事例も死亡後救済の対象に追加する等の改正が、2008年及び2011年の二度にわたり行われた。
しかし、労災時効救済は、2016年3月27日以降に死亡した事例には適用されない。したがって、死亡から5年経過すると労災保険も労災時効救済も請求できなくなる。環境省所管の未申請死亡救済のほうは死亡から15年以内なら請求することができるが、給付の水準に著しい差がある。再度請求期限切れが生じてくる問題を知っている必要がある。
2019年度には、労災時効救済が中皮腫12件(前年度比3件増加、後述のように1件は1973年死亡事例)、石綿肺がん11件(7件減少)、合計23件で、いまなお機能し続けていることを証明している。
中皮腫救済率65.8(32.4~92.2)%
次に、「隙間ない救済」の検証である死亡年(年度ではなく暦年)別の補償・救済状況をみよう。表7は、2019年度末時点における中皮腫の死亡年別の補償・救済状況である。この表の救済件数には、労災等認定との重複分は含まれていない。
前述のとおり、補償・救済の対象(分母)となる死亡者数は、1995年以降は人口動態統計により、1968~1994年以前は推計値。1929年以前のアスベスト輸入量のデータがないために、(その38年後の)1967年以前の死亡者数は推計されていない。
もっとも古い認定事例は、施行前死亡救済の1973年死亡事例である。次が労災時効救済による1974年死亡事例だったが、2019年度の認定事例として、1973年死亡事例が1件現われている。
しかし、1985年までは補償・救済合計で1桁、1995年までは2桁台で、死亡者数に対する補償・救済合計件数の比率=救済率は、1994年以前の小計では14.5%(=536/3,685件)にとどまっている(この数字は、2009年度末時点では13.5%、2010年度末時点13.7%、2011年度末時点13.8%、2012年度末時点13.8%、2013年度末時点521件14.1%、2014年度末時点522件14.2%、2015年度末時点522件14.2%、2016年度末時点526件14.3%、2017年度末時点530件14.4%、2018年度末時点533件14.5%であった-最近では、2014年度1件、2015年度0件、2016年度4件、2017年度4件、2018年度3件、2019年度3件の増加があった)。繰り返しになるが、労災時効救済措置は存続する必要がある。
中皮腫死亡者数が推計ではなく人口動態統計により確認できる1995年以降(今回は2019年度までの25年間)についてみると(図3も参照)、死亡者小計26,608件のうち、2019年度末までに労災保険給付・労災時効救済を受けたものが8,381件、船員保険76件、生存中救済5,089件、施行前死亡救済2,924件、未申請死亡救済1,031件-合計17,501件で、救済率は17,501/26,608=65.8%という結果になった(2009年度末時点での1995~2009年の救済率56.5%、同様に、2010年度末時点57.3%、2011年度末時点57.7%、2012年度末時点63.1%、2013年度末時点63.7%、2014年度末時点64.0%、2015年度末時点64.0%、2016年度末時点64.4%、2017年度末時点65.0%、2018年度末時点65.5%)。
最も救済率が高いのは、2005年の92.2%(2009年度末時点89.1%、2010年度末時点90.1%、2011年度末時点90.9%、2012年度末時点92.1%、2013年度末時点92.1%、2014年度末時点92.1%、2015年度末時点92.1%、2016年度末時点92.1%、2017年度末時点92.1%、2018年度末時点92.1%)で、最低は1995年の32.4%(同前22.0%、23.0%、24.4%、31.8%、32.4%、32.4%、32.2%、32.2%、32.4%)と、死亡年別の救済率のばらつきは非常に大きい。
死亡者数が推計値である1994年以前も含めた全期間合計(2019年まで)でみると、救済率は59.5%という状況である(同前48.0%、46.6%、49.0%、54.0%、55.1%、55.9%、56.5%、57.2%、58.1%、58.9%)。検証可能な全期間について救済率の一貫増加を継続できていることを確認できるのは幸いではある。
しかし、死亡年別の救済率が2005年の92.1%をピークに、より最近の死亡年について減少傾向が出はじめていないか強く懸念される。例えば、年度末時点における当該年の死亡年別救済率は、2016年度60.6%、2017年度62.1%、2018年度61.5%、2019年度は59.1%という状況である。
いずれにせよ、「隙間ない救済」の実現からは遠いと言わざるを得ない。
2005年死亡について92.1%という達成済みの救済率を具体的目標に掲げて、他の死亡年について実現できていない理由を分析しながら、具体的かつ多面的な対策を講じていくこと。また、死亡年が古い事例の救済は増加しにくくなってきているものの、労災時効救済と死亡後救済(未申請)の役割はなお大きいことを確認して、救済期限切れという事態が生じないようにすることが重要であると考える。
なお、表7の「合計」が表3の「死亡年判明2019年以前」欄の数字であり、表3において「合計」と「2019年以前死亡」の差を「死亡年不明+生存等 」欄に記載している (2020年死亡も含む) 。
肺がん救済率11.2(2.9~16.7)%
石綿肺がんの死亡年別の補償・救済状況は表8のとおりであり、グラフ化したものが図4である。
既述のとおり、救済の対象(分母)となるべき死亡者数は、中皮腫死亡者数の2倍と仮定している。
アスベスト輸入量のデータがないために推計していない1967年以前の死亡事例でも認定されているものがあり、もっとも古い認定事例は、労災時効救済の1963年死亡事例で、施行前死亡救済では1974年死亡事例がみられる。
しかし、救済率は、中皮腫の場合と比較しても、悲惨としかいいようのない実績である。仮に、制度発足当時に環境省が行った推計方法-肺がん死亡は中皮腫の1倍と仮定-にしたがうと、救済率は2倍になるが、それでもなお低い。
救済率は、1994年以前の小計では3.5%(=260/ 7,370件、2009年度末時点で2.6%、2010年度末時点3.2%、2011年度末時点3.2%、2012年度末時点件3.3%、2013年度末時点247件3.4%、2014年度末時点247件3.4%、2015年度末時点247件3.4%、2016年度末時点251件3.4%、2017年度末時点256件3.5%、2018年度末時点259件3.5%)。
1995~2019年の25年間についてみると、死亡者小計53,216件のうち、2019年度末までに労災保険・労災時効救済を受けたものが4,733件、船員保険58件、生存中救済833件、施行前死亡救済105件、未申請死亡救済225件-合計5,984件で救済率は5,984/53,216=11.2%という結果になった(2009年度末時点の1995~2009年の救済率9.3%、2010年度末時点9.6%、2011年度末時点9.7%、2012年度末時点10.6%、2013年度末時点10.8%、2014年度末時点10.9%、2015年度末時点11.0%、2016年度末時点11.0%、2017年度末時点11.0%、2018年度末時点11.1%)。
最も救済率の高いのは2006年の16.7%で、最低は1995年の2.9%、2007年以降についてもおおむね減少傾向が見受けられる。
1994年以前も含めた2019年までの全期間合計でみると、救済率は10.3%という状況である(同前7.8%、8.2%、8.2%、9.2%、9.5%、9.7%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%)。
繰り返しになるが、中皮腫と比較して、石綿肺がんの補償・救済状況は著しく低い。
肺がん/中皮腫の比率低いまま
以上の状況は、中皮腫と比較しても、石綿肺がんが著しく補償・救済できておらず、各制度間の相対的な比較においては、労災補償等がいくらかましに救済できているということを示している。このことを、別のデータからもみてみよう。
表9では、「決定年度別」の中皮腫に対する石綿肺がんの比率を検証している。
決定年度別でみると、労災保険では、肺がん補償件数の中皮腫補償件数に対する比率は、2002~2005年度に40%前後だったものが、2006年度78.2%、2007年度100.4%と上昇した後、2008年度90.0%、2009年度89.6%、2010年度84.8%、2011年度73.8%と低下し、2012年度77.0%、2013年度72.3%、2014年度73.9%、2015年度67.3%、2016年度71.7%、2017年度59.4%、2018年度は70.4%、2019年度は58.5%であった。2006~2019年度平均では75.9%となっている。
労災時効救済では、件数が少ないこともあって変動が激しいが、2006~2019年度平均で64.7%。これに対して、生存中救済では2006~2019年度平均が20.3%、施行前死亡救済では4.4%、未申請死亡救済では26.4%と著しく低い水準である。
表9の「総合計」の「合計」欄でみれば、各制度合わせた全体では40.7%であることがわかる。
図5には、「死亡年別」の中皮腫に対する石綿肺がんの比率の推移を示しているが、こちらでみても、労災補償等と環境省救済との間で大きな格差があることが確認できる。
認定率の検証
認定率についてもみてみよう。表10及び図6に中皮腫、表11及び図7に石綿肺がん、また、表12に石綿肺、表13にびまん性胸膜肥厚、表14に良性石綿胸水について、入手可能なデータを示した。
請求件数を分母とすることも可能であるが、より正確に、当該年度における総決定件数に対する補償・救済件数を用いた。具体的には、労災補償等では、支給決定件数/(支給決定件数+不支給決定件数)、環境省救済では、認定件数/(認定件数+不認定件数+取下げ件数)を計算した。
環境省救済の「取下げ」は、「主な理由:労災等支給、医学的資料が整わない」と注記されているが、挙げられた二つの理由はまったく性質の異なるものであり、各々の理由ごとのデータを示すべきである。「労災等支給」が理由であれば結構なことだが、「(求められた)医学的資料が整わない」場合、それでも処分を求めていれば、「不認定」とされたと考えられる。不認定件数を減らす目的であろうが、自主的な「取下げ」を誘導させられ、事実上断念させられている可能性を排除できないため、総決定件数として分母に含めたものである。「労災等支給」を理由した「取下げ」を除外することができれば、認定率はその分高くなる。
中皮腫の認定率は、2006~2019年度平均で、労災保険が93.7%でもっとも高く、施行前死亡救済92.2%、労災時効救済86.1%、生存中救済85.9%、未申請死亡救済77.7%と続いている。全体では89.1%である。
一方、石綿肺がんの認定率は、2006~2019年度平均で、労災保険の83.8%がもっとも高く、生存中救済59.5%、未申請死亡救済57.0%、労災時効救済53.8%、施行前死亡救済22.0%という順で、かなりの差がついている。また、公害等救済では取下げ件数もかなりの比率ある。全体では71.1%である。
中皮腫の認定率と比較して、とりわけ環境省救済に係る石綿肺がんの認定率が低いことが一目瞭然である。再三指摘していることだが、まず石綿肺がんの認定・判定基準とその運用の大幅な改善が求められる。合わせて、医療現場に対するより包括的なアプローチも切実に求められている。
また、中皮腫の診断がつけられているにもかかわらず不支給・不認定とされた事例、「医学的資料が整わない」という理由で取り下げられた事例についての理由の公表・検証も求められる。
労災の環境省救済への紛れ込み
環境再生保全機構の「石綿健康被害救済制度における平成18~30年度被認定者に関するばく露状況調査報告書」には、曝露分類別の被認定者の状況が示されており、これは、アンケート回答の内容から、①職業曝露、②家庭内曝露、③施設立入等曝露、の順で優先してひとつに分類し、いずれにも該当しないものを、④環境曝露・不明に分類したと説明されている。2006~2018年度の累計被認定者14,012人のうち、他法令でも認定された2,551人を除いた11,461人が調査対象で、アンケートに回答した9,871人についての状況である。
表15のとおり、曝露歴が「職業曝露」に分類されるものが、中皮腫の場合で53.2%(前年度52.5%)にものぼることが明らかになっている。石綿肺がんの場合では90.8%(前年度89.0%)、石綿肺とびまん性胸膜肥厚も含めた4疾病合計では62.1%である。このなかには労災補償等を受給する資格のあるものが環境省救済に「紛れ込んでいる」ことが強く疑われる。しかし、そのような事例の有無やどれくらいあるのか、調査されたことはない。
そのような事例は、すでに救済給付を受けていたとしても、労災補償等の請求をすることは可能である。これまで「労災認定等との重複分」と言ってきたのは、まさにそのような事例のことである。この問題を放置しておくことはできないと訴えてきたが、2011年6月の中央環境審議会答申「今後の石綿健康被害救済の在り方について」は、「労災保険制度との連携強化」で、次のように指摘している。
「現在、石綿健康被害救済制度と労災保険制度間では、制度対象者が適切に申請を行えるよう、環境再生保全機構及び労働基準監督署相互の窓口に、両制度のパンフレットを置く等制度の周知に努めている。しかしながら、本来労災保険制度に申請すべき者が、労災保険制度の存在や自分が労災保険制度に申請できることを知らない、あるいは知ってはいるが労災保険窓口への申請を躊躇し、機構の方に申請する事案がいまだあることから、作業従事歴のある申請者等については、申請者本人に労災保険制度について説明し申請を促すのみならず、個人情報の取扱いに留意しつつ、機構から労災保険窓口へ直接連絡することを検討するべきである」。
2012年12月5日に開催された同審議会の第11回石綿健康被害救済小委員会に参考資料として提出された「二次答申の対応状況」では、以下のように書かれている。「救済制度の申請時に実施しているアンケート調査をもとに、申請者が作業従事歴を有している可能性がある場合、環境再生保全機構から申請者本人に労災保険制度について説明し、申請を勧奨している。また、制度の円滑な案内に資するよう、厚生労働省、環境再生保全機構で合同のリーフレット、ポスターを作成、配布済み」。請求人の同意が得られたものに限られるが、「機構から労災窓口への直接連絡」が行われている。
なお、表16に、健康リスク調査(当時の名称)関連地域の曝露分類別状況を示している。
都道府県格差
「救済率」を都道府県別についてもみておこう。
分子については、都道府県別の死亡年別の補償・救済件数が公表されていないため、労災補償件数は都道府県別データが入手可能な2003~2019年度の労災保険認定件数、2006~2019年度の労災時効救済、生存中救済、施行前死亡救済、及び、2008~2019年度の未申請死亡救済件数の合計を用いた。環境省所管救済では、各年度の「労災等認定との重複分」も含めた認定件数を合算したうえで、当該期間の累計の重複件数を減じて、「機構のみ認定」件数を求めている。
1995~2002年度の労災保険認定件数については、都道府県別データが入手できないため含められていない分過少評価になるが、その数は全国合計で、中皮腫206件、石綿肺がん138件である。一方で、時効救済・施行前死亡救済には、1995~2002年死亡事例が多数含まれているため、都道府県別データが入手可能な1995~2019年の中皮腫死亡者数(表25参照)すべてを、分母とすることが適当であると判断した。
したがって、1995~2019年の中皮腫死亡者数に対する、2003~2019年度に各制度から補償・救済を受けた者の割合として「救済率」を示したものである(表26・27)。
また、参考として、GBD2019による石綿関連疾患「死亡数」「死亡率」の都道府県別推計値も示した(表28・29)。
中皮腫・石綿肺がんについて、全国平均とベスト5及びワースト5の都道府県の状況は、表17・18のとおりである。
中皮腫の「救済率」は、全国平均は75.7%(2009年度末時点69.1%、2010年度末時点70.6%、2011年度末時点71.8%、2012年度末時点74.8%、2013年度末時点74.8%、2014年度末時点74.4%、2015年度末時点74.1%、2016年度末時点74.4%、2017年度末時点74.5%、2018年度末時点75.1%)であるが、最高の東京都の90.4%から最低の沖縄県の48.4%まで1.9倍(同前2.0倍、1.7倍、2.1倍、2.0倍、1.9倍、1.8倍、1.7倍、1.9倍、1.8倍、1.9倍)のばらつきがみられる。
石綿肺がんの「救済率」は、全国平均は16.2%(同前14.4%、15.1%、17.0%、15.8%、16.0%、16.1%、16.1%、16.1%、16.0%、16.1%)であるが、最高の岡山県の36.0%から最低の鹿児島県の4.0%までの、中皮腫の場合よりもさらに大きな9.0倍(同前13.4倍、14.0倍、15.7倍、15.7倍、13.1倍、11.6倍、10.0倍、9.8倍、8.9倍、8.6倍)ものばらつきがみられる。
この格差は、あまりにも大きすぎるだろう。これは、アスベスト被害とその補償・救済制度に対する周知・認識や、地方自治体をはじめとした関係者の取り組みのレベル等のばらつきを反映しているものと考えられるが、いまのうちに実効性のある対策を講じておかないと、自治体別格差がますます拡大していくことが懸念される。
表17・18の「労災等」、表26・27の「労災等割合」欄に示したのは、補償・救済合計に対する労災補償等(労災保険+労災時効救済)の割合である。これもかなりのばらつきがみられた。
業種別では建設業が約半数
労災保険と労災時効救済の合計に係る業種別内訳として、表19に、2019年度分及び2007~2019年度累計の詳細な業種別の石綿関連疾患支給決定状況、また、表20に、建設業、製造業、その他の3分類で2006~2019年度の累計支給決定状況を示した。表20の脚注に記したように、支給決定件数が判明しているのに業種別内訳が示されていない部分、支給決定件数そのものが公表されていない部分があることに留意されたい。
表20によれば、2006~2019年度の累計17,212件のうち、建設業が8,670件で50.4%、製造業は6,985件で40.6%、その他は1,557件で9.0%である。
表には示していないが、年度ごとの業種別内訳をみると、建設業が2007年度の47.2%から2019年度の58.5%へと増加し続けていることが顕著で、製造業は2007年度の42.7%から2019年度32.4%へ、その他は10.1%から9.1%へ減少している。
他方、環境再生保全機構の「石綿健康被害救済制度における平成18~30年度被認定者に関するばく露状況調査報告書」には、産業分類別状況も示されている。申請または死亡前の10年以前に所属した事業所(企業)を回答しており、複数回答可で、他法令でも認定されたものを除く2006~2018年度の累計被認定者11,461人のうち、回答者数8,455人、回答数15,962であった(1人平均1.9回答)。詳しい産業分類別で示されているが、表21に、建設業、製造業、その他の3分類で示した。
建設業が累計3,409で、回答数15,962の21.4%である。しかし、建設業に従事していたことのある場合、その期間中にアスベストに曝露した蓋然性が他の産業に比べて高いと考えてよい。したがって、回答者数8,455人に対する割合を計算すれば、40.3%である。
2006~2019年度の環境省所管救済被認定者累計12,312人の40.3%は4,962人になる。これに前述の労災保険・労災時効救済を合わせると、2006~2019年度の補償・救済総累計認定者29,524人のうち13,632人(46.2%)が建設業従事経験ありという推計結果になった(表22)。
建設アスベスト訴訟に対する最高裁の判断が示されようとしているなか、建設労働者のアスベスト被害救済を考えるうえで重要な基礎的情報であろう。
なお、「ばく露状況調査報告書」は、「建設業における特定の職歴がある者」についての状況も示しているので、表23として紹介した。
「隙間ない/迅速な救済」実現いまだ
「迅速な救済」に関しては、環境再生保全機構が公表しているデータ(表24)しかないが、「迅速な救済」が実現できているとは言えない。厚生労働省は速やかに情報を公表すべきである。
「隙間ない救済」も「迅速な救済」もいまだ実現されているというにはほど遠いと言わざるを得ないうえに、給付水準・内容の格差をはじめ、他にも様々な課題が山積みという状況が続いている。
あらためて「隙間ない/迅速な救済」目標の再確認と実現に向けた実効性のある諸施策の確立が求められていることを強調しておきたい。
認定事業場データベース
なお、厚生労働省は例年どおり2020年12月16日に、「令和元年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場」も公表した。今回は、992事業場(うち新規公表748事業場)が対象となり、クボタショック以降、延べ15,123事業場が公表されたことになる。
全国安全センターでは、これらのデータを事業場名、作業内容、所在地などのキーワードで検索できるデータベースにして提供してきた。今回公表の最新データも含めて更新しているので、ご活用いただきたい(https://joshrc.net/)
安全センター情報2021年1・2月号
※<最新>アスベスト(石綿)労災認定等事業場の検索サイト-2019年度認定分加え更新 2020.12.16~過去に労災認定あった会社を探すために~