技能実習生の除染業務調査 法務省等:実態調査はきわめて不十分
2018年10月号で岩手・福島等における除染作業にベトナム人技能実習生が従事させられている問題を報告した。
私たちは2018年3月14日に、全統一労組、移住者と連帯する全国ネットワークとともに参議院議員会館で記者会見を開き、Aさんの事例を公表するとともに、技能実習生を被ばく労働に従事させないこと、技能実習生の除染作業の実態を調査すること等、政府に対応を求めた。
法務省、厚生労働省、外国人技能実習機構は、記者会見と同じ日に「技能実習制度における除染等業務について」通知し、技能実習生を除染業務に従事させないと公表。5月1日には東電福島第一原発で6名の技能実習生が就労していたことが報道され、5月16日、新たに「東京電力福島第一原子力発電所における技能実習の取扱いについて」通知して、福島第一原発での業務は実習に適合しないとした。
さらに7月13日、法務省、厚生労働省、機構は「技能実習制度における除染等業務に係る調査状況」の中間報告を発表。6月29日時点で1,002社を対象に182社を調査し、そのうち除染等業務への従事が認められた受入企業数は4社。1社に対して受入れ停止(5年間)措置をとり、残り3社は調査継続とした。10月19日には機構が「技能実習制度における除染等業務に係る調査状況について」公表し、調査対象受入企業443社中、技能実習生の除染等業務への従事が認められたところはなしと発表した。
いずれの調査もきわ不十分である。その後も労組には別の建設業の受入企業で3名のベトナム人実習生の相談があり、私たちも団交に出席した。雇主は彼らの放射線被ばく線量の記録さえ持っていなかった。
技能実習生の被ばく労働は禁止されても、これまで無防備に除染作業に従事させられた技能実習生の被ばく線量管理を徹底させなければならない。政府は除染作業に従事させられた技能実習生に対して、正確な作業記録と被ばく線量記録を提供し、放射線管理手帳を交付すべきである。
安全センター情報2018年12月号