アメリカEPAが包括的アスベスト報告義務づける規則案-US-EPA, 2022.5.5
ワシントン(5月5日)-今日、[アメリカ]合衆国環境保護庁(EPA)は、既知の発がん物質アスベストへの曝露に対処し、この危険な化学物質から人々を守るために使われる科学を強化するその取り組みを継続するなかで、アスベストに関する包括的な報告を義務づける規則案を発表した。有害物質規制法(TSCA)第8条(a)に基づくこの規則案は、アスベスト製造・加工業者に、(不純物として含有するものを含めた)アスベスト含有製品に関する情報を含め、一定の使用・曝露情報の報告を義務づけるものである。
化学安全・汚染防止局担当次官マイケル・フリードフは、「強力なデータと入手可能な最善の科学は、アスベストのような危険な化学物質から地域社会を守るためのわれわれの活動の基盤である」と述べた。「この化学物質がどのように、どこで使用されているかについて、より包括的かつ完全なデータを得ることは、アスベストによる健康リスクを評価し、必要に応じて保護を実施するためのEPAの幅広い取り組みの一部である」。
EPAは、この規則案を通じて収集されたデータを、進行中のアスベストの「遺産使用」のリスク評価(第2部)や、リスク評価に基づいた今後のリスクマネジメント対策を含め、アスベストに関する今後の取り組みに役立てるために使用する予定である。例えば、不純物としてのアスベストについて収集されたデータは、タルク中のアスベストの使用に関するリスク評価によりよい情報を提供することができる。さらに、EPAが完了した継続的なアスベスト使用に関するリスク評価(第1部)には、ブレーキブロックやガスケットのように、アスベストが製品の一部または最終使用製品の構成要素かもしれない用途が含まれていた。この報告規則案は、異なる種類のアスベスト含有製品があるかどうかを特定するのにも役立つだろう。
報告規則案は、過去4年間の一定の種類のアスベスト及び(不純物として含有するものを含めた)アスベスト含有製品製造・生産者に、製造・加工したアスベストの量、使用の種類、従業員データなど、一定の曝露関連情報を報告することを義務づける。重要なのは、この規則案が、(不純物として含有するものを含めた)アスベスト含有製品及び混合物の成分として存在するアスベストも対象とすることである。提案されるように、製造・加工業者は、最終規則の発効日から9か月以内に、すべての必要な情報を収集して、EPAに提出しなければならないことになる。
連邦官報に掲載された後、EPAは、60日間、規則案に対する意見を受け付ける。
EPAはアスベストから地域社会を守る取り組みを継続
この報告規則は、アスベストによる公衆衛生へのリスクに対処するための包括的な一連の取り組みの構成要素のひとつである。先月、EPAは、現在合衆国に輸入されていることがわかっている、クリソタイル・アスベストの継続的な使用を禁止する規則を提案した。これは、TSCAの2016年改正に基づく既存化学物質の安全性を評価・対処する新しいプロセスのもとで発行される初めてのリスクマネジメント規則である。
前政権下において、EPAは、この化学物質のひとつの繊維種であるクリソタイル・アスベストの一定の用途だけをレビューすることによって、アスベストについてのTSCAリスク評価の対象を狭めた。追加のアスベスト繊維種を検討しなかったEPAの失策と、この物質の遺産使用と関連する廃棄を除外する決定は、訴訟につながった。2019年に裁判所は、EPAがTSCAの「使用の状況」から「遺産使用」と「関連する廃棄」を違法に除外したと判断し、EPAのアスベストに関するレビューは拡張されることが必要になった。EPAは、アスベストに関するそのリスク評価の第1部を終了させ、その後、第2部に移行することを選んだ。リスク評価第2部の範囲案には、遺産使用と関連する廃棄、クリソタイル以外の他の種類のアスベスト繊維、タルク及びタルク含有製品中のアスベストの使用が含まれている。
さらに、EPAは2021年12月にアスベスト・リスク評価第2部の範囲案を公表し、2024年12月1日までに最終リスク評価を公表する予定である。