毎日新聞社大阪本社 労災隠し取材班/(2004.11.15)web版

「労災隠し」送検 最多 2000年91件、10年前の3倍 厚労省調査

仕事上のけがや病気を労働基準監督署に届けない「労災隠し」で摘発され書類送検された件数が2000年、過去最多の91件になったことが厚生労働省の調べで分かった。10年前の約3倍で、今も増加傾向にある。摘発は実際の労災隠しの氷山の一角とみられており、労働者が補償を受けられずに泣き寝入りしないよう、実効力のある対策が同省などに求められている。

労働安全衛生法は事業者に対し、労災事故の発生状況を労基署に届けることを義務付けている。同省は毎年、同法違反容疑(報告義務違反と虚偽報告)で摘発し検察庁に書類送検した件数を集計。2000年に初めて90件を超えた。

91年は29件に過ぎなかったが、「労災隠しが横行している」との情報があり、労働省は同年12月、「労災隠し排除」を労基署に通達。積極的に摘発したため93年の送検は86件と大きく増えた。その後、総件数は減ったが、3、4年前から再び増加のきざしがある。

この間、労働省は特に対策をとっていなかった。しかし社会保険庁の調査で、労災保険扱いされるべき事故が、健康保険で処理される「隠れ労災」のケースが過去10年間で約58万件になっていることが2000年発覚。意図的な労災隠しではないかと指摘され、国会で取り上げられた。
民間団体からも「労災隠しが多発している」との訴えが寄せられていた。
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労災隠しによる送検数は、2001年には126件に達した(2003年1月から10月時では106件)。

20010802労災隠し送検最多 昨年91件、10年前の3倍 毎日新聞社大阪本社

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