新型コロナウイルス感染症発症後に診断された精神障害の労災認定が2020年度に2事例(2021年4月9日 衆議院厚生労働委員会)

新型コロナウイルスに感染した人の大規模な医療データを分析したところ、30%余りが半年以内に不安障害などの精神や神経の病気と診断されたとする推計結果を、イギリスのオックスフォード大学のグループが発表したことが大きく報道されている。

記事では「感染者の3割 精神や神経の後遺症か」というタイトルがつけられているが、同論文自体は「後遺症」等という言葉は使っていない。新型コロナウイルス感染後の神経精神症状や、感染後に精神障害等の診断を受ける事例があることについては、以前から指摘もされ、関心も寄せられているところである。

新型コロナウイルス感染症発症後に診断された精神障害が労災認定された事例が、2020年度中に2件あったことが明らかになった。

阿部知子衆議院議員が4月1日に設定した厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室との会合で、全国労働安全衛生センター連絡会議からの質問に答えて明らかになったものだが、4月9日の衆議院厚生労働委員会における同議員の質問に対して、労働基準局長が以下のように回答している。

「新型コロナウイルス感染症にかかった方で精神生涯を発病された方、これは直接の後遺症というよりは、コロナ感染症にかかったことにより職場で様々な人間関係等々も含めてということになりますが、精神障害について労災認定がなされたものにつきましては、令和3年3月末時点で2件となっております。」

2件とも、新型コロナウイルス感染症に罹患した事実だけではなく、それをめぐって生じた出来事と合わせて、精神障害労災認定基準の心理的負荷表に当てはめて業務によるものとして認定されたもののようだ。

一方で、新型コロナウイルス感染症で労災療養中に心療内科を受診したところ、精神障害の業務上外認定調査が行われることになり、労災保険の休業補償給付の支給が停止されてしまったという事例も生じている。私たちは、新型コロナウイルス感染症の療養が継続しているなかでの休業補償給付支給停止に抗議しているが、一層の監視が必要な問題である。

全国労働安全衛生センター連絡会議

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