労災補償請求はCOVID-19がカナダの労働者に与えている被害を反映 2020年11月23日 カナダ放送協会(CBC)

仕事でCOVIDに感染したとして26,000件を超す補償請求

ジェフリー・フリードマンはCOVID-19「長距離輸送者」-ウイルスにより病気になった後なかなか消えない健康状態をかかる多くのカナダ人のひとりである。彼は、4月初めに病気にかかった後、パンデミックの初期に仕事に就いたことを後悔していると言う。
フリードマンは、トロントの忙しい住宅建築産業に供給するあるタイル会社で働いていたが、それはエッセンシャル・サービスとみなされ、他の事業が休業を命じられたにもかかわらずオープンしたままだった。

「私は拘束されていた。しかし、お金を稼ぐ必要と顧客に対する気持ちから、私は出勤を続けて1日8時間働き続けました」。
CBCニュースがカナダ各州の労災補償評議会に取材して、仕事でCOVID-19に感染した者によって26,000件を超す労災請求がなされていることがわかった。フリードマンは、請求が認められた2万人以上のうちのひとりである。

カナダ中で何千人もが労災請求

労災補償請求に関する統計は、どれだけ多くの者がカナダにおいて仕事でCOVID-19に罹患しているかの最初の具体的指標であるが、それは不完全なものでもある。

州及び国による追跡の仕組みのパッチワークのために、仕事中に病気にかかった者の人数を標準的な計算方法は存在していない。
さらに、システムは、[労災認定]不適格またはたんに請求をしていない労働者のCOVID-19事例は捕捉していない。

フリードマンは、4月にCOVID-19の症状が現われて病院に行ったが、そこでは感染が推定されるので、家に帰って隔離しなければならないと言われた。数日後、彼は息をするのが苦しくなり、救急車で病院に駆け込んだ。彼はそこで44日過ごし、感染症と闘うためにほとんど人工呼吸器をつけていた。

「脳に霞がかかっている。ICUから声帯に永久的な損傷があり、33日間チューブにつながれた。首と上腕二頭筋の傷むがずっと続いている」と彼は言う。

現在65歳のフリードマンは、引退と旅行の夢を楽しむどころか、二度と運転できないだろうし、毎日を乗り切るのに苦闘し続けている。

「ICUにいることでお尻に大きな圧迫傷ができ、それは少なくとも座れるところまでよくなったものの、一時に10分しかよく眠れない。それに、だいたい毎日3時までには弱って、疲れてしまう」。

オンタリオの労働安全保険評議会(WSIB)はフリードマンの請求を認め、以降、フリードマンの賃金の損失の補填と傷害に適応させるための浴室の改造を援助することによって、彼とその妻ロリを援助している。

フロントライン労働者の請求を棄却

オンタリオとブリティッシュコロンビアでは、大部分の請求が医療施設や農業の労働者によるものであることをデータが示している。しかし、すべての労働者が対象とされているブリティッシュコロンビアと比較して、オンタリオの労働者の4分の1は労災補償制度の対象になっていない。

対象にならないオンタリオの労働者には、民間経営の介護施設や社会援助サービス、技術・銀行部門などの業種の多くの者が含まれている。

「それはまさに、産業の全体の見本だけを切り出して、あなたは対象となる資格がないという補償制度をもつことの不合理さを浮き彫りにしており、彼らが病院に行ったとしてもその請求はWSIBの数には入らないことから、これらの者を追跡するのは困難である」と、トロントの被災労働者地域法律相談所の地域法律相談員デビッド・ニューバリーは言う。

オンタリオでは11月13日までに、医療などフロントライン産業の数百人を含め、1,425人の請求が棄却されている。

ニューバリーは、棄却された請求は-WSIBが労働者の賃金全額の85%しか払わないという事実ともに-それら労働者はパンデミックの間に経済を動かし続けている「ヒーロー」であるという宣言に合致しないと述べる。

「われわれのフロントライン労働者がヒーローでいてくれることに感謝するビルボードやバス広告を掲げるのに企業が何百万ドルも使っている一方で-われわれの棚を満たしてくれるか、またはわれわれの祖父母の面倒を見てくれているか、そうした職場で人々が実際に病気になっているときに-彼らが受けているのは…15%の賃金カットなのである」。

ジェニファー・コリンズは、春に29人の入所者が亡くなった大アウトブレイクの現場である、オンタリオ州ボブケイジョンのピンクレスト老人ホームで働いていた。彼女は、適切な個人用保護具を入手することができず、3月にCOVID-19に罹患し、なかなか消えない健康問題をかかえたままだと話した。

コリンズは入院はせず、病気を記録した医療記録の欠如が労災補償請求をだめにした、と彼女は言う。

「WSIBから電話があり、彼らは、COVIDが特別な事例だということに気づいているが、私が話したことを裏づける医療データも記録もなかったから、適格と認められなかったと話した」と、彼女は言う。

コリンズは、まだ倦怠感に苦しんでおり、腰が動くうちに約2ブロック歩けるだけだと言う。「毎日もっと自分をプッシュしようと試すが、困難でいつもイライラさせられている」と、彼女は言う。

棄却された後、コリンズは代わりにカナダ緊急事態対応給付の請求を行って、認められた。

認定されたとしても闘いが終わるわけではない

オンタリオではこれまでに、看護・在宅看護施設の302人の労働者の請求が棄却された。

結局のところ、仕事で病気になった多くの者は、家で働くという選択肢がなかった人たちである。被災労働者法律相談所のニューバリーは、こうした労働者は労災補償が受けられるということさえ知らなかった-とりわけ言葉や職場の法律に通じていない新たなカナダ人-かもしれないと語る。

「もっとも弱い立場の者は概して、そうしたことが可能であることを知る可能性のもっとも低い人たちである」と、彼は言う。
しかし、請求が認められた者にとっても、闘いが終わったわけではない。

ジェフリー・フリードマンは金曜日に、必要なあらゆる予防措置を講じており、彼が仕事でCOVID-19に罹患したという証拠はないと主張して、彼の使用者が労災補償請求に異議を申し立てているという通知を受けた。

労災補償請求の費用が上がるにつれて、使用者が払わなければならない保険料も上がる。ニューバリーは、制度が使用者に認定された請求に異議申し立てをするインセンティブを与えていると話す。

「カナダの労災補償制度は民間保険と同じモデルでつくられている」と、彼は言う。

「もし仮に…被災労働者が請求が正当であることの立証に成功するとしても、この手続きには数年かかる場合もあり、本当にストレスになる可能性がある」。

※11.25現在のカナダの累積感染者数は347,466で、26,107人はその7.5%に相当する。

出典:https://www.cbc.ca/news/canada/covid-compensation-wsib-wcb-workers-1.5810305

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