6月1日パワハラ防止法施行!職場のいじめ・ハラスメントほっとライン実施:6月1~2日

6月1日からのパワハラ防止法( 改正労働施策総合推進法)施行にあわせて、全国で「職場のいじめ・ほっとライン」(無料)を次の要領で実施します。全国5カ所で電話を受け付けます。最寄りの電話番号にご相談ください。

6月1日パワハラ防止法施行!
あきらめないで、まずはご相談を!
職場のいじめ・ハラスメントほっとライン

6月1日(月)~2日(火)
午前10時~午後5時
福岡のみ午後7時まで両日受付

〈北海道・東京・名古屋・大阪・福岡で無料電話相談〉

北海道(札幌地域労組)

 電話011-756-7790

東京(東京労働安全衛生センター)

 電話:03-3683-9765

名古屋(名古屋労災職業病研究会)

 電話:052-837-7420

大阪(関西労働者安全センター) 

 電話:06―6943-1527

福岡(連合福岡ユニオン)*福岡のみ午前10時~午後7時

 電話092-273-2114、092-273-2161

ハラスメントをなくすには? 
職場改善、被害者救済のポイントを、安全衛生団体、労働組合の専門スタッフらが解説。
メンタル労災の相談もどうぞ。

*上記の団体では、日常的にパワハラやメンタルヘルスの相談などを受け付けています。

主催:全国労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・パワーハラスメント対策局

協力:コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク

はじめに

新型コロナウィルスの感染拡大で、職場のハラスメント問題が改めて浮き彫りになっています。いつものように仕事が進められないことから、ストレスがたまるのか、同僚に八つ当たりされて、怖くなって出勤できなくなったという相談がありました。家族が中国出身であるというだけで暴言を吐かれたという例もありました。感染予防に細心の注意を払いながら、より一層の過重労働を余儀なくされている医療・福祉関係、店舗等の労働者に、一部の利用者や消費者が無理難題をふっかけるなどの、信じがたいような実態もあります。

一方で、働く仲間が今まで以上に助け合い、困難な状況を乗り越えるための努力が進められている職場もたくさんあります。私たちはハラスメントのない職場づくりは、法律が守られているとか、被害者が救済されるだけでは進まないと考えます。むしろ問題、課題を積極的に見つけ出して解決する中で、今まで以上に働きやすい環境が作られるでしょう。そのためには、やはり被害者や、見て見ぬふりをしない仲間こそが、声を上げる必要があります。

<いじめ・ハラスメントをめぐるいくつかの誤解と私たちの見解>

1 ハラスメントを禁止する法律はない

→十分なものではありませんが、パワーハラスメントを防止するための法律が施行されました。国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約に日本政府も賛成しています

6月1日に施行された改正労働施策総合推進法で、企業はパワハラ防止・解決などの対策を取ることが義務付けられています。どういうものがパワハラになるのか、どのような相談体制をとればよいのかなど、具体的なことは指針で定められ、厚生労働省がパンフレットを作成しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf
ILO条約ではパワハラを法律で罰則を設けて禁止することなどを求めています。日本の使用者側の経団連は棄権しましたが、日本政府と労働者側の連合は賛成しました。厚生労働省も、さらなる法改正に前向きな姿勢を示しています。

2 パワーハラスメントと業務指導の境目がないので定義は困難

→パワーハラスメントは単なる暴力・圧力、上司からではないハラスメントも多いのが実態です

「部下を強く叱ってはいけないのか?」、「つい感情的になってしまったが繰り返していない」。そのような言い訳や定義づけの議論をするのは日本国内の使用者側だけです。例えばILO条約の名称は「仕事の世界における暴力及びハラスメントの根絶に関する条約」というものです。その定義は、「単発的事象であるか繰り返されるかにかかわらず、身体的、精神的、性的又は経済的危害を目的とした、または危害を引き起こす若しくは可能性のある、一定の許容できない行為またはその慣行又はその行為」などと若干冗長ですが、明確に定めています。
むしろ議論となったのは、同性愛などを法律で禁止する国が、LGBTなどの性的少数者を保護の対象として明記することに反発したり、顧客や求職者など、どこまで具体的に保護の対象を明記するかといったことでした。とりわけ日本では、顧客や利用者からの暴力や暴言、いわゆるカスタマーハラスメントが大きな問題になっています。ILO条約の名称の冒頭が、「仕事の世界」とされている通り、部下や同僚からのハラスメントも、上司からのものと同様に扱われています。
40年以上にわたる学校のいじめ問題を振り返ってみても、その定義づけや範囲を議論することが、問題の解決や防止につながることはあり得ません。被害者や関係者が声を上げたことに対して、使用者が真摯に対応する中からしか、何も始まらないのです。

3 権利意識と称して被害妄想的な人たちが騒いでいるだけだ

→実は被害者の半数は誰にも相談せず、退職を余儀なくされている人もたくさんいます

 厚生労働省の委託調査(下記サイト参照)でも、パワハラを受けた時に「なにもしなかった」が40%、退職したが11%に上ります。つまり半分の人は泣き寝入りさせられているのです。そして、パワハラの発生率は、業種や企業規模でもほとんど変わりません。労働局などの行政機関への相談件数も比率も、ずっと増加傾向にあります。残念ながら厚労省は、セクハラやパワハラの相談に対して、「適切に対応した」とするのみで、実際にどのぐらい「解決」したのか否かについて、統計を取ろうとすらしていません。どこでも誰でも起こり得る、そして解決が困難な状況が続いているのです。
マスコミの皆さん、情報提供、報道をよろしくお願いします。被害者のみなさん、泣き寝入りはやめましょう。兵庫では地元紙やNHKが取り上げてくださり、毎年50件を超える(対応可能上限)の相談が寄せられてきました。

平成 24 年度 厚生労働省委託事業 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t-att/2r9852000002qx99.pdf

4 ハラスメントは立証がむつかしい

→証拠は自らつかむもの、ポイントは仲間づくりです

会社の相談制度があるとして、ハラスメントを訴えても、加害者側が否定することは少なくありません。組織的なものや陰湿ないじめのような場合は目撃者もおらず、事実そのものが否定されることもあります。被害者の方に問題があるかのような言い方をされることすらあります。
可能であれば録音することは大変重要です。ただし一つの方法に過ぎないことは、注意しましょう。再生してみるとリアリティに欠いており、あまり役に立たないこともあるからです。それよりも重要なのは仲間です。同じように被害を受けている人や、そうではなくても、あなたのことを支えてくれる人、もっと情報や証拠を持っている人が必ずいます。あきらめずに協力を求めましょう。

5 パワーハラスメントを原因とする精神疾患の労災認定は難しい

→少なくとも毎年100件以上が労災認定されています

2018年度(平成30年度)に精神障害で労災認定された465件のうち、「いじめ、いやがらせ又は暴行を受けた」が69件に上ります(下記のサイト参照)。いじめとまでは評価されなかった「上司とのトラブル」を原因とするものも18件でした。この10年余の間の件数を数えると、ゆうに1000件以上になります。また、いじめがあっても、もっと調査しやすい他の出来事(例えば長時間労働)が主な理由になり、早期に労災認定されるものもあるので、実際の認定数は年間100件以上でしょう。
パワハラ防止法施行を契機に、被害の訴えに使用者が十分に対応しなかった場合についてより広く認める方向での、認定基準の改正が予定されています。

平成30年度「過労死等の労災補償状況」別添資料2精神障害に関する事案の労災補償状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/000521999.pdf