バイザッグ・ガス漏えいはボパール災害ときわめて類似。インドは労働者を非難する前に証明しなければならない。-2020年5月8日 The Print

木曜日、ヴィシャーカパトナムのLGポリマーズ工場における大規模な化学ガス漏えい事故の後、
キング・ジョージ病院で治療を受ける被害者たち

コロナウイルス・パンデミックにより引き起こされた経済的ロックダウンのために生まれたきれいな空ときれいな川という陳腐な物語をやめさせるときである。各州政府と環境大臣たちがビジネスの再開を容易にするなかで-11人を殺し、1,100人をスチレンガスに曝露させた-バイザッグ[Visag、インドのアーンドラ・プラデーシュ州の最大都市ヴィシャーカパトナム(Visakhapatnam)]のLGポリマーズ社ポリスチレン工場における有毒ガス漏えい事故は、環境デューデイジェンスを経済活動の障害とみなす愚かさを世界に思い出させた。

バイザッグ・ガス漏えい事故、その原因と経営陣・州の対応は、不穏なほどボパール・ガス惨事と似ている。これは、1984年のユニオン・カーバイド惨事から、何のよい経験も学ばれなかったことを示している。一層悪いことに、企業と行政は、事故とその体系的原因を軽視するために、虚偽と非科学的かつ空虚な保証を展開し続けている。

わかっていること

LGポリマーズは、午前2時半頃、1,800トンの揮発性物質を含んだ貯蔵タンクからスチレンガスが漏えいしはじめたと言っている。ガスはゴパラパトナムの5つの人口の密集した村に広がり、バッファローや犬、鳥さえも含め、人々や家畜を殺した。少なくとも午前6時半まで、大気は危険なほど汚染されたままだった。

ボパールと同じように、工場からは何の警告もなかった。

同社の声明は、貯蔵タンク内のよどみと温度変化が自動重合をもたらし、気化を引き起こした可能性があると主張している。

10時半までに警察本部長R.K.ミーナは、ガスは「無毒」だと宣言した。アーンドラ・プラデーシュ州警察も人々に、「ガスの影響を中和させるために」ミルクを飲み、バナナやジャガリーを食べるよう助言していた。

ボパールの教訓、またはなし

同社の説明も本部長の保証も疑わしい。しかし、ボパールと同様にバイザッグでも、会社と州は、大気中にあったものが何であれ、その毒性を軽視していたように思われる。

ユニオン・カーバイドからそっくりまねてLGポリマーズのスピンドクターたちも、事故の責任を労働者になすりつけはじめた。

ビジネス・トゥデイのある記事は、ある匿名の「上級幹部」の「ガスのバルブ管理が適切に操作されず、破裂させて漏えいを引き起こしてしまった」という主張を引用している。最初に挑戦されない限り、「誤操作」は労働者のミスとして巧みに押し付けられるだろう。

死者の種類-本記事執筆時点で11人といくらかの家畜・動物が死亡-が、有毒因子が本当にスチレンだったかどうか疑問を生じさせている。

都会の大気中におけるスチレンのバックグラウンド濃度は0.06~4.6ppbである。スチレンの毒性は主として労働者において記録されたもので、一般人口についてのものではない。しかし、労働者においてであっても、スチレンの吸入による死亡の記録はない。米国有害物質疾病登録局は-バックグラウンドよりも180,000倍高い-800ppmに8時間曝露した労働者が鼻の刺激を経験したことを記録している。工場の壁の外の大人やバッファローを殺すのに必要なレベルは、信じられないほど高くなければならない。

本当にスチレンだったとしたら、どれだけの量が放出され、スチレン-濃いガス-がどのように数キロメートルにわたって致死的レベルで広がったのか?

ビジネスのしやすさ

インドの中央及び州政府の環境・労働安全規制当局者たちは悪名高くもビジネスフレンドリーである。

かつてLGポリマーズの労働組合に所属していたCITU[インド労働組合センター]メンバーであるガンガ・ラオによれば、同社は州の規制当局者と快適な関係をたもっているという。「同社は2日前に電話によって工場再開の許可を得ていた。工場監督官とPCB(公害規制委員会)は40日間休業状態にあったこの工場を監督しなかった」と彼は言う。

別のボパールとの類似性として、LGポリマーズも、訓練を受けていない臨時労働者に重要な操作にまかせていた。「正規雇用労働者は50人しかいない一方、契約労働者と臨時労働者の数は350人」だとラオは言う。「漏えい事故が起こったときに現場にいたのは15人の労働者だけで、全員が臨時労働者でポリマー工場を再開させる経験をもっていなかった」と彼は言う。

ボパールといまではバイザッグも、労働者の権利と使用者の義務の浸食が、労働者及び周辺社会に対して致死的な意味合いをもつ可能性があることを痛々しいほど明らかにした。

暴走反応

ボパールでは災害の規模は、人口密度の高い場所に大量の揮発性毒素を貯蔵したことの直接の結果だった。LGポリマーズは、漏えいの源はその貯蔵タンクであり、長期間の使用中止が破滅的な漏えいにつながる条件を生み出したと主張している。1989年の有害化学物質規則はスチレンのような化学物質の貯蔵について、厳しい条件を規定している。明らかに執行のない法律は法律がないのと同じくらいよいことである。

警告の無視

LGポリマーズは論争に見知らぬ人ではない。2000年には、反応装置の爆発が周囲の村に衝撃を与え、彼らの不安をかきたてた。人々は逃げ出し、命は失われなかった。2017年には、アーンドラ・プラデーシュ州公害規制委員会[PCB]に対する再三の請求が対応を引き出せなかった後に、村民らはラージヤ・サバー[インド連邦議会]議員スッバラーミ・レディ[インド国民会議]を通じて陳情を行った。「予想通りに、PCBはやってきて、監督を行い、LG(ポリマーズ)に無罪証明[clean chit]を与えた。」

労働・環境ほうがビジネスをやりやすくするために希薄にされつつあるときに起きたことから、バイザッグ惨事はわれrわれに、より多くの民主主義、より多くの市民参加、そしてより多くの労働者保護が、怠け者の企業と言いなりの規制当局者を止めることのできる唯一の道であることを教えている。

(翻訳:古谷杉郎)

https://theprint.in/opinion/vizag-gas-leak-similar-bhopal-tragedy-india-probe-workers/416610/