インドにおけるLGポリマーズ工場ガス漏えい惨事に関するANROEVの声明

またもインドにおける速やかな犯人起訴なしのガス漏えい惨事

私たちは、50万を超す人々をイソシアン酸メチル(MIC)ガスに曝露させ、公式な即死者数2,259人をもたらした世界最悪の惨事のひとつである、インドのマディヤ・プラデーシュ州ボパールのユニオン・カーバイド・インド社(UCIL)農薬工場で1984年12月3日早朝に起きたMICガス漏えい事故であるボパール・ガス惨事を忘れていない。2006年の政府の宣誓供述書は、漏えいは、38,478件の一時的部分的傷害と約3,900件の重度永久障害傷害を含め、558,125件の傷害を引き起こしたと述べている。

アメリカ及び複数回のインド国内の複数の裁判所における様々な民事・刑事訴訟にもかかわらず、この刑事被告会社とその関係者は起訴されず、被害者は十分な補償を受けておらず、現場は汚染されたまま放置されている。人々は35年間苦しめ続けられており、さらにどれだけ苦しめられるかわかっていない。

2020年5月7日、またも別の惨事が起きた。周囲の村で人々が眠っていた、5月7日木曜日未明、韓国人所有のLGポリマーズ社の工場からスチレンが漏えいしたのである。この化学工場は、インド南部アーンドラ・プラデーシュ州ヴィシャーカパトナムのバイザッグと呼ばれる村に所在し、少なくとも10人を殺し、数千人が入院することにつながり、死者数はさらに増える恐れがある。

スチレンはベンゼンの派生物であり、無色の油性液体である。スチレンの健康影響には、皮膚や眼、上気道の炎症が含まれる。長期曝露はがんにもつながる。スチレンは世界保健機関(WHO)のもとの国際がん研究機関(IARC)によるグループ2Aの発がん物質である。

LGケミカルズの怠慢によるこの種の繰り返される惨事は止められなければならず、被害者はただちに完全な補償を受けなければならず、生存者は十分な注意を払って治療やリハビリテーションを受けられなければならない。惨事の調査と曝露したすべての者のバイオモニタリングが、何の制限もなしにただちになされるべきである。ロックダウン措置後に職場が安全であることを確保するために、デューデリジェンスが実施されなければならない。強力な規制と職場安全制度が実施されていなければならない。

曝露が、腎臓や肝臓の不全または気道過敏症などの慢性的な健康問題を引き起こすかもしれない。しかし、当面のより重要な問題は、影響を受けた住民たちの社会的距離置きを困難にする社会的・医学的必要性だろうと思われる。

私たちはガス漏えい惨事と進行中のCOVID-19パンデミックに二重に対処しなければならないことから、また、私たちがディーセントワークと安全な職場・環境のために闘い続けているように、私たち、労災・公害被害者の権利のためのアジアネットワーク(ANROEV)のメンバーは、「死者を悼み、生きるために闘い」続ける。

労災・公害被害者の権利のためのアジアネットワーク(ANROEV)は、すべてが被害者の権利と職場の安全衛生全体の改善に取り組む、アジアの被害者団体、労働組合その他労働グループの連合体である。

私たちの要求:

  • 被害者の家族と傷害を負った者たちにただちに救済と支援を提供すること
  • 被害者及び曝露した人々に対する長期的健康支援を提供すること
  • ガス漏えいの原因を徹底的かつ公正に調査すること
  • 市民団体や被害者の代表を調査に参加させること
  • LG化学とガス漏えいに責任のある者たちに責任を負わせること
  • COVID-19ロックダウンから職場を再開する前にデューデリジェンスを実施させること
  • 規制と職場安全制度を強化すること

2020年5月8日

(団体)
開発のための市民イニシアティヴ(CIVIDEP)、インド
民衆訓練研究センター(PTRC)、インド
インド労働環境衛生ネットワーク(OEHNI)
エンビロニクス・トラスト、インド
労働者イニシアティブ、インド
インド・アスベスト禁止ネットワーク(IBAN)
アジア市民環境保健センター、韓国
工業傷亡権益会(ARIAV)、香港
OSHリンク、台湾
公衆衛生・環境開発センター(CEPHED)、ネパール
ヘスペリアン・ヘルス・ガイズ、アメリカ
民衆健康運動(PHM)、アメリカ
責任あるテクノロジーのための国際キャンペーン
スダネ労働情報センター(LIPS)、インドネシア
バングラデシュ労働安全衛生環境財団(OSHE)
労働者エンパワーメント、香港
労働教育財団(LEF)、パキスタン
アジア・モニター・リソースセンター(AMRC)、香港
労働者党、インドネシア
グローバリゼーション・モニター
(個人)
Vipul Pandya、Bandhkam Mazdoor Sangathan(BWI加盟労働組合)書記長、インド
Sanjiv Pandita、Solidar Suisse
Mohit Gupta、エンビロニクス・トラスト、インド
Omana George
白道明、ソウル国立大学公衆衛生院、韓国
古谷杉郎、全国労働安全衛生センター連絡会議事務局長、日本
Nadia De Leon、労働安全衛生開発研究所(IOHSAD)、フィリピン
Thomas H Gassert MD、ハーバード大学公衆衛生学部、アメリカ

http://www.anroev.org/2020/05/08/anroev-statement-on-lg-polymers-gas-leak/