アスベスト管理に対する安全衛生庁のアプローチ:委員会の2021/22年度会期第6報告書に対する政府の回答-2022.7.21 イギリス下院労働・年金委員員会 2022/23年度会期第2特別報告書

第2特別報告書

労働・年金委員員会は、2022年4月21日に2021/22年度会期第6報告書「アスベスト管理に対する安全衛生庁[HSE]のアプローチ」を公表した。政府の回答は2022年7月18日に受け取り、添付のとおりである。

添付:政府の回答

政府は、労働・年金委員員会のアスベスト管理に対する安全衛生庁のアプローチに関する報告書に感謝し、以下の勧告を提示する。

一般的な原則として、アスベストによる死亡リスクの深刻な性質を認識して、われわれは、何らかの行動を漸進させる前に証拠を慎重に検討しなければならない。われわれは、アスベスト関連疾患による死亡を減少させ続けたいと望んでおり、それが、遺産アスベストの効果的な規制を確保することがHSEの重要な優先課題であり続けている理由である。

われわれはここで、各勧告について説明する。

HSEの2012年アスベスト管理規則(CAR)実施後レビュー(PIR)は、今年末に公表される予定である。HSEは、調査結果のいずれかが、PIRの一部として収集される範囲・証拠と関連しているかどうか検討した。

PIRをどのように完了するかを規定するルールは、財務省のマジェンタブック規制PIR実施のための補足手引きに規定されている。この手引きは、次のように言っている。
「PIRは…当該措置が以下であるかどうか、またどの程度そうであったかを探求するものである。

・当初の規制影響評価(RIA)で設定された当初の目的を達成したか。

・何らかの意図しない効果をもたらした。

・現在も有効な目的を有している。

・それらの目的を達成するために、依然として必要であり、最良の選択肢であり続けている。

・ビジネスへの負担とその全体的コストを削減するために改善することができる。」

PIRの範囲と2021年の調査段階で検討された領域を踏まえて、調査結果の一部のみがこの作業と関連していると思われる。しかし、HSEは、PIRから得られた領域を推進すための作業計画を策定中であり、この作業への情報提供のために勧告を活用することを検討する予定である。

HSEのアスベスト関連調査研究

-HSEが、様々な計測・試料採取技術を用い、また、国際的経験・アプローチを参考にして、非居住用建物における現在のアスベスト曝露の体系的測定のための堅固な研究枠組みを開発・実施する[ことを勧告する]。学校その他の公共建物における曝露測定に、十分な配慮が与えられるようにすべきである。われわれは、HSEが、2022年10月までにその枠組みを公表し、その後たびたび結果を作成するよう勧告する。

-HSEが、義務保持者がアスベスト規則に基づく義務を実際にどの程度遵守しているか確認するための監督計画を補足する調査研究を実施する[ことも勧告する]。

-HSEが、イギリス及び権限を委譲された政府内の関係者と協力して、定期的なアスベスト繊維の環境大気測定に関連した証拠のレビュー・共有を継続する[よう勧告する]。われわれは、HSEが12か月以内に、これらの開発に関する政府の最新の評価に関する情報を書面で知らせるよう求める。

HSEは、その規制活動を支えるためのHSEの科学・研究計画を設定した、包括的な科学・証拠戦略と科学・証拠デリバリー計画を発表している。これには、グレートブリテン[GB]における人間工学とアスベスト除去・アスベスト・レベルに関する2020~2023年における公約が含まれている。HSEは、新しい知見が得られた場合には、科学雑誌の論文やHSE研究報告書シリーズに引き続き発表する予定である。

アスベストによる曝露リスクを管理する義務は、非居住用建物を管理する者、または、積極的なアスベスト産業に関してはこの作業を管理する担当者にある。質問に対するHSEの証拠にあるように、アスベスト繊維は、すべての積極的な認可アスベスト作業の一部として、作業区画が再利用のためにクリアであることを確保するため、また、アスベスト作業者の曝露を監視するために、定期的に測定されている。しかし、HSEが、国際的な動向を考慮し、大気汚染を管轄する、環境・食料・農村地域省など他の政府部局と協力しつつ、曝露リスクとこの領域における新たな証拠についての堅固な理解を持ち続けることはきわめて重要である。

委員会に対する証拠のなかで、HSEは、労働者の曝露、アスベスト肺賦課の人口動向や義務保持者の遵守レベルに関する実施中の研究を含めた多数の研究活動の詳細を提供している。今後、将来計画の一部として、さらなる研究の優先課題を評価するだろう。この研究は、HSEのより幅広い労働関連安全衛生領域に関する研究計画に対して優先順位づけする必要があるだろう。この作業の一環として、われわれは、アスベスト曝露リスクが管理・理解されていることを確保するために、公共建物の義務保持者、そして重要なことだが不動産戦略の担当者と引き続き協力していく予定である。

HSEはまた、義務保持者の安全衛生規制の遵守に関する情報を把握するための新たな方法を開発・活用しつつある。具体的には、遵守指標のコード化された記録の活用が、アスベストへの曝露リスクを管理するために義務保持者によってとられているステップを、HSEが評価するのに役立つだろう。このアプローチは、2022/23年度に予定されている学校におけるアスベスト「管理義務」監督の一部として試行され、義務保持者がどのように法律を順守しているか、またしていないかについての理解を助け、今後の活動への情報を提供するだろう。

アスベストの中央登録

-HSEが、政府内の他の部門と協力して、所在と種類を記述した、非居住用建物内のアスベストの一元的デジタル登録を開発する[よう勧告する]。まず最初に、一元的登録のコンセプトは、学校や病院などの公共建物のアスベスト・データを使って検証することができる。

HSEは委員会に対して、2012年アスベスト管理規則(CAR2012)に定められた現行の法的要求事項は、義務保持者に、その施設内のアスベストを特定及び所在を確認し、作業活動のなかでアスベストに曝露するリスクのある可能性のあるすべての者とこの情報を共有することを要求しているという証拠を提出した。HSEの証拠は、新しい中央登録は、義務保持者と政府から多大な資源を必要とし-HSEは、アスベスト・リスクが改善されるだろうという明確な指標なしに、この既存の情報を複製することになるであろうことを示唆している。質問に対して証拠を提供した他の規制当局の一部は、何らかの登録の開発の一部として、重要な検討事項としたものもある。また、非居住用施設においてアスベストを継続的に管理する義務保持者に対する積極的な要求事項を損なう可能性もある。

HSEは、われわれがアスベストに関連したリスクを低減する機会を探求し続けるべきであることに同意しているが、義務保持者にとっての規制負担と政府に対する費用が、生じるであろう健康利益と釣り合っているという信頼が必要である。規制当局規範も、HSEが、義務保持者に不必要な負担を課すことを避け、リスクに応じた規制活動を基礎とするよう求めている。

HSEは、以前にも-例えば2010年在来式タワークレーン届出規則-国家登録の原則を使用したことがある。HSEは、この規則が施行されている間、公的登録は4回しか閲覧されなかったことを見出した。その後の協議結果は、タワークレーンに関して登録はリスク管理に役立っていないというものだった。同規則は、データベースを維持する負担は安全衛生利益と釣り合っていないとして、2012年に撤回された。

HSEは、アスベストはタワークレーンとは異なるハザードであり、新たな全国アスベスト・データベースに対して一般の人々が異なる反応を示すかもしれないことを十分認識している。しかし、これまでのHSEの経験から、人々に対する情報入手可能性の増大が安全衛生性能の改善につながるという-この勧告の基礎となっている仮定は事実ではないかもしれない。

アスベスト曝露リスクに対する認識を確保するための基本は、義務保持者が法律を理解し、積極的に順守することである。アスベストを管理し、その所在に関する情報をもっともリスクのある者と共有する義務は、この重要な部分である。HSEは、リスクを管理する方法と情報共有の重要性についての認識と理解を高めるための、対象を絞ったコミュニケーションを開発する予定である。これは、アスベスト曝露のリスクのもっとも高い者が改造・改修作業に関わっている可能性が高い場合には、イギリスのネットゼロ課題を支援するための活動計画の一部となるだろう。HSEはまた、この領域における義務保持者の遵守に影響を与えることを目的とした活動に情報提供するために、2022/23年度に計画されている監督で収集した情報も活用するだろう。

新たな曝露レベル

-HSEに、アスベスト管理規則の現在のレビューに、欧州におけるよりアスベスト職業曝露限界値[OEL]をより厳しくする動きについての徹底的な書面評価を含める[よう勧告する]。費用と便益を十分に考慮に入れたうえで、それらのイギリスへの適用を慎重に検討すべきである。イギリスにおけるアスベストの遺産の規模が、相対的に貧弱な健康基準を許容する理由とみられないことを確保すべきである。

HSEは、曝露限界値が利用可能な最善の科学に基づいており、具体的な健康利益の実現についての強力な証拠と結び付けられていることを確保する必要性を認識している。HSEは、GBの労働者にとって具体的な健康利益を示す曝露レベルに関する、すべての堅固でピアレビューされた証拠をレビューするだろう。新しい職場曝露限界値が必要であるという証拠がある場合には、何らかの変更の導入の一環として、十分なコンサルテーションと費用便益分析が実施されるだろう。

HSEの2012年アスベスト管理規則(CAR)実施後レビュー(PIR)は、今年末に発表されるだろう。調査に対して約束したとおり、HSEは、調査結果のいずれかが、PIRの一環として収集された範囲と証拠に関連するかどうかを検討した。

CAR201PIRは、2021年半ばに収集された証拠を用いて、先に概説した、PIRの目的に沿って構成されている。事実上、PIRは、それが今回のレビューの権限外であることから、アスベストの職業曝露限界値の変更は検討しなかった。しかし、現行のOELはこの規則で設定されており、PIRは当時、義務保持者が現行の曝露限界値について懸念しているという証拠は見出さなかった。

委員会は、現在HSEが長期的な利益よりも間近の現実的リスクを優先していることを理由にして、OELの引き下げに動くべきであると勧告した。委員会に対するHSEの証拠は、新しい限界値を正当化するのに用いられる基礎となる科学が現段階では確実でないということであった。しかし、HSEは、この領域における国際的進展を監視し続けている。2021年2月に欧州化学物質機関(ECHA)がアスベストのOELsのための科学的報告書に関する関係者との協議を開始したことは承知している。これは、そのリスク評価委員会が意見を採用するのを支持した。提案には、OELを0.1から0.01f/ml(8時間加重平均)に引き下げることが含まれている。

その正当性は、フランスの国立保健医学研究所のモデルの適用に基づいている。同じモデルがドイツ、オランダ、スイスによっても用いられている。このモデルは、全生涯繊維曝露のリスク評価、すなわちある者がその労働生活の全期間にわたって引き下げられた限界値に曝露した場合の健康へのリスク、に基づいたものである。HSEの証拠は、このモデルに組み込まれた仮定は、曝露がより不均一に分布していることから、実際の生活を代表するものではないというものだった。

委員会は調査報告書のなかで、曝露限界値引き下げの根拠とされたECHA報告書に対するHSEの懸念は、以下のように結論づけた、英国職業衛生協会のアスベスト評価・管理部(FAAM/BOHS)によって共有されたと指摘している。

「…[ECHA]放っク署はよくまとまっているものの、関連する検討事項の除外、証拠の省略、証拠の基礎の透明性の欠陥、指令と欧州法の文脈における現実的検討事項と限界値の目的の実現の間の関連性の理解の失敗を通じて、科学的手法に相当の欠陥がある。」

GBでは、アスベストの曝露管理のアプローチは、OELsとクリアランス指標が、労働者が生涯にわたって曝露すると予想されるレベルではなく、行動のための「トリガー」として機能するというものである。限界値は、発がん性曝露が、合理的に実行可能な限り低減されるよう要求される枠組みの一部である(2012年健康有害物質管理[COSHH]・アスベスト管理規則の両方において)。他の多くの国は、実施されているこのような枠組みをもっていない。

HSEは、GBにおける曝露限界値の何らかの変更を含め、適切と思われる一定範囲の介入を検討するために、この領域における国際的な動向と証拠を引き続き監視するだろう。

情報の共有

-HSEが、建物の請負業者・使用者にアスベスト情報・リスクを伝達する義務保持者の義務を明確にするために、義務保持者ととの協力を強化し、また彼らを手引きする[よう勧告する]。

義務保持者がその建物内のアスベスト遺産について認識していて、積極的に法律を順守するのを確保することが、労働者の曝露リスクを管理するために重要である。HSEは、義務保持者が積極的にこの情報を管理し、それをもっとも知る必要のある者に定期的に周知することの重要性を認識している。

2022/23年度中にHSEは、この重要な法的義務の遵守状況をチェックし、建設職人など、もっとも曝露のリスクのある者が作業を開始する前にアスベストの所在場所を知らされているのを確保するために、GB中の職場で対象を絞った監督活動を実施する予定である。われわれはまた、この幅広い監督活動を支援するために、この領域におけるコミュニケーション活動を発展させることを視野に入れている。

並行して、HSEは、法的要求事項についての注意を課金するために、義務保持者及び非居住用建物の不動産戦略の担当者と引き続き協力するだろう。HSEはまた、基準と遵守が維持されているのを確保することに執行活動が焦点を当て続けるのを確保するために、UKAS、調査者グループ、IOSH、建設職人団体や訓練機関と目的の共有を進展させるだろう。とりわけ、HSEは、英国職業衛生協会(BOHS)のアスベスト評価・管理部(FAAM)、アスベストを管理・評価するすべての実務家の専門団体と協力する。

-HSEが、政府内の他の部局と協力して、建物の管理及びパンデミックへの保健対応におけるデジタル技術の利用からの教訓を活用して、建物内のアスベストに関する情報の伝達・利用の方法の改善に資金援助する[よう勧告する]。

HSEは、この領域で他の政府部局との作業を継続している。委員会は、「建物情報管理(BIM)」アプローチに言及した証拠を聴き、HSEが、4つの異なる安全衛生シナリオについての情報要求事項の例を提供することによって、イギリスのBIM枠組みにより作成された情報要求事項を開発した、ISO19650ガイダンスのパートDの更新を支援した。最初の者は、組織が所有する建物のアスベストの対処に焦点を当てたものだった。HSEは、BIMが、アスベスト含有物質(ACMs)の性質と所在場所など-重要な建物情報のデジタル形式での照合・管理・コミュニケーションを改善できることから、その幅広い利用を支援している。

HSEは、アスベストの規制と関連する部門コミュニケーションへの連携したアプローチを維持するために、教育省(DfE)、スコットランド・ウェールズ政府と定期的に会合している。DfEは現在、アスベスト管理義務に関する具体的保証項目を含んだデータ収集計画を実施しており、HSEはこの重要な作業についてDfEに協力し続けている。

HSEはまた、HSエステート・ヘルスケア・フォーラムへの参加を通じて、医療部門にも定期的に関与している。この集まりは年2回開催され、イングランドととその分立国のNHSと地域保健パートナーシップから、施設管理業務に携わる代表的な人々が出席している。われわれはまた、NHS従業員評議会-安全・性・福利パートナーシップ・グループへの参加を通じて、NHSの労働者と公認労働組合と連携している。これらは合わせて、われわれが建物内のアスベストに関する受法を管理することの重要性と法的義務に対する注意を促進できるのを確保している。

規制活動

-HSEが、アスベスト管理規則の遵守に目標を絞った監督・執行活動の持続的増加を約束する[よう勧告する]。われわれの2020年6月の勧告を繰り返し、政府とDWP[労働・年金省]は、中期的に事業計画の増加を支援するためにHSEに十分な資金を提供することを確保すべきである。

DWP[労働・年金省]は、HSEの活動資金調達方法の詳細を含むHSEの事業計画を承認する。この計画は、もっとも深刻なリスクを対象に、情報に基づいて、様々な規制的介入や活動を実施する方法を定めている。これには、ハザーズのもっとも大きい産業や、リスク管理の実績がもっとも悪い部門が含まれる。監督・調査は複数の潜在的リスクに焦点をあてることから、HSEの予算は、アスベスト曝露などの個々のリスクに対して具体的に割り当てられてはいない。しかし、アスベスト曝露の管理に関連したリスクに焦点を置くというHSEの公約は、その事業計画の長年にわたる特徴になっている。例えば、2021/22年度にHSEは、個々の認可業者によるアスベスト管理規則の遵守を確保するために、個々の認可業者の監督計画を実施するという公約を発表している。

-HSEはまた、この重要な役割を実行する人々について、最低限の知識、訓練またはその他の要件を特定する必要があるかを考慮しつつ、計画されている2022/23年度の義務保持者に対する監督計画から幅広い教訓を確認すべきである。

HSEは、アスベストの安全な管理のなかで法的枠組みが効果的であることを確保するうえで、義務保持者の能力が重要な役割を果たすことに同意する。作業中にアスベストを攪乱する可能性のある者は、自らと他者をリスクにさらすことなく、作業を安全かつ有能に実施できるよう、適切なレベルの情報・指示・訓練を受けていなければならない。われわれは、左官工、配管工や店舗内装工など、その作業がアスベストを攪乱する可能性があるすべての者のためのアスベスト意識向上訓練を勧告している。HSEは、そのウエブサイト:アスベスト情報・指示・訓練で、これを行う方法について詳しく提供している。

HSEは、活動が基準・遵守の確保に焦点を当て続けてることを確保するために、地方当局、UKAS、調査者グループ、IOSH、建設職人団体、BOHSや訓練機関と定期的に連携している。

われわれはまた、義務保持者がどのように法律を順守しているか、あるいはしていないかについてのわれわれの理解を支援するために2022/23年度に計画されている学校におけるアスベスト「管理義務」監督の結果を活用する予定であり、それはこの領域における今後の活動に情報を提供するだろう。

コミュニケーション

-HSEは、多様なメディアを活用し、また、アスベスト管理に関するより幅広い戦略の開発と同時進行させながら、様々なメディアを通じた持続的なキャンペーン活動に投資することを約束すべきである。どのメッセージとどの方法が義務保持者と職人の行動にもっとも大きな影響を与えるか検証するために、しっかりとした評価手法を採用すべきである。

HSEは、明確で入手しやすいガイダンスの提供を通じて、法令順守と安全を可能にしていることを確保するよう努めている。この一環として、HSEは、彼らが連携する方法を改善することを常に探求しており、彼らが、とりわけアスベストに関連するリスクについての認識が低いかもしれない義務保持者に到達するのを改善できる方法に関するアイデアを歓迎する。

HSEウエブサイトは、分析者、企業、アスベスト調査者、建設職人、請負業者、非居住用建物の所有者・運営者、労働者や一般の人々のための助言を含め、アスベストに関するガイダンスの包括的に提供している。規則を指せる重要なガイダンスは、承認実施準則(ACOP)L143「アスベスト管理とアスベスト作業」である。

HSEのメディアチームも、リスク管理の不備の結果について義務保持者を教育することを目的に、遵守違反企業に対する抑止力として機能するために、複数のチャンネルを通じてアスベストに関連したすべての起訴事案について情報を増幅している。

HSEは、「隠れた殺人者」や「機会を逃すな」を含め、長年にわたってアスベスト作業によるリスクを対象とした数多くのキャンペーンを実施し、また、年間を通じて、ソーシャルメディア上で、労働におけるアスベストを含めた呼吸器系リスクについての注意喚起を継続している。すべてのキャンペーンは、効果を最大限にするためにメッセージを改善・調整できるように、報告された行動変容への影響を測定している。

イギリスのネットゼロ課題を支援するために計画されたHSEの活動の一環として、何らかの改修または改造作業を開始する前に、曝露のリスクのもっとも高い建設職人の意識を向上させる機会が最大化されているのを確保するために、アスベストに関するコミュニケーションについて検討するだろう。HSEはまた、彼らの到達力と影響力を増幅するのを援助するために、アスベスト・ネットワーク、建設業諮問委員会(CONIAC)や公共建物の担当者などのパートナーに引き続き配慮するだろう。

届出及び非届出作業

-HSEが、アスベスト管理規則の2022年法定レビューの一環として、現在のアスベスト作業の分類をどのように統合、厳格化及び簡素化できるか検討する[よう勧告する]。レビューでは、変更に伴う正味の行動への影響と費用を慎重に評価すべきである。

上述のように、HSEは、何らかの調査結果がPIRの一環として収集された範囲と証拠に関連するかどうかを検討した。この場合、規則ニッ定められたカテゴリーの簡略化をさらに追求すべきであるというPIR調査の一環として、証拠が提供された。

認可は、HSE監督官による認可申請や認可業者の実際のパフォーマンスのチェックを含めた、厳密なアプローチである。CARは、EUが作業と医療の届出の必要性を拡大して、「非認可届出作業」を用語として導入した2012年に作り直された。PIRと調査の証拠の双方が、この領域における要求事項の一層の明確化が有益であることを示唆しており、HSEは今回、関係者とともに、これをさらにどのように発展させることができるか検討する予定である。規制に対する何らかの変更は、完全な影響評価とコンサルテーションの対象になるだろう。

アスベスト調査者の活用

-HSEが、認可された認証機関による認定を受けているべきことを、アスベスト調査を行うすべての人々の要件にする[よう勧告する]。

GBでは、(材料サンプルの採取を含む)明日B背うと調査は、HSG264:調査ガイドに設定された能力を有する者によって行われなければならない。調査ガイドは、性格として目標を設定したものであるが、HSEは、UKASが認証した調査機関の利用を強く勧告している(RG8 Accreditation of Bodies Surveying for Asbestos)。

HSEは、活動が基準と能力が維持されていることの確保に焦点を置き続けているのを確保するために、英国職業衛生協会(BOHS)のアスベスト評価・管理部(FAAM)、アスベストを管理・評価するすべての実務家の専門団体、地方当局、UKAS、調査者グループ、IOSH、建設職人協会や訓練機関と定期的に連携している。この領域における調査で提示された証拠を認識して、HSEは今回、これをさらに検討し、またシステム全体を通じて能力が確保されていることを確保する方法について検討するために、関係者と連携する予定である。

-HSEが、施設に対して行われるアスベスト作業のチェックを認証を受けたアスベスト分析者に委託することを建物所有者または占有者に対する法的要求事項にすること、またさらに拡張して、アスベスト除去業者がそれを行うことを違法とすることの影響を評価する[よう勧告する]。

グレートブリテン[GB]では、誰に指名されるかにかかわらず、UKASの認証を受けていることが、アスベスト除去後の証明プロセスを行うすべての分析者にとって法的要求事項である。この認証の一環として、分析者は、公平性と独立性を示すことを要求される。HSEは最近、2021年に出版された改訂出版物HSG248:アスベスト:分析者ガイドに示される専門基準に関するガイダンスを強化・拡大した。これは、分析者は、独立して資金調達され、施設を管理する建物の所有者または占有者によって雇われるものであることを強く勧告している。

HSEは、専門基準の維持を確保するために、UKASと、また、期待されている公平性の基準を支援するために、アスベスト・ネットワークを通じて、及びHSEの現場監督で、分析業団体と定期的に連携している、しかし、HSEは、調査に対して提示された証拠を認識しており、ガイダンスをさらに強化できる方法について検討するために、関係者と連携する予定である、

アスベスト戦略

-40年以内に、非居住用建物からアスベストを除去する期限をいまこそ設定する[ことを勧告する]。政府とHSEは、まずもっともリスクの高いアスベストを除去すること、及び学校を含めもっともリスクの高い環境からの除去に焦点を置いた、これを達成するための戦略的計画を策定・公表すべきである。この計画は、まず第一に、関係する費用と便益を考慮しつつ、より安全なアスベストの除去・廃棄に関する証拠を迅速に改善することを約束すべきである。それは、ネットゼロ目標やより広範な廃棄物管理戦略と関連した建物環境の改善提案と統合-及びそれを全面的に考慮に入れるべきである。

政府は、グレートブリテン(GB)の-とりわけ公共建築物における-アスベスト遺産に対処することが重要な問題であり続けており、アスベストの安全な管理・廃棄に関するエビデンスベースの改善と構築を継続することが基本であるということに同意する。

政府は、GBはいま、現在入手可能な最善のエビデンスに基づいた遺産アスベストリスクを管理するための成熟した包括的計画をもっていると考えている。この計画は、2012年アスベスト管理規則(CAR)に概述された諸アプローチとCAR第4条に示される「管理する義務」(「義務」)全体に反映されている。

非居住用施設の管理に関わるすべての者または契約上の義務を負う者(規則全体を通じて「義務保持者」と呼ばれる)は、アスベストの管理について9点のシステムを構築しなければならない。主要なステップは以下のとおりである。

・必要な場合には安全な除去、または保護及び頻回に状況を再確認するための、管理計画を設定した書面による計画を作成及び維持しなければならない。

・アスベスト含有物質(ACM)の所在に関する情報が、義務保持者から、それを攪乱する可能性のあるすべての者に、積極的に伝えられなければならない。

・CAR規則7(3)は、改修作業前及び解体作業前に、アスベストが除去されるべきことを要求している。それが劣悪な状態または影響を受けやすい位置にある場合には、それは除去されなければならない。徐々に除去されることが期待されている。除去せずに改修をした場合には、遵守違反となる。

・同規則に関する承認実施準則[ACOP](L143)も遵守されなければならず、または他の同等に効果的な措置がとられなければならない。CARとACOPは、詳細な手引きと指示を与える合同パッケージである。それらには、労働者の曝露についての大気検査や清掃された空間の再利用や能力に関するその他の要求事項、健康監視、記録、作業の届出や作業の計画が含まれている。

安全衛生庁(HSE)は、CARの正しい実施が曝露のリスクの管理を確保するだけでなく、目標期限を設ける必要なしに、最終的に建造環境空のアスベストの根絶につながるであろうという証拠を、委員会に提供した。

イギリスは、2004年に施行されたすべての非居住用施設におけるアスベストを管理する明確な義務を創設した、欧州で初めての国である(2002年労働におけるアスベスト管理規則[CAR]、北アイルランドは同等の規定をもっている)。これは、曝露のリスクがもっとも高い者-メンテナンス労働者のリスクを低減する必要性に突き動かされたものだった。数回のパブリックコンサルテーションが行われ、要求事項の焦点は訪問または居住建物のメンテナンス労働者を保護すること及び正しい予防措置なしに偶然にアスベストを攪乱することから彼らを防ぐことに置かれた。

政府は、疑う余地なく、もしかしたら時期を早めた、積極的な除去の結果によるであろうアスベスト労働者の曝露の増加が、建物利用者の曝露の低減の観点から正当化されるという説得力のある証拠がある場合に、この領域における積極的な行動を提唱できるだけである。現在、この証拠は存在していない。

同様に、公共施設を担当する多くの政府部局はすでに、必要な場合には、その施設からのアスベスト除去を優先しており、HSEは、この重要な作業に関する議論を支援している。とくに、教育省の学校建物への投資(2022-23年度に18億ポンド)は、ウェールズ政府のSustainable Communities for Learning Programmeのゆに、アスベスト管理が困難な学校に対処することを部分的に優先している。保健省もまた、アスベストがどのように管理され、除去が計画されるかに関して、NHSトラスト全体に対して明確な予想を立てている。重要なことは、各省が集団的に、アスベストがその場で安全に管理することができない場合、劣悪な状態にある場合、それは除去されなければならないことを確保する必要性を理解している。彼らは、そのアスベスト遺産に対処し、リスクを管理するアプローチを支援するのに、CARの枠組みを使っている。

政府は、除去期限の固定化に動くことが曝露の機会を増加させるであろうことを引き続き懸念しており、改修作業が計画されるまでアスベストをその場で安全に管理できる場合、現在の曝露のリスクがきわめて低いのであればそれを支持することは困難である。既存の施設戦略の枠外で撤去期限が導入されれば、多くの公共施設の利用もこれによって著しく阻害されるだろう。また、期限の導入が、不適切な除去・廃棄行動を刺激して、アスベスト曝露を増加させるさらなるリスクを伴うだろうという懸念も残っている。

政府は、計画された改修や解体を通じた現在のアスベスト除去のレベルによる根絶率の可能性をより理解する必要があることに同意する。近々行われるCARの実施後レビューの一部としてHSEによって行われた全国的モデリングは、推計に基づくものではあるが、今後数十年間におけるアスベストを含む建物数が大幅に減少するであろうことを示している。HSEはまた、アスベストを含む可能性のある建物の規模と所在のより正確な判定にデジタル情報を活用するための調査も計画している。

死亡診断書に記録される職業

-政府が、死亡診断に記録される職業情報を改善する機会を調査する[ことを勧告する]。

死亡診断書は、亡くなれた方の最後の職業しか記録しないため、中皮腫のような潜伏期間の長い疾病に関する死亡率統計の作成について限界がある。死亡者についてのより詳細な、または完全な職業歴を入手するためには、以下が必要である。

・死亡登録・死体検案制度にによって、追加の職業情報を収集する。

・国家統計局(ONS)が、この情報を入手するために、保有する死亡登録データを他の情報源をリンクさせる。
死亡登録及び/または死体検案プロセスを通じた追加の職業情報の収集は、バイアスをもたらす可能性があり、ONSの管理を超えている。保健省や司法省一般登記所との協力が必要であり、また、プロセスやシステムを変更するために彼らの賛同を必要とするだろう。したがって、この方法は推奨されない。

https://publications.parliament.uk/pa/cm5803/cmselect/cmworpen/633/report.html