欧州委員会がプラットフォーム労働者の労働条件を改善する措置を提案-2022.1.11 欧州労働組合研究所(ETUI)

2021年12月9日、欧州委員会は、プラットフォーム労働者の労働条件を改善するための一連の措置を提案した。その目的は、デジタル労働プラットフォームを通じて働く人々が、資格を有する労働権と社会給付を享受するのを確保するとともに、アルゴリズム管理の使用に関して使い的な保護を提供することである。この目的のために、委員会は、3つの主要な分野を網羅する指令の提案を進めている。

第1に、プラットフォームを通じて働く人々に、その実際の労働形態に対応した法的雇用形態が与えられることを確保しようとしている。プラットフォームが使用者であるかどうかを判断するために、委員会は、5つの管理基準のリストを示し、そのうち2つで雇用可能性の法的推定に十分としている。労働者として再分類される者にとって、これは、団体交渉、健康保護や有給休暇などの労働・社会権へのアクセスを意味している。プラットフォームは、この分類に異議を唱えたり、「反証」する権利をもつが、雇用関係がないことを証明する責任はプラットフォーム側にある。ETUCによって行われた最近の分析は、欧州の最大のプラットフォーム企業は、5つのテストの大半で不合格となり、したがって使用者として分類されることになるだろうとしている。

第2に、指令は、デジタル労働プラットフォームによるアルゴリズム使用の透明性を高め、労働条件の尊重に関する人間の監視を確保し、自動化された決定に異議を唱える権利を提供する。これらの新しい権利は、労働者と真の自営業者の双方に与えられる。

最後に、委員会の提案は、プラットフォームをに関するより高い透明性をもたらす。国の機関は、プラットフォームやそれを通じて働く人々に関するデータへのアクセスに苦労することが多く、プラットフォームが複数の加盟国で運営されている場合はなおさらである。指令は、国の機関に業務を報告する既存の義務を明確にするとともに、プラットフォームに対し、国の機関が主要な情報を入手できるようにすることを要求する。

委員会の指令についての提案は、欧州議会及び理事会によって議論される。採択された場合には、加盟国は2年以内に同指令を国内法に移行することになる。

欧州労働組合連合[ETUC]は、委員会の提案を歓迎するが、指令が雇用の推定を有効するために負担の大きい基準を設定していることに遺憾の意を表明した。ETUCのルドヴィック・ヴォエ連合邦書記は、今後の交渉でこの問題を解決する必要があると強調した。

ほとんどのプラットフォーム企業は、発表された内容に不快感を示している。ウーバーは、委員会の提案が「何千もの職を危険にさらし、パンデミック後の小規模ビジネスを麻痺させ、欧州中の消費者が依存する重要なサービスに損害を与える」ことを懸念した。一方ジャストイートは、現在ライダーを直接または下請け業者を通じて雇用していることから、このイニシアティブに支持を表明した。「委員会の提案が、すべてのプラットフォーム労働者が彼らにふさわしい尊厳をもって扱われるようにするために、欧州全域の企業が同じ基準に従うことを保証する明確さと公正な競争条件を生み出すことを期待している」と、ジャストイートのCEOイッツ・グルーンは述べた。

委員会はまた、自営業者の労働協約に対するEU競争法の適用を明確にするガイドラインの草案に関するパブリックコンサルテーションを開始した。このガイドライン草案は、EU競争法が、報酬を含め、労働条件を集団的に改善しようとする自営業者の努力の妨げにならないようにすることを目的としている。ガイドライン草案は、関係者からの意見を収集するための8週間のパブリックコンサルテーションを実施し、その後委員会によって採択される予定である。

https://www.etui.org/news/commission-proposes-measures-improve-working-conditions-platform-workers