ジョンソン・エンド・ジョンソン、タルク製ベビーパウダーの世界的販売禁止を求める圧力に直面-2022年2月6日付けガーディアン紙
アメリカとカナダでの製品回収とがんとの関連性を申し立てる訴訟を受けて株主投票実施に動く
ヘルスケア企業ジョンソン・エンド・ジョンソンは、がんとの関連が申し立てられる中で、タルクを原料とするベビーパウダーの販売をイギリスを含む全世界で中止するための株主投票をせざるをえない事態に直面している。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、2020年にアメリカカナダでタルクを原料とするベビーパウダーの販売をとりやめた。アメリカの規制当局が試料からアスベストの一種である発がん性のあるクリソタイル繊維を検出したことで、ベビーパウダーの売り上げが減少していたのである。
同社は現在、ベビーパウダーを使用して卵巣がんになったと主張する多数の女性からの訴えを含め、34,000件以上の訴訟に直面している。
株主投票は、株主投票に必要ア決議を提出するための基準を満たすために顧客が株式をプールできるようにする、ロンドンを拠点とする投資プラットフォームであるチューリップシェア[Tulipshare]によって提案された。提案は、4月に予定されているJ&Jの年次総会に先立ち、適格かどうかを検討するために連邦証券取引委員会(SEC)に提出されている。
世界でもっともやわらかい鉱物であるタルクは、数か国で採掘され、製紙、プラスチックや医薬品など様々な産業で使用されている。タルクの収れん作用は、おむつかぶれの治療その他個人衛生管理のための使用に適している。
しかし、タルクの鉱脈は、その繊維が体内に入るとがんを引き越す可能性のある鉱物であるアスベストで汚染されていることがある。代替品としてコーンスターチを使用することができる。
J&Jはベビーパウダーが有害であることを強く否定し、「製品の安全性に関する誤った情報に煽られて」売り上げが低迷したため、北米でこの製品を引き上げただけだと言っている。広報担当者は、タルクの使用による卵巣がんリスクの統計的に有意な増加を検出しなかった2020年のコホート研究を指摘した。
広報担当者は、「われわれは自らの製品に使用している成分を支持しており、ジョンソン・エンド・ジョンソンは化粧品タルクの安全性を確保するために厳格な検査基準を採用している。島嶼のタルクは、アスベストを含まないことを確保するために日常的に検査されているだけでなく、様々な独立した検査機関、大学や世界の保健当局によって検査され、アスベストフリーであることが確認されている」と言う。
法的請求の集中砲火は「有効な科学的根拠をもっていない」と広報担当者は述べた。
J&Jの弁護士であるスキャデン・アープス・スレート・マー&フロムはSECに対して、「タルクががんを引き起こす主張する数千の人身傷害訴訟」を含め、アメリカその他の国の州及び連邦裁判所で係争中の訴訟に影響を与えることから、株主決議を非適格として排除するよう求める文書を提出した。
J&Jは、卵巣がんに罹患した22人の原告を支持するミズーリ州の控訴裁判所による20億ドルの判決を含め、すでに数十億ドルの費用と和解金を費やしている。[2021年]10月にJ&Jは、タルク製品に関する潜在的な負債を別会社に移し、その後、財務上のリスクを制限する非常に議論を呼ぶ動きとして、破産に踏み切った。
[イギリス]労働党のイアン・ラベリー上院議員は昨年、J&Jが北米以外ではタルク製ベビーパウダー製品の販売を続けるという「きわめて非難されるべき正当化できない」決定を非難する動議を議会に提出している。ラベリーは、株主投票をさせるという試みを歓迎すると述べた。
「アスベスト汚染によって重篤な疾病を引き起こす可能性があることがわかっている製品が、いまだにイギリスまたは世界のどこかで購入が可能であるということは驚くべきことである」と彼は言う。
「その潜在的影響を知っていながら、この有害物質の販売から多大な利益を得続けているジョンソン・エンド・ジョンソンに対して行動がとられたことは、私のなかでは歓迎すべきことだ」。