ジョンソン・エンド・ジョンソンUターン-ついに! International Ban Asbestos Secretariat, 2022.8.15
ジョンソン・エンド・ジョンソンがその象徴的なタルク製ベビーパウダーの販売を2023年に世界的に中止する計画を発表してから数時間のうちに、このニュースは世界中に拡散された。この進展は、イギリス、アイルランド、ポルトガル、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、スイス、イタリア、ギリシャ、ウクライナ、ロシア、トルコ、カタール、インド、中国、日本、インドネシア、ベトナム、マレーシア、イスラエル、湾岸諸国、サウジアラビア、ブラジルその他で報じられた。注目すべきことは、この話に対する関心の高さではなく、2年前に北米で販売が中止された有毒なベビーパウダーが、なぜ自国ではまだ販売されているのかを問う記事がひとつもなかったことである。
2022年8月12日の記事の多くは、同社のアスベスト関連責任に情報を少し追加しつつ、8月11日のJ&Jの声明で開示された内容をそのまま伝えたもので、一般的には以下のような点に言及していた。
・J&Jのタルクを原料にしたベビーパウダーは安全な商品であった。「われわれは、タルクを原料にしたジョンソンのベビーパウダーが安全で、アスベストを含有せず、がんを引き起こさないことを確認する、世界中の医学専門家による数十年にわたる独立した科学的分析をしっかりと支持している」。
・伝統的なベビーパウダーの国際的な段階的廃止が来年進められる。「世界的なポートフォリオ分析の一環として、われわれ(J&J)は、すべてコーンスターチを原料とするベビーパウダーのポートフォリオに移行するという商業的決定を下した。この移行に伴い、タルクを原料にしたジョンソン®ベビーパウダーは、2023年に全世界で販売終了となる」。
・同社は、タルクを原料としたベビーパウダーを使用したアメリカの消費者から、がんの損害賠償請求の津波に直面し続けている。
しかし、このような記事のほとんどで注目されていないことは、汚染されたベビーパウダーを使用した結果、中皮腫、卵巣がんや肺がんに罹患した何万もの北米の人々の絶望的な苦境である。J&J社に対する損害賠償請求は、親企業がその債務を金融手段に転嫁し、それがすぐに破産したために、凍結されている。
アメリカ以外では、J&Jの象徴的なベビーパウダーを使用したことによって致命的な失敗に罹患した人の数や身元は不明なままである。同社がアメリカとカナダで販売を中止して以来、アスベスト被害者や消費者を代表する団体、安全衛生活動家や活動家投資家らは、北米以外の女性や子供たちをタルク製ベビーパウダーに含まれる致死性繊維に曝露させ続ける、同社の冷淡で人種差別的なマーケティング戦略を非難してきた。
2020年にインドの労働環境衛生ネットワークの草の根活動家モヒット・グプタは率直に非難を表明した。
「ジョンソン・エンド・ジョンソンのタルク製ベビーパウダーはインドで販売されており、非常に人気がある。実際、インドのきわめて大きな利益を生むベビー用品市場で圧倒的なシェアを誇っている。まるでインド人の命はどうでもいいかのように、同社がインドでの販売継続を決めたことは非常に恥ずべきことだ。これは、企業が人々の命よりも利益を優先することのもうひとつの事例である。北米で行おうとしているように、インドでも有毒なベビーパウダーをアスベストを含有しないものに行うのではなく、規制の仕組みが弱く、検査のガイドラインもほとんどなく、消費者の意識が低い市場で、この危険な製品の販売を推し進めているにすぎない。潜在的な利用者にその製品の使用によって起こる危険性を警告するのを怠ることは犯罪だが、ジョンソン・エンド・ジョンソンが、ベビーパウダーの容器に、この製品は健康への懸念があるためにアメリカとカナダではもはや販売しませんと書いたラベルを貼ることは、私には想像もつかない」。
有毒なベビーパウダーの販売中止計画を歓迎して、アジア・アスベスト禁止ネットワーク(ABAN)コーディネーターの古谷杉郎は言う。
「ABANは、ジョンソン・エンド・ジョンソンがようやく正しいことをしたと安堵しているが、その対応の遅れによって、さらに多くのがん患者が発生することは間違いない-この有害な製品がすべての市場で同時に回収されていれば避けられたであろう事例である。同社は、アジアやその他の地域におけるタルクを原料としたベビーパウダーの販売に関するデータのすべてを開示する義務がある。ABANのメンバーは、地域全体の消費者団体、安全衛生活動家、政府機関と協力し、J&Jのタルク製品の有毒性について認識を広め、将来、被害を受けた人々が支援と補償を受けられるようにしていきたい」。
http://ibasecretariat.org/lka-johnson-and-johnson-u-turn-finally.php