石綿を含有するおそれのある製品の輸入手続等に関するQ&A/石綿(アスベスト)含有珪藻土製品の違法輸入発覚を契機とした石綿障害予防規則の改正

石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第46条の2(令和3年12月1日施行)及び第50条(令和3年8月1日施行)並びに石綿障害予防規則第四十六条の二第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める製品及び厚生労働大臣が定める者(厚生労働省告示第201号。以下「告示」という。)に関する疑義及び回答を以下のとおり取りまとめましたので、参考にしてください。

目次

1 石綿則第46条の2に基づく輸入時の確認対象製品

1-1 「珪藻土を主たる材料とする」か否かはどのように判断すればよいでしょうか。

(答)「珪藻土を主たる材料とする」バスマット等とは、当該バスマット等を販売の用に供し、又は営業上使用する場合に、当該バスマット等が珪藻土を含有することにより有益な機能を有していることが製品の名称等により明らかなものをいいます。具体的には、「珪藻土」という字句が何らかの形で製品の名称に含まれているものを想定しています。
なお、通関書類には、当該バスマット等を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の製品の名称を製品名として記載する必要があります。

1-2 珪藻土を主たる材料とする部品が組み込まれている歯ブラシスタンド、傘立てなど板状ではないものは対象外と判断してよいでしょうか。また、珪藻土を主たる材料とする板状の除湿シートなどの乾燥用具や調湿剤は、対象外と判断してよいでしょうか。

(答)歯ブラシスタンド、傘立てなど板状ではない製品は、形状が板状ではないため、告示に規定する「板状の製品」には該当せず、石綿則第46条の2に基づく輸入時の確認対象ではありません。ただし、トレイ等の珪藻土を主たる材料とする板状の部品が組み込まれた完成した製品ではなく、当該板状の部品のみを輸入する場合には、当該製品は対象となります。
除湿シートなどの乾燥用具や調湿剤は、板状であっても、製品の用途が乾燥用具又は調湿剤であり、バスマット、コースター、トレイ等に類似するものとはいえないため、輸入時の確認対象製品ではありません。

1-3 石綿則第46条の2の確認対象製品以外のものであれば、石綿の含有率の確認は不要なのでしょうか。

(答)労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第55条において輸入等が禁止されている労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第16条第1項に規定する有害物として石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物が指定されているため、石綿則第46条の2の確認対象製品以外のものであっても、石綿が含有するおそれのある製品等を輸入しようとする場合には、あらかじめ、石綿の含有率の確認を行うことが必要です。

2 石綿則第46条の2に基づく輸入時の確認の義務者

2-1 珪藻土を主たる材料とするバスマット等の輸入時の確認対象製品を個人で輸入し、販売する場合にも輸入時の確認が必要でしょうか。

(答)石綿則第46条の2の輸入時の確認は、個人、法人にかかわらず、「珪藻土を主たる材料とするバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板状の製品を輸入しようとする者(当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合に限る。)」に課せられる義務です。
ただし、輸入しようとする製品の一品目(関税定率法別表関税率表における番号)ごとの課税価格の合計額が1万円以下である場合は、「当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合」にあたらないため、石綿則第46条の2に基づく輸入時の措置は不要です。

2-2 厚生労働大臣が定める者が確認対象製品を分析し、作成した分析結果報告書及び厚生労働大臣が定める者に該当することを証する書面は、当該製品の製造業者を経由して取得してもよいでしょうか。

(答)石綿含有率の分析は厚生労働大臣が定める資格者が実施する必要がありますが、その分析の結果の書面は、必ずしも輸入者が資格者から直接取得する必要はなく、製品の製造者が資格者から取得した書面を輸入者が取得することでも差し支えありません。
ただし、輸入者は、石綿含有率を確認するために必要な事項が記載された書面の原本を取得する必要がありますので、例えば、製造者が一つのロットの製品を複数の輸入者に提供する場合には、輸入者の数の分析報告書の原本が必要です。

3 分析結果報告書を作成する分析者(石綿則第46条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者)及び分析の方法

3-1 分析結果報告書を作成する分析者をどのように調べたらよいでしょうか。

(答)現在、次の分析者の種類に応じて、それぞれのリンク先のウェブサイトから調べることができます。
なお、珪藻土製品中の石綿含有分析の依頼に応じているかどうかは、直接、分析者の所属機関又は分析機関にお問い合わせください。

① 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者
こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://www.jawe.or.jp/ishiwata/ishiwatabunseki.html

② 一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者
こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://www.jemca.or.jp/seminar/asbestos_tec/asbesto_skill_p
ass/

③ 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」
こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://www.jemca.or.jp/analysis_top/asbestos_top/asbestos_old_test/

④ 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」
こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://www.jemca.or.jp/wp-content/uploads/2021/06/jemca_instructor_asbesto.pdf

⑤ 一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格者
こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://www.jasfm.or.jp/activity/index.html

⑥ ISO/IEC17025に適合している旨の認定(試験方法の区分が製品(バルク)中の石綿に係る試験に係るものに限る。)を受けた機関のうち、アジア地域で活動しているものは、アジア太平洋認定協力機構(APAC)の以下のウェブサイトからリンクが張られている各試験所認定機関のウェブサイトにおいて検索することが可能です。また、中国の試験所認定機関であるCNAS(中国合格評定国家認可委員会)が認定している試験所のうち、試験方法の区分が製品(バルク)中の石綿に係る試験を実施している機関は、以下をご覧ください。
いずれの場合も、実際に珪藻土バスマット等の分析が可能かどうかは、直接、分析機関にお問い合わせ下さい。
APACのウェブサイトはこちらをご覧ください。
https://www.apac-accreditation.org/membership/
CNASの認定機関のうちISO22262規格による石綿分析ができる機関はこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000800327.pdf

3-2 分析結果報告書を作成するために行う分析の方法には、どのようなものがありますか。

(答)製品中の石綿の分析方法には、「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成18年8月21日付け基発第0821002号)に定める分析方法(JISA1481)、ISO22262に定める分析方法又はこれらと同等以上の外国の政府機関が定めた分析方法があります。

3-3 3-1⑥の「試験方法の区分が製品(バルク)中の石綿に係る試験に係る試験」を具体的に教えてください。

(答)JISA1481、ISO22262又はこれらと同等以上の外国の政府機関が定めた分析方法があります。

3-4 分析に係る試料を採取した製品の「ロット」とは何ですか。また、分析は製品のロット毎に行う必要があるのでしょうか。

(答)「ロット」とは、「一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群」をいいます。いわゆる「製造ロット」、「原料ロット」等と称されることがあります。
また、分析は製品のロット毎に行う必要があり、分析結果報告書についても、製品のロット毎に必要となります。

3-5 国内の分析機関に分析結果報告書の作成を依頼する場合、製品のサンプルを国内に持ち込むことは可能でしょうか。

(答)関税法(昭和29年法律第61号。以下「関税法」といいます。)第32条に基づき税関長の許可を受け、貨物の一部から見本品を持ち出して日本の分析機関に持ち込むことは可能です。
なお、輸入しようとする製品の一品目(関税定率法別表関税率表における番号)ごとの課税価格の合計額が1万円以下である場合は、「当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合」にあたらないため、石綿則第46条の2に基づく輸入時の措置は不要です。
なお、分析等の結果、石綿が重量の0.1%を超えることを知った場合は、石綿則第50条に基づき、製品の名称等を所轄の労働基準監督署に報告してください。

3-6 分析結果報告書を取得しないまま、輸入しようとする製品の貨物が日本に到着した場合には、輸入することはできないのでしょうか。

(答)分析結果報告書を取得しないまま、輸入しようとする製品の貨物が日本に到着した場合、輸入者は、関税法第32条に基づき税関長の許可を受け、貨物の一部から見本を持ち出し、告示2条各号に該当する者に分析結果報告書の作成を求めることで、分析結果報告書の取得が可能です。
なお、分析の結果、当該見本が石綿をその重量の0.1%を超えて含有していた場合は、当該貨物中の当該製品の全てを輸入することができません。

3-7 海外の機関において中国語や英語で発行した分析結果報告書やISO/IEC17025の認定証は日本語に翻訳する必要があるのでしょうか。

(答)分析結果証明書の原本やISO/IEC17025の認定証の写しそのものについては外国語でもかまいません。しかし、これらの書面とともにその正確な日本語翻訳を一体のものとして取り扱う必要がありますので、日本語の翻訳を添付する必要があります。分析結果報告書は、輸入のための書類ですので、その翻訳の正確性については、輸入者が責任を負うことになります。

3-8 分析結果報告書は、令和3年6月29日付基発0629第2号2「労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続について」の別添1又は2の様式を使用する必要があるのでしょうか。

(答)通関書類としては、別添1又は別添2を使用することが求められています。なお、各様式の「別添定性分析データ」「別添定量分析データ」については標準例ですので、必要事項が記載されていれば、別のフォーマットでも差し支えありません。

4 石綿則第46条の2に基づく輸入申告手続き

4-1 輸入申告書の「品名」欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の名称を記載することとなっていますが、石綿則第46条の2の確認対象製品であって品名が異なる製品を複数輸入しようとする場合には、どのように記載すればよいのでしょうか。

(答)石綿則第46条の2の確認対象製品を輸入する際には、「品名」欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の名称を記載していただく必要があります。品名が異なる対象製品を複数輸入する場合は、輸入申告書の「品名」欄に「別紙参照」と記載し、別紙に全ての製品の名称を記載してください。

4-2 関税法基本通達67-4-17に基づき、2以上の少額品目を1品目にとりまとめて申告を行う場合で、申告する関税定率法別表の番号が税関の確認等を受ける必要がある有害物等以外の番号となる場合には、輸入申告書の「品名」欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の名称を記載する必要があるのでしょうか。

(答)ご質問のような場合で、石綿則第46条の2の確認対象製品を輸入する際には、「品名」欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の名称を記載していただく必要があります。それ以外の製品については、併記していただくか、「等」と記載していただいてかまいません。

※PDF版は以下で入手できる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/other/pamph/index_00005.html