全国安全センターの厚生労働省交渉(2021.7.20):B.1. 新型コロナウイルス感染症の労災について
※全国安全センターの厚生労働省交渉の全体-「労働安全衛生・労災職業病に関する要望書」の全文はココで確認できます。
目次
- B.1. 新型コロナウイルス感染症の労災について
- B.1.(1) 新型コロナウイルス感染症の継続する症状について、医学的研究が途上である現状を踏まえると、「治癒」「症状固定」に関する調査のため休業補償給付等の支給を停止する判断は極めて慎重に行うべきである。少なくとも、退院後も継続する症状で療養している場合には、退院して数か月のうちに支給停止する対応は、打ち切りを急ごうとする不当な対応である。支給を停止された被災者は生活に困窮し、「なんのための労災保険制度なのか」との声も被災者から上がっている。継続する症状について労災を積極的に適用する方針を示すこと。
- B.1.(2) 新型コロナウイルス感染症の継続する症状の一つとして、精神障害の発症が指摘されている。そうした症状への対応として、一律に労災認定基準の心理的負荷表をあてはめるのは適切ではない。そのようなあてはめ方では、感染前に職場での長時間労働やクラスター対応にあたったなどの事情が無い被災者の精神症状について、労災補償の対象から外されてしまう危険がある。継続する症状としての精神障害について、労災を積極的に適用する方針を示すこと。
- B.1.(3) 新型コロナウイルス感染症に感染し、入院せずに自宅療養や宿泊療養になった方が休業補償給付の請求を行う場合、休業期間について診療担当者の証明を得られないことがある。その場合労基署では、保健所の就業制限期間証明書によって確認を行っていると聞いている。被災者が請求を諦めてしまうことがないよう、診療担当者の証明を得られなくとも上記のような方法で休業補償の申請が可能である旨を、厚労省ホームページのQ&A(労働者の方向け)に掲載するなど周知すること。
- B.1.(6) 中皮腫、肺がん、じん肺症で労災認定されている被災者が新型コロナウイルス感染症に罹患し、死亡した場合は遺族補償給付を支給すること
B.1. 新型コロナウイルス感染症の労災について
【要望事項】
B.1.(1) 新型コロナウイルス感染症の継続する症状について、医学的研究が途上である現状を踏まえると、「治癒」「症状固定」に関する調査のため休業補償給付等の支給を停止する判断は極めて慎重に行うべきである。少なくとも、退院後も継続する症状で療養している場合には、退院して数か月のうちに支給停止する対応は、打ち切りを急ごうとする不当な対応である。支給を停止された被災者は生活に困窮し、「なんのための労災保険制度なのか」との声も被災者から上がっている。継続する症状について労災を積極的に適用する方針を示すこと。
【厚生労働省回答(労働基準局補償課)】
一般に、業務により新型コロナウイルスに感染し、症状が長期にわたり継続している場合についても、当該症状が新型コロナウイルス感染症によるものであり療養や休業が必要であれば、保険給付の対象となります。
一方で、労災の休業補償給付等は、請求ごとに支給の可否を判断する必要があるため、既に業務上と認められた傷病でも、改めて請求対象期間についての支給の可否に係る判断を必要とし、事案によっては支給決定までに時間を要することがあります。
被災労働者の救済のため、迅速、公正な労災保険給付に努めてまいります。
【厚生労働省交渉でのやりとり】
※おつて追加する予定です。
【要望事項】
B.1.(2) 新型コロナウイルス感染症の継続する症状の一つとして、精神障害の発症が指摘されている。そうした症状への対応として、一律に労災認定基準の心理的負荷表をあてはめるのは適切ではない。そのようなあてはめ方では、感染前に職場での長時間労働やクラスター対応にあたったなどの事情が無い被災者の精神症状について、労災補償の対象から外されてしまう危険がある。継続する症状としての精神障害について、労災を積極的に適用する方針を示すこと。
【厚生労働省回答(労働基準局補償課)】
精神障害の労災認定基準においては、発病前おおむね6か月間の心理的負荷を評価することとしており、新型コロナウイルス感染症で労災認定を受けた方が精神障害を発病した場合についても、認定基準により判断することとなります。
被災労働者の療養経過等は事案によって様々であり、請求内容ごとに、主治医等に医学的意見を聞いた上で、適切に判断してまいります。
【厚生労働省交渉でのやりとり】
※おつて追加する予定です。
【要望事項】
B.1.(3) 新型コロナウイルス感染症に感染し、入院せずに自宅療養や宿泊療養になった方が休業補償給付の請求を行う場合、休業期間について診療担当者の証明を得られないことがある。その場合労基署では、保健所の就業制限期間証明書によって確認を行っていると聞いている。被災者が請求を諦めてしまうことがないよう、診療担当者の証明を得られなくとも上記のような方法で休業補償の申請が可能である旨を、厚労省ホームページのQ&A(労働者の方向け)に掲載するなど周知すること。
【厚生労働省回答(労働基準局補償課)】
1 御指摘のとおり、療養期間中において、一度も医療機関に受診していない場合、医師が休業期間を証明することができない場合には、休業(補償)等給付支給請求書に保健所で発行される就業制限通知書等を添付していただくことで差し支えないこととする取扱いを行っています。
2 ただし、原則としては、コロナ禍の状況にあっても、従来どおり、医師の証明が必要であることに変わりはないことから、この点に誤解が生じないよう、今後、厚生労働省ホームページへの掲載内容を検討してまいります。
【厚生労働省交渉でのやりとり】
※おつて追加する予定です。
【要望事項】
B.1.(4) 昨年末の時点で、事業者が届け出た労働者死傷病報告が6,041件であるにもかかわらず、労災請求件数はその半分にもとどかない2,657件(認定は1,545件)であった。労災請求件数は2021年に入ってから急増しているが、労働者死傷病報告件数の状況についても可能な範囲で公表すること。いずれにせよ、労働基準監督署段階で両者の状況を突き合わせながら、双方の改善を図るようにすること。
【厚生労働省回答(労働基準局安全衛生部労働衛生課/労働基準局補償課)】
1 新型コロナウイルス感染症に係る労働者死傷病報告の公表について
・労働者死傷病報告は、どのような労働災害がどの程度発生しているのかを統計的に把握するだけでなく、事業場において発生した災害を速やかに把握し、同種災害の防止の徹底を図ることも目的として、事業者に報告を義務付けているものです。
・新型コロナウイルスについては、感染経路の特定など、労働災害であるか否かを判断するには一定の期間を有する一方、職場における感染拡大防止対策については速やかに実施する必要があるため、事業者に対して労働災害であるか否かを問わず、幅広に労働者死傷病報告の提出をお願いしているところです。
・このため、昨年同様、一定の精査を行った上で然るべき時期に公表することを予定しています。
2 労働者死傷病報告と労災認定件数の突合について
・職場において新型コロナウイルスが発生した場合、被災労働者を速やかに救済するとともに、感染拡大防止の徹底を図ることが重要であることから、
① 局・署が報道等で集団発生を把握した場合
② 労災請求がなされた場合
③ 労働者死傷病報告の提出があった場合
などを端緒として、「職場における感染拡大防止の要請」、「労災の請求勧奨」、「労働者死傷病報告の提出勧奨」をセットで実施することにより、漏れのない対応を徹底しています。
・引き続き、安全衛生部署、労災補償部署が連携の上、労災請求勧奨と労働者死傷病報告の適正化により、労働者の速やかな救済と職場における感染防止対策の徹底に努めてまいります。
【厚生労働省交渉でのやりとり】
※おつて追加する予定です。
【要望事項】
B.1.(6) 中皮腫、肺がん、じん肺症で労災認定されている被災者が新型コロナウイルス感染症に罹患し、死亡した場合は遺族補償給付を支給すること
【厚生労働省回答(労働基準局補償課)】
1 中皮腫、肺がん、じん肺症で労災認定された方が、死亡された場合、新型コロナウイルス感染症に限らず、当該死亡原因と労災傷病との医学的因果関係について、死亡に至るまでの治療の経過等を十分に検討した上で、慎重に判断しているところです。
2 引き続き、迅速かつ適正な労災認定に努めてまいります。
【厚生労働省交渉でのやりとり】
※おつて追加する予定です。