労災(産災)不認定が再審議で権利救済された数が昨年は1571件 2021年8月30日 韓国の労災・安全衛生

雪が降った日に道路で滑って倒れた配達バイク/ニューシス

産業災害審査の結果、救済対象でないと決定されながら、異議申請の過程での新証拠などで産災補償の対象になるケースが、毎年約1600件ずつあることが明らかになった。

勤労福祉公団の産災審査決定の分析結果によれば、年間約180万件の産災保険給付請求の内、約178万件(98.7%)は原処分の段階で産災補償が成立している。しかし、年間1万1千件余りに対しては、異議申請制度を通した再審査が行われている。この中で新しい証拠が発見されたり、最新の判例で権利救済が行われるケースは、2019年に1690件、2020年に1571件などだった。今年は6月までに904件に対して権利救済が行われた。

このように、公団は産災補償を受けられなかった被災者が、訴訟を提起する前に異議申請ができる『産災審査請求制度』を運営している。異議申請で産災が認められれば、訴訟の結果を待つ前に補償が成立し、この制度は被災労働者の権利保護に大きな役割をしている。

公団は代表的な事例として、積極的な追加調査によって救済された配達労働者の産災事故を挙げた。

配達労働者のAさんは、昨年8月に安山で配達をしている時に交通事故に遭った。当時、公団の産災審査の原処分は、信号に違反して起こした交通事故として、産災を認めなかった。しかしその後、異議申請制度によって行われた追加調査で、事故の主な原因が交通信号の違反ではなく、過労による居眠り運転であることが認められた。異議申請制度によって業務上災害と認められたのだ。

新しい証拠が認められて、災害を認められたケースもあった。

昨年9月、馬山(マサン)で出勤途中に起きた事故の事例だ。Bさんは保育所から会社に移動中に発生した事故によって負傷したが、『居住地から会社までを出退勤している間に発生した事故に対してのみ、災害と認定している原則』によって、産災を認められなかった。しかし異議申請制度によって、保育所がBさんの通常の居住地だったという新しい証拠資料を提出して、業務上災害と認められた。

最新の判例の趣旨を適用して、支給を打ち切っていた治療費を再び支給することにした事例もあった。

配達労働者のCさんは、2014年に配達中に左折してきた車輌に突っ込んで、植物人間になった。Cさんの家族は産災が認められて治療費の負担は減らせたが、公団が今年の初めに突然療養給付を打ち切って、困難に陥った。患者が共済会を通じて別の看病費を受けたというのが理由だった。当時Cさんの家族は「治療費は病院に、看病費は看病人に出すお金なのになぜ重複なのか」と反撥した。公団は、再審査手続きで、看病費は治療費とは性格が違うという最近の裁判所の判例の趣旨を反映して、治療費を支給することにした。

公団の関係者は「このような制度を知らない国民も多いので、今回積極的に知らせることが必要だと考えた」とし、「これからも新しい事例が出てくる度に、産災補償を受けられなかった被災者が、権利救済を受けられる産災審査請求制度があることを知らせる計画」と話した。

勤労福祉公団のカン・スンヒ理事長は「被災労働者の一人でも、口惜しい事例が発生しないように、産災審査委員会が更に積極的に権利救済の役割を果たす」と話した。

この制度は1964年に産業災害補償保険法が制定された時からあったが、2008年以前までは、公団の内部関係者だけで構成された審議委員会として運営され、2008年からは法が変わって、外部の専門家が参加する形になった。審査請求を審議する『産業災害補償保険審査委員会』という、弁護士、公認労務士、大学教授、社会保険と産業医学の専門家など、法律・医学・社会保険分野の外部の専門家、150人で構成・運営されている。

2021年8月30日 民衆の声 イ・スンフン記者

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