【NEW!】情報公開で明らかになった「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いに関する質疑応答集について」(令和3(2021)年2月16日付け職業病認定対策室長補佐事務連絡)

※編注:本文中「通達」とは、令和2年4月28日付け基補発0428第1号「新型コロナワイルス感染症の労災補償における取扱いについて」のことで、最新版は厚生労働省ホームページで確認できる
※情報公開によって入手した他の情報を含めた関連情報については、ここを参照してください。

目次

Ⅰ 発病日の考え方

問1 4月10日に発熱や咳など症状が出現したので、4月13日に医療機関を受診しPCR検査を受けた。4月14日に検査結果が陽性だったので、医師から新型コロナウイルスへの感染が診断された。この場合、発病日は、いつか。
また、休業期間の始期はいつか。

(答)
発病日(傷病年月日)は、「医学上療養を必要とすると認められるに至った日」であることから、検査結果が陽性と確認された場合に、受診した医療機関への初診日(療養の請求書記載の発病年月日)となる。
したがって、本件の発病日は、初診日である4月13日となる。
また、休業期間の始期は、発病日である4月13日となる。
なお、業務状況等の調査の起算日となる発症日は、4月10日となる。

問2 4月10日に発熱や咳など症状が出現したので、4月13日にA診療所を受診した。検査の必要性があったことから、A診療所の紹介で4月14日にB医療機関を受診しPCR検査を受けた。4月15日に検査結果が陽性だったので、医師から新型コロナウイルスへの感染が診断された。
この場合、発病日は、いつか。

(答)
本件の発病日は、最初に医療機関を受診した日である4月13日となる。
なお、A診療所とB医療機関との受診間隔や、自覚・他覚症状の経過等から疑義が生じる場合は、調査の上、専門医の意見を踏まえて決定すること。

問3 4月10日に発熱や咳など症状が出現したので、4月13日に保健所へ連絡したところ、医療機関の受診はなく、保健所にてPCR検査を受けた。4月15日に検査結果が陽性だったので、同日から入院となった。この場合、発病日は、いつか。

(答)
本件の発病日は、PCR検査を受けた4月13日となる。

問4 4月10日に新型コロナウイルスに感染した者と濃厚接触し、その後、発熱や咳など症状が出現したので、4月13日に医療機関で1回目のPCR検査を受けたところ陰性であった。しかし、症状が続いたことから、4月20日に再受診し、2回目のPCR検査を受けたところ陽性であったため、同日から入院となった。この場合、発病日は、いつか。

(答)
本件の発病日は、1回目のPCR検査を受けた4月13日となる。
新型コロナウイスル感染症に係るPCR検査については、感度(陽性者を正しく陽性と判定する率)には限界があるため、濃厚接触者であり、かつ発熱や呼吸器症状を有している者であっても、陰性判定がなされる場合がある。
したがって、濃厚接触者であり、かつ発熱や呼吸器症状を有している者であった場合、1回目のPCR検査結果が陰性であっても、2回目以降のPCR検査結果で陽性であれば、1回目のPCR検査時点で新型コロナウイルスに感染していたものと判断して差し支えない。
なお、1回目のPCR検査時点で、は無症状であった場合や、検査間隔、行動履歴、自覚・他覚症状の経過等から疑義が生じる場合は、調査の上、主治医や専門医の意見を踏まえて決定すること。

問5 PCR検査は受けていないが、抗原検査を受けて陽性であった場合、PCR検査を抗原検査と読み替えて判断してよろしいか。

(答)
抗原検査は、ウイルスの抗原を検知し、診断に導く検査であり、PCR検査と同様に用いられていることから、読み替えて判断して差し支えない。
なお、問1~問5でいうPCR検査・抗原検査は、医療機関(医師)又は保健所が行ったものをいい、事業場で購入した簡易キット等による検査であって、検査結果を踏まえた新型コロナウイルス感染症の診断を医師が行っていない場合は、当該検査は医療行為とならないため、当該検査日を発病日とすることはできない。

Ⅱ 通達の考え方

問6 通達の記の2(1)アの「医療従事者等」とは、医療機関や介護施設で働く全ての労働者が該当すると考えて良いのか。

(答)
通達の記の2(1)アの「医療従事者等」とは、労働基準法施行規則別表第1の2第6号1に掲げる業務に従事する労働者が該当する。
したがって、医療機関や介護施設で勤務する労働者であっても、患者の診察、看護の業務等に従事していない労働者は、医療従事者等には該当しない。
一般的には、医師、看護師、介護職、理学療法士、診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、機能訓練指導員、歯科衛生士などが医療従事者等に該当すると考えられ、事務員、生活支援相談員、清掃員、調剤に従事する薬剤師などはここでいう「医療従事者等」に該当しないと考えられる。
なお、医療従事者等に該当するか否かは、労働者の職種ではなく、従事する業務内容の実態により個別に判断するものであることから、例えば、コロナ病棟等の病院内で、診療支援や服薬指導などの病棟業務に従事する薬剤師は、「医療従事者等」に該当することに留意すること。

問7 通達の記の2(1)アの「患者」とは、新型コロナウイルスに感染したことが診断された者、症状が出現している者などに限定されるのか。

(答)
新型コロナウイルス感染症は、症状がなくとも感染を拡大させるリスクがあるという特性を有していること等から、本取扱いの対象となる「患者」については、感染が確認された者等に限定するものではない。
なお、眼科、歯科、整形外科等の医師についても、感染した患者を診察する可能性があること、また、診察行為は一般に患者と近接して行うものであることから、本感染症については、業務以外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる。

問8 通達の記の2(1)アの「介護の業務」とは、どのような者の介護なのか。

(答)
「介護の業務」とは、患者を介護する場合に限らず、高齢者、障害者等の身体に直接接触して日常生活行動を援助するという介護を行う業務を含むものである。
なお、労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書(平成21年12月)において、介護業務従事者については、一般に伝染性疾患に感染するリスクが高いとされていることを踏まえ、別表1の2第6号1に追加されたものである。

問9 通達の記の2(1)イの「感染経路が特定されたもの」とは、保健所の「積極的疫学調査」で感染源が特定されていることが必要か。

(答)
請求人及び使用者又は関係者からの申述(申立書、使用者報告書など)により、感染者との接触が明らかに認められる等感染経路が客観的に特定できる場合は、「感染経路が特定されたもの」として取り扱うこと。
なお、このように、感染者との接触に係る請求人及び使用者の申立てが一致している場合や市町村がHPで公表した内容等により感染経路や感染者との接触が明らかな事案(クラスター事案を含む)については、原則として、保健所照会を省略しても差し支えない。(問18も参照)

問10 会社員が事業場内でクラスターが発生したことにより感染した場合は、通達の記の2(1)イと2(1)ウ(ア)のどちらに該当するのか。

(答)
事業場内において、感染者との濃厚接触が確認され、感染経路が特定された場合は、通達の記の2(1)イに該当する。(問9も参照)
一方、事業場内において、感染者と近接や接触の機会はあるが濃厚接触がない場合や、近接した時期に発症した者が複数人存在し、感染経路が不明な場合は、通達の記の2(1)ウ(ア)に該当する。(問11も参照)

問11 通達の記の2(1)ウ(ア)の「複数の感染者が確認された労働環境下」とは、どのような場合か。

(答)
通達の記の2(1)ウ(ア)の「複数の感染者が確認された労働環境下」とは、同一の労働環境下で、被災労働者以外の他の労働者が感染している場合のほか、例えば、施設利用者が感染している場合等を想定している。
なお、同一事業場内で、複数の労働者の感染があっても、お互いに近接や接触の機会がなく、業務での関係もないような場合は、これに当たらないと考えられる。
※参考事例
同一事業場に勤務する労働者3名が同時期に新型コロナウイルスに感染したが、保健所による調査結果では、感染経路は不明であった。
・労働者Aは、8月14日に発熱し、同月21日にPCR検査を受け陽性判定となった。
・労働者Bは、8月18日に味覚異常が出現し、同月22日にPCR検査を受け陽性判定となった。
・労働者Cは、無症状であったが、Aの濃厚接触者として8月22日にPCR検査を受け陽性判定となった。
・8月11日、12日に上記労働者3名を含む10名で長時間会議室の打合せ等を行っていたことが確認された。
・3名とも、発症前14日間の休みの日に外出はしておらず、自宅で過ごしていた。家族の感染者はいない。
上記のような事案は、感染経路は不明であるが、一般生活下での感染リスクは低く、3名とも近接し花時期に発病し、会議室の打合せ等で近接や接触の機会が確認されるため、3名とも「複数の感染者が確認された労働環境下での業務」に従事していたものとして、労災保険給付の対象となり得る。

問12 通達の記の2(1)ウ(イ)の「顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務」とは、どのような業務をいうのか。

(答)
通達の記の2(1)ウ(イ)の「顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務」に該当する業務は、小売業の販売業務、飲食サービス業務、パス・タクシー等の旅客運送業務、育児サービス業務、医療機関における受付等の業務、調剤薬局における受付等の業務が想定されるが、これに限定するものではない。

問13 通達の記の2(1)ウについて、市中感染が拡大した中で、業務により感染した蓋然性が高いか否かの判断はどのように行うべきか。
また、業務と一般生活の感染リスクを比較する上で、どのようなことを調査すべきか。

(答)
市中感染が拡大する中にあっても、業務による行動での感染リスクと業務外による行動での感染リスクを比較した上で、医学専門家の意見も踏まえて感染の蓋然性を評価し判断する。
また、感染リスクを比較するに当たっては、おおむね発症前14日間において、主に、次のような項目について調査することとなるが、事案に応じ、これ以外にも必要な調査をすること(調査事項については、適宜、本省に相談されたい。)。
業務:①人との接触状況(回数、会話時間、距離、人数など)、②就労場所での感染予防対策の程度(マスク着用の有無、消毒、飛沫防止対策など)、③就労場所の感染者(疑い含む)の発生状況(人数、時期など)
一般生活:①外食・会食の状況(回数、時間、距離、人数、飲酒の有無、マスク着用の有無、庖の混雑状況及び感染防止対策など)、②カラオケ等遊興施設の利用状況(場所、回数以下①と同じ)、③感染者(疑い含む)との接触状況(人数、時期など)、④同居している親族等や接した知人等の健康状態(発熱呼吸器症状の出現時期及び症状経過、PCR検査結果など)
なお、日常生活上で必要不可欠な行為(日用品等の買い物、通院、公共交通機関利用による移動など)は、訪問先に感染者がいたことが明らかである等の特段の事情がなければ、感染リスクが高い行動とは評価しない。

問14 通達の記の2(2)アの「海外出張労働者」について、出張先国が多数の本感染症の発生国であるとして、明らかに高い感染リスクを有すると客観的に認められる場合とは、何を基準に判断すればよいのか。

(答)
本省が公表している「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」の記4の国外の発生状況、本省健康局結核感染症課が示している「本感染症に関する流行地域(WHOの公表内容から本感染症の流行が確認されている地域)」に係る情報、外務省で示している海外渡航危険情報、WHOが発表している地域別の感染状況報告等を参考に判断することとなる。

問15 海外ではなく国内の「国内出張労働者」の場合はどのような取扱いとなるのか。

(答)
現下の感染状況にかんがみ、出張先の業務で感染経路が特定される場合や出張先の業務が顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下等である場合は、基本的には通達の記の2(1)イ又はウに基づき業務起因性を判断することとなる。
なお、国内の地域ごとの感染状況によっては、海外出張の場合に準じて取り扱うことも考えられることから、該当すると思われる事案がある場合には、本省に相談されたい。

Ⅲ 調査要領について

問16 調査要領の様式1「使用者報告書」については、例えば、医療機関等で集団感染が発生した場合、必ず請求人ごとに求めるのか。

(答)
集団感染が発生した事案については、使用者報告書を必ずしも請求人ごとに求める必要はなく、まとめて医療機関に依頼する等により、事業主・監督署双方の省力化を図ることとされたい。
また、これ以外の事案についても、調査要領末尾(3(5)のなお書)に記載したとおり、事案ごとに様式を適宜修正して差し支えない。(別紙1 様式1-2参照)

問17 調査要領の様式2「申立書」については、事案によっては記入不要となる箇所もあると思われるが、必ず請求人に提出を求めるのか。

(答)
調査に当たっては、必ず様式2の提出を求めなければならないものではなく、必要な調査事項を録取等により確認することでも差し支えない。
また、調査要領末尾(3(5)のなお書)に記載したとおり、事案ごとに様式を適宜修正して差し支えない。(別紙2 様式2-2参照)

問18 保健所等に対し、どのような事案について、調査要領の2(1)②の情報提供を依頼する必要があるか。

(答)
感染経路不明事案、感染経路に疑義ある事案、一般生活下での感染が疑われる事案については、保健所に対し情報提供依頼を行う必要がある。

間19 調査要領の2(3)①主治医意見書は、すべての事案で徴取する必要があるか。
また、保健所において、PCR検査を受けた結果陽性となったが、軽症であって自宅(ホテル)療養したため医療機関の受診がなく、医学的事項の調査においても主治医意見の収集ができない場合、どのようにすべきか。

(答)
レセプト等により新型コロナウイルスの感染が明らかな事案で、医学的事項に疑義がある等の特段の事情がない限り、主治医意見書を省略して差し支えない。
また、医療機関の受診がない場合は、医学的事項のうち、PCR検査に係る事項等は、保健所に対して情報提供の依頼を要するが、その他の事項については、これを省略して差し支えない。

問20 調査要領の様式5「調査復命書」については、新型コロナウイルス感染症のすべての事案に使用しなければならないのか。

(答)
様式5は、参考として「ひな形」を示したものであるため、新型コロナウイルス感染症のすべての事案について、必ず様式5を使用しなければならないものではなく、事案ごとに適宜修正して使用することとして差し支えない。(別紙3 様式5-2参照)

Ⅳ 休業期間の考え方

問21 新型コロナウイルス感染症で入院していた者について、PCR検査の結果陰性が確認されたため退院した。その後、医師の指示で自宅において2週間待機した場合(退院後の受診はない)、休業補償給付の対象になるのか。

(答)
当該待機期聞が、休業補償給付の支給対象になるためには、その期間、「療養のため労働することができない」ことが医学的に認められる必要がある。
よって、休業補償給付請求書に当該期間に係る医師の証明がある場合のほか、医師の証明がない場合であって、療養ため労働することができないことが医学的に認められたときには、休業補償給付の対象となる。

問22 4月15日に新型コロナウイルスに感染した者と濃厚接触したことにより、無症状であったが4月17日に1回目のPCR検査を受け陰性でであった。保健所等の指示で自宅にて待機をしていたが、その後、発熱や咳などの症状が出現したので、4月22日に、2回目のPCR検査を受け陽性となった。
この場合、1回目のPCR検査日から、休業補償給付の対象になるのか。

(答)
新型コロナウイルスに感染した者が、1回目のPCR検査で陰性かつ無症状である場合でも、1回目のPCR検査日から、療養のため労働することができないことが医学的に認められれば、休業補償給付の対象となる。

問23 PCR検査で陽性だったが、症状が軽かったため、医療機関への受診はなく、保健所の指示により、自宅(ホテル)にて2週間療養を行った。当該療養期間について、PCR検査を実施した医師に休業補償給付請求書の医師証明を求めたところ、検査を実施したのみで、診療をしていないため証明することができないとの回答であった。この場合、医師の証明の取扱い如何。

(答)
当該療養期間について、発症から一度も医療機関に受診していない場合やPCR検査の実施を行ったのみで診療をしていないとの理由で医師が証明することができない場合には、保健所の証明による「宿泊・自宅療養証明書」(別紙4参照)や「就業制限通知書」、「就業制限解除通知書」を休業補償給付請求書に添付することで、診療担当者の証明に代用して差し支えない。

Ⅴ その他

(陰性事案の考え方)
問24 濃厚接触者として、医療機関を受診しPCR検査を受けた。
検査結果は陰性であったが、その検査費用は、労災保険給付の対象となるのか。
また、その後、自宅で待機していた場合、休業補償給付の対象となるのか。

(答)
新型コロナウイスル感染症に係るPCR検査については、感度(陽性者を正しく陽性と判定する率)には限界があるため、濃厚接触者であり、かつ発熱や呼吸器症状を有している者であっても、陰性判定がなされる場合がある。
特に、発熱等の症状が出てから7日から10日程度経過すると、新型コロナウイルス感染者の感染性が急激に低下することから、症状出現日から10日程度以上経過した後に最初のPCR検査を受けた場合には、検査結果が陰性判定となる場合がある。これは、PCR検査結果が検査実施時期等により影響を受けることによるものであり、この場合の陰性判定は、必ずしも症状発症時の感染状況を示したものでないということになる。
このため、PCR検査の陰性判定のみをもって、新型コロナウイルスに感染していなかったと判断することは、適当でない。
したがって、別添「新型コロナウイルス感染症疑い(PCR検査陰性)事案の当面の取扱いについて」により、陰性者の症状出現の有無、その程度や経過などを調査し、専門医の意見を踏まえて総合的に判断すること。
その結果、新型コロナウイルス感染症に擢患していた蓋然性が高いと判断される場合は、検査費用や休業補償給付について支給対象となる。
なお、当初の検査では陰性であったが、その後の再検査で陽性となった場合は、ここでいう「PCR検査陰性事案」とはならない。

(通勤災害)
問25 通勤途上で、新型コロナウイルスに感染したとの申立により労災請求があった場合、通達により判断することとなるのか。

(答)
通勤途上において、新型コロナウイルスに感染したとして労災請求があった場合は、新型コロナウイルスの感染が通勤に起因するものかどうか個別に判断することとなる。
また、通勤災害に関する請求があった場合には、本省に協議すること。

(追加傷病名について)
問26 新型コロナウイルス感染症による療養中、傷病名が追加された場合、労災保険給付の対象となるのか。

(答)
新型コロナウイルス感染症による合併症は多岐にわたり、現在も、その因果関係がすべて判明しているものではないことから、慎重に確認する必要があるため、本省に相談すること。
ただし、レセプトに追加された傷病名が、①「新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第4版)」記載の合併症に伴う傷病名である場合、②除外診断目的による検査傷病名である場合、③一過性の症状に対して行った治療による傷病名(精神障害も含む)である場合は、新型コロナウイルス感染症にかかる療養として、労災保険給付の対象として差し支えない。

(管轄について)
問27 A監督署管轄のB事業場で感染の疑いがあり、その後、C監督署管轄のD事業場に異動(転職)した後に、発熱等の症状が出現しPCR検査を受けて陽性となった場合、調査決定する監督署は何処か。

(答)
PCR検査を受検し発病日時点ではD事業場所属であるが、感染した原因となる業務はB事業場であるため、A監督署にて調査決定を行う。
したがって、請求書の事業主証明もB事業場となる。
なお、請求書受付段階において症状出現時期や感染原因となる業務が不明である場合には、請求書を受け付けた監督署において調査を行い、調査の結果他署管内の事業場における業務で感染したと判断されたときには、すべての調査を終えた後に請求人に説明の上、当該署に事案を回送すること。

別添/新型コロナウイルス感染症疑い(PCR検査陰性)事案の当面の取扱いについて

1 基本的な考え方

新型コロナウイスル感染症に係るPCR検査については、感度(陽性者を正しく陽性と判定する率)には限界がある(※1)ため、濃厚接触者であり、かつ発熱、や呼吸器症状を有している者であっても、陰性判定がなされる場合がある。
特に、発熱等の症状が出てから7日から10日程度経過すると、新型コロナウイルス感染者の感染性が急激に低下することから、症状出現日から10日程度以上経過した後に最初のPCR検査を受けた場合には、検査結果が陰性判定となる場合がある。これは、PCR検査結果が検査実施時期等により影響を受けることによるものであり、この場合の陰性判定は、必ずしも症状発症時の感染状況を示したものでないということになる。
このため、このような疑い患者の要件、(※2)である症状等があって陰性判定されている者については、労災専門医に、症状等からの総合的な判断により、臨床的に感染していた蓋然性の意見を求め、その上で、監督署において、当該意見を踏まえ、業務により感染していた蓋然性を総合的に判断することとする。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症疑い(PCR検査陰性)事案の取扱いについては、労災保険独自の取扱いではなく、感染症の関係法令においても、疑似症患者(※3)に該当する者は、新型コロナウイルス感染症患者と同様に取り扱うこととなっていることを踏まえた対応である。
(※1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き【第3版】P17「2 病原体診断」最後から1~2行目参照
(※2)(※1)の手引きP16「表3-1 疑い息者の要件」参照
(※3)(※1)の手引きP16「1 症例定義」参照

2 具体的な取扱い(別紙・フロー図参照)

(1)監督署における調査

新型コロナウイルス感染症の請求があった場合には、調査要領(※4)に基づき調査を行っているところであるが、新型コロナウイルス感染症疑い事案(PCR検査陰性判定)の場合には、症状出現時点において疑似症患者か否か労災専門医に確認する必要があるため、①請求人の症状経過等(最初の症状出現日、経過及びその程度)、②PCR検査の実施状況(時期、検査日等)、③事業場内の感染状況、感染者との濃厚接触状況についての調査を適切に行うこと。
特に、請求人の最初の症状出現から症状状況が分かる資料(主治医意見、診療録、胸部画像等)は必ず収集すること。
なお、疑似症患者とは、「感染が疑われる患者のうち、臨床的に蓋然性が高い」者であり、感染が疑われる患者とは、疑い患者の要件に合致している者であること。
(※4)令和2年5月1日付け職業病認定対策室長補佐事務連絡の別紙「新型コロナウイルス感染症に係る調査要領」

(2)本省協議

調査が終了し疑い患者の要件の項目を確認した結果、新型コロナウイルスの感染が疑われる者に該当しない場合には、本省に協議すること。
なお、下記(3)により、労災専門医に意見を求めた際、疑似症患者と認められない旨の回答があった場合には、意見書の作成依頼の前に、本省に協議すること。
本省協議においては、原則として資料及び復命書を本省にメール送付(プロジェクト領域に格納でも可。この場合、プロジェクト領域に格納した旨をメールで報告)すること。

(3)労災専門医(呼吸器)への意見聴取

本省協議後、下記のア又はイにより、労災専門医(呼吸器)に意見聴取を求めることになるが、その際、手引き(※5)の16~17ページを手交した上で、①意見を求める趣旨(上記1の基本的な考え方等)、②疑似症患者の要件、③手引きに、「検査感度には限界があるため、臨床像と合わせて総合的に判断するべき」旨の記載内容等の必要事項を簡潔に説明し理解を得ること。

ア 疑い患者の要件に合致している者
労災専門医に、症状出現時点において、臨床的に疑似症愚者と認められ、新型コロナウイルスに感染していたと認められるか否か意見を求めること。
なお、監督署が収集した資料のみでは、労災専門医による適切な判断が難しい場合には、必要となる検査結果(例:抗体検査結果)等の追加資料の収集の必要性を労災専門医に確認した上で、本省に相談されたい。

イ 上記ア以外
この場合は、通常、「臨床的に疑似症患者と認められないことから、新型コロナウイルスに感染していないこととなると思われることを踏まえ、意見聴取すること。
(※5)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の字引き【第3版】

(4)監督署における判断

労災専門医の意見を踏まえ、業務により感染していた蓋然性を総合的に判断し、業務上外を決定すること。
なお、業務外となる場合、請求人に対し懇切丁寧な説明をすること。具体的には、調査の結果、医学的に新型コロナウイルスに感染していたと認められなかったことの説明と併せて、診療費は健康保険の適用となること等の説明を行うこと。この際、PCR検査陰性判定のみをもって不支給決定したとの誤解を招くような説明は行わないよう留意すること。

3 窓口相談対応

労災保険では、請求を拒むような対応は厳に慎むべきであるが、陰性事案の相談があった場合には、必要に応じ、疑い患者の要件について説明を行う等により丁寧に対応し、「陰性事案は一律に補償の対象にならない」と受け取られかねない言動を行わないよう留意すること。

別紙1/様式1-2 使用者報告書

〇〇労働基準監督署長殿
令和 年 月 日
事業場名称
事業場所在地
代表者氏名
担当者部署
氏名
連絡先

被災労働者「  」について下記のとおり報告します。

1 事業の概要等について
(1)事業の概要
(2)労働者数
被災労働者所属事業場  人

2 症状について
①症状出現日  令和 年 月 日
②出現した症状

3 PCR検査の実施結果
第1回検査日(令和 年 月 日)陽性・陰性
第2回検査日(令和 年 月 日)陽性・陰性
第3回検査日(令和 年 月 日)陽性・陰性
第4回検査日(令和 年 月 日)陽性・陰性

4 被災労働者について
(1)職種・業務内容・所属(配属)
(2)発症前14日間で勤務した日数
※症状が出現した日(症状が出現していない場合、陽性となったPCR検査実施日)を起点とし、その前14日間の勤務日数を回答ください。なお、該当期間のタイムカード等の勤怠記録を添付することでも構いません。
14日中  (  )日
(3)発症前14日間の業務における新型コロナウイルス感染者との接触の有無
[有・無]
有の場合、感染者に接触した状況(接触した日、人数、場所、濃厚接触に該当するか等)
※同時に労災請求を行っている労働者と同様の状況であれば、「〇〇と同じ」等と記載していただいても構いません。

5 被災労働者の業務以外のことについて(把握している範囲でご回答ください)
(1)家族の新型コロナウイルス感染者の有無
[有・無]
有の場合、感染した家族の続柄、同居・別居の状況、症状の出現時期(被災労働者と感染した家族の症状の出現時期の先後)、PCR検査の実施目、発症前14日間の家族との接触状況
(2)その他特記事項

6 使用者として本件発症に関する意見
事業場内での感染と考えるか[はい・いいえ]
意見(同時に労災請求を行っている労働者と同じであれば、「〇〇と同じ」等と記載していただいても構いません。)

別紙2/様式2-2 申立書

申立書の提出についてのお願い
労災保険給付の請求が行われると、労働基準監督署では、保険給付を行うことができるかを判断するために必要な調査を行うことになっています。調査を行うに当たり、労災の請求人の方から詳しくお話をお聴きする(聴取といいます)ことになりますが、申立書を提出いただければ、聴取を省略できる場合があり、また、聴取を行う場合でも短時間に行うことができます。
そのため、請求人の方には申立書の提出をお願いしています。
各項目は、新型コロナウイルスに感染した方に関して記入していただくものです。お尋ねする項目が詳細なものもありますが、ご自身で分かる範囲のことを可能な限りで記入いただければ結構です。
なお、本申立書は、労災保険給付の決定のためだけに使用するものであることを申し添えます。

令和 年 月 日
請求人氏名

1 新型コロナウイルス感染症に関する治療の経過をお答えください
(1)症状の出現目、その後どのような症状が、いつ、どの位続いたのか、PCR検査を受けるに至った経過についてお答えください
(2)医療機関に受診した経過をお答えください
医療機関名 受診期間( 年 月 日~ 年 月 日) 病名

2 発症前14日間において、新型コロナウイルス感染者に接触した可能性がある業務の内容についてお答えください(いつ、どこで、誰に、どのように接触したのか)

3 家族が感染した場合、続柄、同居・別居の状況、家族の発症時期(あなたと家族の症状出現時期の先後)、PCR検査目、発症前14日間の感染した家族との接触の状況についてお答えください

4 発症前14日間の行動を思い出しながら記入してください。
新型コロナウイルス感染症の定状を感じた日の前日から遡った14日間の行動を記載してください
・仕事、仕事以外の日常生活も含め、人が集まる場所、流行地場への滞在、密閉され、不特定多数の人が一定時間接触する空間等感染のリスクが高い場所に関する行動履歴を中心に、症状の有無に関わらず人との接触匿についても記載してください。
新型コロナウイルスに感染した人と接触した場合には、いつ、どこで、誰と、どのように接触したか記載してください
・多数の人と集まる場所に行った掲合には、その後、その中から新型コロナウイルスに感染した人がいたか記載してください。
・行動歴に、[仕事]又は[仕事以外]のいずれであるかを肥載してください。

一覧表の項目-発症日より[〇日前]/日付/出勤の有無/行動歴/人との接触歴/状況(活動内容、多謝との接触等)/体調不良者の有無/備考 [発症1日前~14日前について記載]
記載例-/3/〇/有/[仕事]飲食店のホール担当。客数55人 [仕事以外]仕事帰りに友人(症状なし)2人と1時間程度食事をした/料理の提供。昼は混んでいた。店狭く、窓開けられず。マスク着用で業務。友人との食事ではマスクを外していた。/調理の〇〇さん体調不良。後日感染確認。

別紙3/様式5-2 新型コロナウイルス感染症の業務起因性の判断のための調査復命書

整理番号
局署
復命年月日  令和〇年〇月〇日
調査官  厚生労働事務官 〇〇 〇〇
調査期間  自 令和〇年〇月〇日
至 令和〇年〇月〇日
受付年月日  令和〇年〇月〇日
請求種別 ■療養 ■休業 □遺族 □葬祭 □障害 その他(   )
署長判決・指示事項
1. 調査官意見のとおり決定する。
2. 下記事由により再調査を要する。

事業場
労働保険番号〇〇-〇-〇〇-〇〇〇〇〇〇-〇〇〇
名称  〇〇市立厚生労働病院  代表者名  院長 〇〇 〇〇
所在地  〒〇〇-〇〇〇  〇〇県〇〇市〇〇1-1-1   Tel
業種  医療業   労働者数 〇〇名

被災労働者
氏名  板橋晴美ほか7名 生年月日
住所
職種   〔常用・日雇〕   職名
雇入年月日  昭和・平成  年 月 日
請求人  板橋晴美ほか7名(別紙事案一覧記載のとおり)
病状
発症時期  令和 年 月 日 午前・午後 時 分(頃)(発症時年齢 歳)
現在の状況  生存・死亡(死亡年月日 令和 年 月 日(死亡時年齢 歳)
請求人の申述  令和2年3月下旬以降、入院患者、病院職員が次々と新型コロナウイルスに感染し、病院内でクラスターが発生した。
事案の概要  令和2年3月下旬頃、入院愚者が新型コロナウイルス感染症に罹患したことが確認され、その後患者、職員計40人以上が感染するクラスターが発生したもの。

1 総合判断
〔調査官の意見〕
本件は、〔●業務上・業務外]と考える。
調査の結果下記のとおり、労働基準法施行規則別表第1の2第6号1又は、第6号の5における疾病に ●該当する・該当しない ものと判断する。
各請求人の傷病年月日は、請求事案一覧表のとおりとする。
1 PCR検査結果(検査結果確認先:診療費算定内訳、主治医意見書、宿泊・自宅療養証明書・就業制限通知書)
■陽性
口陰性
2 感染経路の特定
■有(■国内 口国外、国名:  )
(■業務内での感染、口業務外での感染)
特定した機関名:請求人及び所属事業場(申立書及び使用者報告書の記載内容から感染経路判明と判断した)
口無(不明)
3 請求就労状況の該当事由
(1)■医療従事者等(医師、看護師、理学療法士、放射線技師の業務)
(2)■医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの(事務)
(3)口医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されていないもの
①口複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務
②口顧客等との近接や櫛虫の機会が多い労働環境下での業務
(4)口海外出張労働者(出張先国名:  )
(5)口海外派遣特別加入者*上記(1)から(3)の該当項目も必要

市立厚生労働病院(令和3年〇月〇日請求事案一覧)(復命書添付)
氏名/性別/生年月日/職種/通達該当/発症日/初診日/PCR検査(陽性)実施日/傷病年月日/陽性確認方法/発症前14日間での感染源との接触状況(病院では8人とも感染患者と接触したことが確認されている)/発症前14日間での業務外での行動履歴

別紙4/宿泊・自宅療養証明書(新型コロナウイルス感染症専用)

本証明書は、医師、病院・診療所・自治体・保健所等の担当者のいずれかの方がご証明ください。

  1. 宿泊療養・自宅療養を受けた方(氏名)
    口男性 □女性
    生年月日  □大正 口昭和 平成 口令和  年 月 日
  2. 傷病名  新型コロナワイルス(COVID-19)感染症
  3. 治療経過
    PCR検査陽性 判明日  年 月 日
    【補足事項がある場合にはご記入ください】
  4. 宿泊療養(※)をした期間
    期間  年 月 日~  年 月 日
  5. 宿泊施設の名称  施設名
  6. 自宅療養(※)をした期間
    期間  年 月 日~  年 月 日
    上記のとおり証明します。
    記入日  年 月 日
    所在地
    名称
    医師・担当者(該当するものに〇囲み)
    担当者の場合:役職名
    電話番号
    証明者氏名
    (※)宿泊療養および自宅療養とは、以下の①および②に該当する場合をいいます。
    ①2020年4月2日付の厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」等に定められている宿泊療養または自宅療養であること。
    ②感染症法上、入院措置が必要にもかかわらず、医療機関の事情により宿泊療養または自宅療養していること。
    各社のフリー使用欄
    ただし、宿泊・自宅療養に関して証明いただく項目については、上記雛形の使用を勧奨する。