マンガン及びその化合物による健康障害に関する検討結果報告書【1981(昭和56)年6月4日】<厚生労働省 情報公開文書2021/03/31>

塩基性酸化マンガン及び溶接ヒュームに係る規制が改正され、2021年4月1日よりの改正・特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等(塩基性酸化マンガン及び溶接ヒュームに係る規制の追加)が施行された。

当サイトの「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」にかかる新たな規制関係記事

マンガンによる健康障害(マンガン中毒)については、1970年代から80年代にかけて、国内のマンガン精錬工場や造船職場溶接作業、マンガン鉱山労働者のマンガン中毒労災認定闘争が取り組まれたことを契機として、マンガン中毒問題が安全衛生・職業病分野おいてクローズアップされた。その結果、政府は「マンガンによる健康障害に関する専門家会議」を設置し、その検討結果(マンガン及びその化合物による健康障害に関する検討結果報告書【1981(昭和56)年6月4日】)にもとづいて改正労災認定基準(【基発第2号 昭和58年1月5日】「マンガン又はその化合物(合金を含む。)による疾病の認定基準について」)(以下、報告書)が策定され、現在に至っている。

今日のマンガンにかかる規制強化に関する、日本における取り組みは当時の取り組みと労災認定基準改正問題にさかのぼることができ、職場のマンガン中毒問題は日本においては遅くともその当時より明らかになっていたといえよう。

なお、厚生労働省に対する情報公開請求によって全国安全センターがまとめている職業病統計では、「マンガンおよびその化合物」による労災認定件数はわずか14件である。(職業病リストの第四号の1の28番がこれにあたる)

日本における労働安全衛生をめぐる状況【2019年→2020年】参照

調べたところ、上記報告書は、確認できる刊行物では入手できなかったため厚生労働省に情報公開請求をしたところ、2021年3月31日付けで開示決定があり、入手できた。以下が開示された報告書(PDF)である。なお、情報公開請求においては対象文書を、

「基発第2号昭和58年1月5日「マンガン又はその化合物(合金を含む。)による疾病の認定基準について」において「マンガンによる健康障害に関する専門家会議」において検討が行われ、その検討結果報告書が提出されたところである。」と記されているところの『マンガンによる健康障害に関する専門家会議検討結果報告書』及び同専門家会議に関するすべての資料」

としたが、開示決定においては報告書のほかの資料については「10年間の保存期間の満了により、開示請求のあった時点で保有していなかったため、法第9条第2項の規定により、不開示とした」とされた。この点について、審査請求をするかどうかについては現在検討中だ。

b7e63bd2d16296d5d9db8861a0c94235