医療労働者等の新型コロナワクチン接種による健康障害、針刺し事故によるコロナ発症も労働災害・公務災害-厚生労働省・地方公務員災害補償基金(2021年4月27日)

新型コロナワクチン接種がはじまるなかで、厚生労働省はそのウエブサイト上の「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」の「5 労災補償」に以下の解説を追加した。

問9 労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。

ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません。
一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であることから、今般のワクチン接種において接種順位の上位に位置付けられています。
したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。
なお、高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。

10 「医療従事者等」や「高齢者施設等の従事者」とは、具体的にどのような方を想定しているのでしょうか。

医療従事者等については、病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医師その他の職員等を想定しています。
高齢者施設等の従事者については、介護保険施設等、高齢者及び基礎疾患を有する者が集団で居住する施設で従事する者等を想定しています。
具体的な範囲については、下記のリンクのページの中ほどにある「接種の対象や、受ける際の接種順位」の項目に、「こちら」のリンクがありますので、それをクリックして表示された資料を参照してください。

問11 医療従事者が接種業務を行っている際、誤って注射の針を自分の手指等に刺してしまい(いわゆる針刺し事故)、それが原因で疾病を発症した場合、労災保険給付の対象となりますか。

医療従事者が業務中の針刺し事故により疾病を発症した場合は、労災保険給付の対象となります。
なお、医療従事者が体育館等院外の会場に出張した上、接種業務を行った場合であっても、同様に対象となります。

一方、公務員災害補償基金も、地方公務員災害補償基金補償課長による事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種で医療従事者等に健康被害を生じた場合の取扱いについて」を公表した。

新型コロナウイルス感染症の公務災害認定における取扱いについては、令和2年5月1日付け地基補第145号により通知しているところですが、接種順位の上位に位置付けられている医療従事者等に係るワクチン接種で健康被害を生じた場合について、労働者災害補償保険制度との均衡を失しないよう、下記のとおり取り扱うこととしましたのでお知らせします。

職員が任意で受けるワクチン接種については、一般に、業務として行われるものとは認められず、健康被害が生じたとしても、公務災害とは認められません。

しかしながら、接種順位の上位に位置付けられている医療従事者等(ワクチン接種の順位については令和3年2月9日付け内閣官房・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について」参照)については、その業務の特性として、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多く、当該医療従事者等の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要とされています。

したがって、当該医療従事者等に係るワクチン接種は、職員の任意の意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業目的の達成に資するものであり、地方公務員災害補償制度における取扱いとしては、職員の公務遂行のために必要な行為として、公務遂行性を認めることとします。

なお、別添厚生労働省資料における高齢者施設等の従事者に該当する職員に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとします

[関連情報の御案内]コロナ労災:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災補償