社会安全網の死角地帯「外傷後ストレス障害」の被害者たち 2019年10月15日
2017年5月1日に発生したサムソン重工業・巨済造船所のタワークレーン衝突事故以後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する社会的な認識は拡大したが、PTSD産業災害療養給付の申請率と産業災害認定労働者の職場復帰率が顕著に落ち込んだことが分かった。
政府はサムソン重工業の事故以後、PTSD管理プログラムを施行した。被害者を保護し、支援するためだ。しかし事故の目撃者としてまた別の被害者である労働者は、PTSDが産災と認定されることすら知らない。社会安全網の死角地帯で苦痛を訴えている。
14日、国会・環境労働委員会のイ・ヨンドク共に民主党議員とムン・ジングク自由韓国党議員によれば、PTSDで産業災害を申請した件数は、全体申請件数の0.029%に過ぎなかった。PTSDで産災を認定された労働者の内で、職場に復帰した労働者は2014年から昨年まで、105人中57人に止まった。
2015年から今年6月までに、PTSDで産災を申請した件数は137件で、年度別では、2015年17件、2016年32件、2017年27件、昨年40件に続いて、今年6月末現在では21件だ。この内22件が不承認とされた。PTSDによる療養期間は、ほとんどが5ヶ月以上だった。
勤労福祉公団は、今年から仁川病院で産災トラウマ治療センターを試験運営している。精神疾病の評価と相談治療をする。ところが専門担当者は、医師・看護師・臨床治療師の各1人だ。産災トラウマ治療センターという名前が恥ずかしいほどだ。
ムン・ジングク議員は「勤労福祉公団のPTSD管理はヨチヨチ歩きの水準で、特に産災トラウマ治療センターは、専門担当者・予算・インフラのすべてが不足している状態」で、「PTSD専門担当者を拡充して、専門相談機関と有機的なネットワークを構築する必要がある」と話した。
公団の職業リハビリ給付者用の職業リハビリプログラムは、産災障害等級1~12等級までを対象にしている。14等級のPTSD被害者は参加できない。イ・ヨンドク議員は「PTSD被災者の場合、職業リハビリ給付事業への参加が制限され、サービスの死角地帯に置かれている」、「円滑な職場復帰のために、職業リハビリ事業の対象を障害等級14等級のPTSD被災者にまで拡大する必要がある」と話した。
2019年10月15日 毎日労働ニュース イ・ウンヨン記者