AIIB(アジアインフラ投資銀行)は環境・社会基準へのコミットメントを強化/融資プロジェクトからアスベストを原則排除-2021年5月21日
AIIB, 2021年5月21日-アジアインフラ投資銀行(AIIB)取締役会は今日、環境・社会フレームワーク(ESF)改訂を承認することによって、環境・社会基準へのコミットメントを再確認した。ESFは、AIIB融資プロジェクトの環境・社会的リスク・影響を管理するうえでAIIBとその顧客の手引きとなるものである。2016年に初めて採用されたESFは、AIIBが顧客のために環境・社会的に持続可能なインフラプロジェクトを支援するというコミットメントの礎としての役割を担っている。
ESF改訂における主な変更は以下のとおりである。今回の改訂は2021年10月に発効する。
・承認済み融資の50%というAIIBの気候変動融資目標を反映した、気候変動に関する文言の強化
・環境・社会関連文書の開示期限を追加し、金融仲介業務の開示をより明確にすることによる、透明性の強化
・資本市場業務における環境・社会・ガバナンス(ESG)アプローチに対応した新たな措置
・ジェンダー平等の重要性と、ジェンダーに基づく暴力への対処のコミットメントの増強。
・生物多様性を保護し、AIIB融資プロジェクトからアスベストを排除する文言の強化。
「今回のAIIB環境・社会フレームワークの改定は、持続可能なインフラ開発を促進するための、AIIBの強いコミットメントを示すものである」、とAIIB方針・戦略担当副総裁ヨアヒム・フォン・アムスベルクは言う。「顧客のパリ協定への貢献と持続可能な開発目標の達成を支援し、明日のためのインフラを構築することは、われわれの使命の一部である」、と彼は付け加えた。
今回の改訂は、2019年に開始された集中レビューを受けたもので、加盟国政府、開発パートナー、顧客(官民)、市民社会組織を含む幅広い関係者からの2回の協議で得られたインプットを統合するものである。また、2016年に融資業務を開始して以来AIIBが得た経験を反映したものでもある。
AIIBは、環境と社会の持続可能性が、アジアにおけるインフラ整備と相互接続強化のための銀行の支援の基本のひとつであると認識している。ESFは、その一部が2025年までに承認された融資の50%という気候変動融資目標を強調した、AIIBの経営戦略に沿うものである。
改定されたESF「環境・社会的除外リスト」の関連部分
銀行は、以下を含むプロジェクトに認識しつつ融資することはしない。
9. 固着されているかどうかにかかわらず、アスベスト繊維の生産、貿易または使用xi
xi 特別な状況において、顧客が固着されたアスベストの使用から代替物質への移行を可能にするために必要な場合には、銀行は、使用される物質のアスベスト含有量が20%未満であることを条件に、合理的な移行期間について、顧客と合意することができる。
https://www.aiib.org/en/policies-strategies/framework-agreements/environmental-social-framework.html
アスベスト産業がアジアで大打撃
APHEDA, 2021年6月29日-長年にわたるキャンペーンの結果、アスベスト産業がアジアで大きな打撃を受けることになり、世界のアスベスト禁止キャンペーンは大きな勝利を収めた。アジアインフラ投資銀行(AIIB)が環境・社会フレームワーク(ESF)を改訂して、アスベスト含有物質をAIIB融資プロジェクトから除外したのである。
AIIBは、年間33億ドルのアジアにおけるインフラ投資プロジェクトにおいて、アスベスト含有物質が使用されることを禁止した。世界と各国の労働組合、アスベスト禁止団体や被害者によるアスベスト関連疾患を根絶させるキャンペーンは長年、世界銀行グループはもちろん、アジア開発銀行(ADB)やAIIBなどの多国間銀行をターゲットにしてきた。
キャンペーンは彼らに対して、クリソタイルアスベスト含有製品の使用を禁止する行動をとることによって、固着されたアスベスト製品が老朽化や崩壊、攪乱されるにつれて労働者消費者に引き起こす曝露リスクを根絶するよう求めてきた。これまでにアスベスト繊維は禁止されているが、アスベスト繊維の含有率20%未満の物質は、AIIBによって認められていた。つまり、アスベストを含むほぼすべての建材は使用することが可能だったのである。
AIIBが発行した改訂環境・社会フレームワークのなかの除外方針にはいまや、「固着されているかどうかにかかわらず、アスベスト繊維の生産、貿易または使用」が含まれている。改定された方針は、代替製品への移行のためという特別な状況についてのみ、新たな方針の例外を認めている。
AIIBは、アジア太平洋地域のインフラ整備を支援することを目的とした多国間開発銀行である。2016年に設立され、中国を拠点にしている。彼らは、200億米ドル以上の融資能力を有している。オーストラリアは、103の加盟国のひとつであり、オーストラリアのジョシュ・フリデンバーグ財務大臣が理事会のメンバーである。オーストラリアは50億豪ドル強の出資を行い、3.5%議決権比率をもっている。
Asbestos Not Here Not Anywhereキャンペーンは、やはり現在そのセーフガードポリシーを見直しているアジア開発銀行(ADB)による迅速な改訂も求めている。
https://www.apheda.org.au/asbestos-industry-takes-a-big-hit-in-asia/
(安全センター情報2022年4月号)