タワークレーン労組、全面ストに。登録を抹消された小型クレーンを追い出さなければ 2021年6月8日 韓国の労災・安全衛生
タワークレーンの操縦士が8日、全面ストに突入した。小型タワークレーンの事故が続くのに、政府がまともな対応をしていないというのがストライキの理由だ。
民主労総建設労組は、この日大統領府の前で記者会見を行い、「依然として建設現場で稼動している登録抹消・是正措置対象の小型タワークレーンが運行を止めるまで、無期限ゼネストを行う」とした。労組は「全国の建設現場に3000~4000台のタワークレーンがある」が、「ストライキで現場1000個所の90%が止まる」と話した。タワークレーンの操縦士は全部で4000人で、その内ストライキに参加するのは、民主労総(2300人)と韓国労総(1200人)所属のタワークレーン操縦士で、3500人に達すると伝えられた。
建設労組タワークレーン分科委員会はタワークレーンのリース協同組合と業者108社と行っている賃金・団体交渉で、安全カメラ・通路の設置、賃金7%引き上げなどを要求したが、使用者側はこれを受け容れなかった。中央労働委員会は4日、調停の中止を決定し、前日の組合員投票で83.1%がストライキに賛成した。
国土交通部は、2月に安全基準に違反する小型タワークレーンの3機種、120台の登録を抹消し、9機種、249台に是正措置命令を出した。しかし、労組によれば、最近、小型タワークレーンによる事故が発生した現場の一部で、登録抹消装備3台と是正措置装備2台が確認された。労組独自の集計で、4月24日から少なくとも8件の小型タワークレーンによる事故が発生し、1人が亡くなり、3人が負傷した。
建設労組タワークレーン分科のチェ・ドンジュ委員長は「小型タワークレーンは、小規模な建設現場で使わなければならないのに、マンションなどの大型建設現場で使われている」とし、「2年前のゼネストの後、小型タワークレーンは小さな現場でしか使ってはならないという合意ができたが、守られていない」と話した。小型タワークレーンの大型現場への投入をやめさせようと、国土部と交渉を続けてきたが、最近まで何の措置もされなかったとした。
来月1日からは、昨年7月以後に登録された小型タワークレーンに、細部規格が適用される。それによれば、3t未満の小型タワークレーンは、地上10階以下の高さで、ジブ(クレーンの水平部)の最大の長さは30~40m以下でなければならない。国土部は昨年7月に細部規格を発表し、1年の猶予期間を置いて現場への定着を準備するとした。しかし、未だにこれを知っている現場関係者は殆どいないというのが労組の主張だ。
労組は、登録抹消・是正措置対象の装備の運行中止と行政措置の施行、小型タワークレーンの細部規格の正しい施行、管理監督総括機関である建設機械安全管理院の役員の辞任などを要求している。
小型タワークレーンは大型と違って、クレーンを運転する操縦席がなく、地上からリモコンで操縦して動く。操縦のための免許の取得も相対的に簡単だ。建設会社と装備リース業者は費用を節約するために、小型タワークレーン比率を増やした。そのために大型タワークレーンの操縦士は雇用の減少に直面している。
国土部は今回のストライキに関して、建設現場の被害状況の把握と、安全事故予防のための非常状況班を構成した。国土部の関係者は「小型タワークレーンの特別点検・製作段階の調査など、安全管理を続けて強化し、登録抹消対象のタワークレーンの早急な抹消措置と使用の自制を、持続的に求めている」と明らかにした。
2021年6月8日 京郷新聞 チョン・テヨン記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202106081523001