ITUC「ILO基本協約に安全保健基準を入れなければ」 2021年5月6日 韓国の労災・安全衛生
国際労働組合総連合(ITUC)が、先月28日の世界産業災害労働者追慕の日に発表した声明で、国際労働機構(ILO)は、安全保健問題を基本協約に含ませるべきだとした。結社の自由、団体交渉、差別禁止、強制労働と児童労働の撤廃で構成された現行の職場の基本的権利(fundamental rights at work)に、職業安全保健を追加せよということだ。
2019年6月に行われた108次ILO国際労働会議(年次世界総会)は、『ILO 100周年・仕事の未来のための宣言』決議を採択し、「ILO理事会が、安全で健康な勤務条件をILOの『職場の基本原則と権利』体系に含ませる提案を、早期に考慮すること」を要請した。この決議は、ILOが創立100周年を迎えて構成した『仕事の未来委員会』が議論した結果によるものだ。『仕事の未来委員会』は、国際労働会議に提出した文書で、「1998年の『ILO職場の基本原則と権利』に明示された既存の諸権利と共に、職業の安全保健も職場の基本原則と権利になるべきだ」と強調した。
2018年の初めにスタートして、2019年上半期まで1年半の間活動した『仕事の未来委員会』は、安全で健康な勤務条件が職場の基本原則と権利になるかを討論したが、様々な法律的・技術的・実践的な問題によって、具体的な文書として合意するには至っていなかった。代わりに「安全で健康な勤務条件が、良い雇用の基本(fundamental to decent work)」であることを宣言し、ILO理事会でこの問題を本格的に扱うように要請した。
これに伴い、2019年下半期に行われた337次ILO理事会は、「安全でなかったり健康に有害な勤務条件から労働者を保護することが、過去100年間、ILOの目標として登場した」と確認し、労働者の安全と保健が、1919年に制定されたILO憲章と1944年に改正されたILO憲章(フィラデルフィア宣言)に符合することを確認した。そして今年3月に開かれた341次ILO理事会は、「安全で健康な勤務条件を、職場の基本原則と権利に関する体系に含ませる手続き指針の改正」を承認し、「ILO事務総長が、今年11月に開かれる343次理事会のために(この問題に関する)文書を用意すること」を要請した。
ILOは1919年の創立以来、職業安全保健基準に関連して、全部で20個の協約、1個の議定書、27個の勧告を採択した。その中の代表的なものとしては、155号職業安全保健協約(1981年採択)、161号職業保健事業協約(1985年採択)、187号職業安全保健基本体系協約(2006年採択)がある。155号協約を批准した国は71ヶ国(韓国は2008年2月20日批准)、187号を批准した国は52ヶ国(韓国は2008年2月20日批准)だ。我が国が未だ批准していない161号協約を批准した国は、34ヶ国に過ぎない。
ILOの枠組みの外で、安全で健康な勤務環境を権利として認定する国際協約の中で代表的なものとしては、1948年12月に国連が採択した世界人権宣言がある。世界人権宣言は「正しく良い仕事の条件」と「個人の生命・自由・安保」に関する権利は、すべての人に保障されなければならないと強調する。国連の『経済的・社会的・文化的権利協約』も、「安全で健康な勤務条件」を含む。また、世界保健機構(WHO)憲章も、「最上の健康基準を享有することは基本権の一つ」と明らかにしている。
ITUCのシャラン・ポロ事務総長は、「職業安全保健をILOの基本権利にすることによって、大虐殺を止めるべき政府と使用者の責任を強化することができ、同時に、労組と安全代表者に、より多くの梃子を提供できるだろう」と強調した。ILOによれば、仕事に関係した事故や疾病で亡くなる労働者は、全世界的に毎年278万人に達し、負傷したり疾病に罹る労働者は3億7400万人だ。安全保健問題による経済的な損失は、グローバルレベルで、国内総生産(GDP)の3.94%に達するとILOは推定している。
2021年5月6日 毎日労働ニュース ユン・ヒョウォン客員記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=202696